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23区で魚釣り⑤:見次公園の尺上フナ&小物釣り(板橋区)

東京都23区内には釣りを楽しめる公園が多数あることをご存知でしょうか? 今回取り上げる板橋区の見次公園もそのひとつで、体長30cmを越える良型のフナから、モツゴや淡水ハゼ、さらには都内では珍しいカネヒラ(タナゴの一種)まで多種多様な魚種を手軽に狙えます。筆者は子供連れで釣りに行く――というか自身の魚釣り趣味に息子を付き合わせることがよくあるのですが、見次公園は「釣り命! というわけではないけれど、全く釣りに興味がないというわけでもない」人を連れて行くのに最適な場所のひとつです。そもそもココを釣り場としてとらえている人間は少数派で、ほとんどの地元民からは「30分240円で手漕ぎボート遊びが楽しめる場所」という公園として認知されている気もしますが……。

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▲フローティングベストはもちろん、麦わら帽子まで貸してくれるという至れり尽くせりっぷりが素敵なレンタルボート。公営施設バンザイ!

さて、23区内に長く暮らしていても「見次公園」という名前を聞きなれない方は多いでしょう。それもそのはず、ここは代々木公園や新宿御苑のようにそこへ訪れること自体を目的とする人はほぼ来ず、地元民の憩いの場所としてのみ栄えている公園ですから。ただ、都営三田線の志村坂上駅から徒歩5分程度とアクセス至便なうえ、公園の隣に超有名ラーメン店「中華ソバ 伊吹」が鎮座、さらには公園から徒歩5分の位置には源泉掛け流しの本格的な天然温泉が楽しめる温泉施設「前野原温泉 さやの湯処」もありますので、釣りを中心にこのエリア一帯で丸一日遊ぶプランを立ててみるのも面白いと思いますよ。身体を動かすのが好きなら上述のボートに乗ったり、志村坂上駅の北側にある小豆沢体育館のプールで泳いだりするのもアリですし。

ではでは、見次公園で楽しめる釣りについて記してゆきましょう! 見次公園は全体の面積のうち実に45%を大きな池が占めており、いつも釣りやガサガサ(網で小魚やエビ類などを採集する遊び)、レンタルボートの客で賑わっています。池は全体が深緑色に濁っており、見た目こそ良い水色とはいえないものの、都内では数少ない天然の湧き水が水源で、数多くの魚種や水生昆虫が生息しています。

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▲見次公園で釣りをする際は、必ずこのルールを守りましょう!

見次公園で竿を出す場合、まずは狙う魚を「フナ」かクチボソやタナゴを中心とする「小物」かのどちらかに絞らねばなりません。大きな鯉やナマズも棲んでいますが、それらはリールを用いた釣りが禁止されている見次公園において、対象魚種にはなりづらいでしょう。池の周囲に点々と並ぶ釣り人たちをみていると、7割がたが小物釣りを楽しんでおり、フナを中心に狙う方は一箇所に固まって竿を出していることが多いようです(※フナ釣りは魚がいる場所を探して釣り人側が移動するのではなく、餌を水中に拡散させることによって魚の方を人間側に寄せる釣りなので、複数の釣り人が密集することで釣果がアップするはずです。単純に常連同士でつるんでいる、というだけではありません)。

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▲見次公園のギンブナ。サイズがわかりづらいですが、30cmを少し切るくらいの良型です。ヒレがボロボロなのが気になる……。

ヘラブナ釣りの心得がある方はいつも通りの釣り方で問題なく魚を連れて来られるはずです。水深が浅く、釣竿が届く範囲だとせいぜい1mも仕掛けを沈めれば底についてしまうことだけが注意点でしょうか。が、ヘラブナ釣りは仕掛けづくりから餌の調合、ウキの動きの見極めまでかなりの熟練を要する釣りでもありますから、未経験の方が竿を出した初日からいきなり釣果を得られるかというとちょっと厳しいかもしれません。

