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今年のゴジフェスは「ゴジラ対ガイガン祭り」だった!映像作品二連発

 11/3はゴジラの日。
 そしてリアルゴジラ・フェス2022も開催されて当日は大いに賑わったようである。国産新作ゴジラ映画の発表という大ニュースはもちろんだが、その一方で進められていた話がある。
 50周年特別企画・ガイガンスーツ起動プロジェクトだ。

 現在残っているガイガンの着ぐるみは『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)の際に製作したもので、両手のカマや胸のカッターなど初代を踏襲しつつもデザインは大きく変えられている。そこで節目となる今年に、昭和ガイガンを50年前の初登場時そのままの姿で復活させよう! とクラファンが開始された。さらにただ着ぐるみを作って終わりではなく、昨年・一昨年同様にゴジフェスで公開されたオリジナル短編怪獣映画への製作も行う。つまり実用に耐えうる怪獣を着ぐるみをガチで作るぞ! なのである。

 この実用に耐えうるリアル造形物、てのは本当にお金がかかる。人が中に入って演技をするうえに、電飾や口の開閉ギミック等も仕込まれるのだ。動きやすさとリアルさを両立させるのは大変だろう。クラファンでの目標額は1500万円と高めだが、それだけお金が必要なのだと分かる。熱いファンに支えられて1100万円以上も集められたのは大したものだ。
 ちなみに平成VSシリーズ(30年前)だとゴジラ一体作るのに2~3千万、製作日数は約3ヶ月はかかったとか。主役となればなお大変だったろう。

 かくして昭和ガイガンスーツは令和の夜に蘇った。

 夜の街。ヘドラを倒し海へ去ろうとするゴジラの背後に、宇宙の彼方から一体の怪獣が出現した。その名はサイボーグ怪獣・ガイガン。両手の鋭利なカマ、胸のカッター、そして頭部のレーザービーム。全身凶器と化した憎いヤツが怪獣王ゴジラに挑戦状を叩きつける! 迎え撃つゴジラ! かくして街は激闘の舞台と化した!

 前回・ヘドラ戦の工業地帯オープンセットからうってかわり、夜の街が戦場に。やはりここは全身凶器のガイガンがどれほど格好良く描かれたかに注目したい。ゴジラの出血や負傷はもちろんのこと、戦いの巻き添えを食らってスパっと切断される建物といったカットは、街中だからこそ出来るのだろう。建物越しにワンカットで二体の格闘を納めるなど、実に燃える特撮描写だ。そもそも特撮自体が明らかに前作よりパワーアップしている。予算が増えたか? また頭部のレーザービームはポスターや設定資料でこそ記されていたが、かつての本編では劇中で未使用に終わっており、それがとうとう実戦されたのもマニア泣かせだ。
 全身凶器という東宝怪獣の中でも実に分かりやすいヒール役、それこそがガイガンである。短編ながらもその魅力は十分伝わるだろう。


 そしてもう一つ、フルVFX作品『ゴジラvsガイガンレクス』である。

 元となった作品は、3年前に実施された才能発掘オーディションで入選を果たした『GvsG』。この時点でもう「複数体のガイガン」というサイボーグ怪獣だからこその設定で始まったが、そこに彼らを統率する大ボス・ガイガンレクスが登場。オリジナルのガイガンからさらに強化された武器でゴジラの前に立ちはだかる。
 赤いから3倍強いのかとつい思ってしまうのはさておき、このガイガンレクスがどう考えても3倍どころではないほど強い。そして複数体のガイガンも大ボスが登場すると……というオリジナルを活かしたさらなる新設定が登場し、オリジナルを踏まえつつ従来とは違うガイガンをVFXならではの描写で作り上げている。もちろん、この強大な敵を前にしてゴジラが黙っているはずもない。その戦いの行く末はどうなるか、こちらも是非鑑賞のほどを。

 VFXの精密さは言うまでもなく、もはや劇場公開レベル。これが配信オンリーでいいのかと思えるほどの迫力だ。11/3の公開から今日(2日後)の時点で早くも150万再生され、とりわけ海外からのコメントが多い。「平成ゴジラ映画が大好きだが、これはちゃんとした続編になりそう」「今回登場したゴジラがあの○○だったとは」等々、自分のようにあの時期(90年代の平成VSシリーズ)のゴジラを観て育った世代が多いのだな、と感じる。
 そういえば、あの時はキングギドラやモスラ、メカゴジラやモゲラまで復活してたものの、ガイガンは無かったのだ。もし登場していたら、全身凶器のアイツは中坊だった俺の怪獣心をどんな風にくすぐっていただろう?

 今年のゴジフェスはガイガン三昧だった。



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