そこで筆者がライトな釣り人、もしくは釣り初体験の方にオススメしたいのは、ずばり"フナのサイトフィッシング(※目の前に見えている魚を釣り上げること)"です!! 池の周りをぐるっと一周すれば、水面の浮遊物を摂取しようとパクパク口を動かしているフナをほぼ確実に見つけられますので、そのフナの口元近くにちぎった食パンをつけた針を垂らしてあげましょう。秒でバイトが得られます!もちろん人間がいかに凶暴で信用ならない動物であるかを理解している頭脳派な個体もいますが、2〜3匹も群れているのを見つければ、ほぼ確実に1匹くらいは反応してくれるでしょう。この釣り方なら大きい個体を狙って釣り上げられますから、通常のヘラブナ釣りではなかなかゲットできない"尺上"(全長30cmを超える個体)もお手軽にゲットできますよ!

道具はフナの引きに負けないものであればなんでもOKだと思いますが、参考までに筆者の使用タックルを以下に記します。

ロッド:3m 振り出し竿(ダナイブロス インジェクター)
ライン:ナイロン1号
針:ルアー用シングルフック#6(細軸)
エサ:食パンを小さくちぎったもの

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▲子供に魚の引きを体験させるのにもピッタリ。パン鯉より簡単!

フナのサイトフィッシングは簡単すぎてゲーム性に乏しい気がする、かといって本格的なヘラブナ釣りの経験はないし……という方は、見次公園を訪れる釣り人の間で最もポピュラーな"小物釣り"に挑戦してみましょう! もちろんすでにタナゴ釣りをガッツリやり込んでいる、という方も楽しめること請け合いです。この池は小魚の密度が高く、池のほぼ全周がポイントになりますから、空いている場所に適当に腰を据えて何度かエサを打ち返せば、きっと魚信があるはずです。

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▲日曜日夕方の見次公園に釣り糸を垂れる。月曜日は釣り禁止なので注意!

エサは市販のグルテンが手軽ですが、もっと気軽に釣るなら前述のフナのサイトフィッシングで余った食パンを水に浸したうえで練り込んで使うのも良いでしょう。水中である程度拡散する小麦粉系のエサとタナゴ用の超小型針(たとえば「新半月」など)さえ使用すれば、ボウズになることはほとんどないかと思います。もちろん特定の魚種、特にタナゴを狙って釣るのは難しいですが、針に掛かってくれる魚ならなんでもいい! というおおらかな精神で臨む限り、見次公園は小物釣り人のオアシスです。

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▲この記事に載せるためにレアな23区のタナゴを釣ってやるぜ! と考えてグルテンと黄味練りの二刀流で挑んでみたら、釣果はハゼのみ。。。

例によって(?)筆者が小物釣りに使っているタックルも記しますが、仕掛け・餌ともに上州屋かタックルベリーにでも行って「タナゴ用」と書かれている商品の中で一番安価なものを買ってきて頂ければなんの問題もありません。ふたつ上の写真に写っているのは中古で1200円の4尺竿です。そもそも、極端にハイパワーではない延べ竿を持っているのであれば、釣趣を追求するなどの目的がない限り新しく小物釣り用の竿を購入する必要はないと思います。ただ、針だけは必ずタナゴ用の物を用いてくださいね! 3〜4cmの小魚の口に、ヘラブナやルアーフィッシング用の大きな針は掛かりませんから。

ロッド:万能小継 120cm
ライン&浮き&針:市販のタナゴ釣り仕掛け
エサ:グルテンと水を1対1で混ぜ合わせたもの&黄味練り

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▲独特すぎるフォームでフナを狙う(というか威嚇している)息子氏。

数センチの小物から尺上のフナまで、豊富なターゲットを相手に釣りを楽しめる見次公園。お近くにお住まいの方、東武三田線沿線にお住まいの方は、ぜひ一度ロッドを片手に出かけてみてくださいね! きっと楽しい休日になるはずですよ。

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