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【映画】Iイギー・ポップ

いわずと知れたアメリカのロックミュージシャンです。
映画界でもその存在は音楽に留まらないロックアイコンとしてポジションを得ています。その中でもジム・ジャームッシュ監督がイギー・ポップを起用した3作をご紹介。


「コーヒー&シガレッツ」

オムニバス形式になっていてコーヒーと煙草をキーアイテムにしてあらゆる場所でシチュエーションで人は集い、会話を広げます。
モノクロで撮られた映像がどれもかっこいい作品です。

俳優はすべて自分の名前で出演しています。
11個のストーリーはショートショート小説のように俳優の実生活を皮肉ったり俳優同士の腹の探り合いのような微妙な関係性を描いたり。小技が効いていて面白いです。

イギー・ポップは同じくミュージシャンであり俳優業もこなすトム・ウェイツと共演しています。
SOMEWHERE IN CALIFORNIA(カルフォルニアのどこかで)と題して、2人は待ち合わせてコーヒーと煙草を楽しみます。
そのダイナーにはジュークボックスがあり、イギーがトムに「君の曲もない、よくない店だ」みたいなことを言ってから雲行きが悪くなります。大物の2人が小さいことを言い合うのが面白いです。

コーヒーと煙草。いわゆる嗜好品というものです。思えば近年、禁煙が浸透してきてそれこそタバコ会社が廃業に追い込まれそうな勢いです。
今、コロナの人流抑制でお酒やエンターテイメントが追いやられています。今はコロナとの深刻な戦いで仕方ないところはあるのですが。。

愛すべき嗜好品。
エンターテイメントも含め守られてほしいものです。私には生きるに不可欠です。たぶんなかったら気が狂っていると思います。



「デッドマン」

主演はジョニー・デップ。職を求めて見知らぬ土地へやってきた会計士のビル・ブレイク。土地の女に一夜を世話になるが女を想う元恋人が現れ痴話喧嘩。元恋人がふたりがベッドにいるのを見て激昂して発砲するが女はビル・ブレイクを庇って撃たれてしまいます。死は免れましたがビル・ブレイクは流れ弾を体に残したままその場を逃れます。その後、ビル・ブレイクは懸賞金を掛けられ報酬金目当ての男たちに追われて逃亡の旅へと追われます。途中、ノーボディーという男と出会います。ビルを詩人のウィリアム・ブレイクと信じるノーボディーに傷を負った体を看病され、守られながら逃亡の旅を続けます。

裏の意味がある作品だと思います。会計士として働いていた男が現世を捨てノーボディーという男に誘われ送られる。タイトルの「デッドマン」、もしかしたらビルはどこかの時点で銃弾に倒れていたのかもしれません。ぜひ詩的な目で見てみてください。

イギー・ポップは森の中でビルが出会う男を演じています。追い剥ぎのような3人組の中の1人で女装しています。なぜ?と思いますが物語が進むにつれて幻想的な世界が広がり、そうだよな女装のおじさんも出てくるよなと何とか納得できそうなジム・ジャームッシュのシュールな世界です。
とてもかっこいい作品です。





「ギミー・デンジャー」

さて。
ここで今更ですが、イギー・ポップとは。
みなさまどんなイメージでしょう?

 アメリカのミシガン州出身、イギーが最初に始めたのはドラムでした。バンド活動を主としてキャリアをスタートさせていくのですが、私がイギー・ポップという名を知ったのはもうバンド活動を経てソロになっている頃で、すでにレジェンドな存在。
 この映画はイギーの音楽人生を辿ったジム・ジャームッシュ監督によるドキュメンタリーです。過去フィルムと現在のイギーのインタビュー、アニメも駆使したユーモアと疾走感のある作品。

 いくつかのバンドを経てイギーが1967年に結成したバンド「ストゥージズ」は商業界で生きるには型破りで自由で攻撃的すぎて、契約会社が変わりまくりながらついに1974年、解散します。のちの2003年に「再統一」が実現し、2010年、ロックロールの殿堂パフォーマンス部門に名を連ねることになります。
 その道なき道をひた走る人生の軌跡をイギー本人の語りと共に回顧します。

 イギーがこの映画の終盤で話しています。
「俺はグラムロックでもヒップホップでもない。どこにも属したくはない。テレビも嫌だし。オルタナティブでもなく、パンクでもない。俺は俺だ」
自身の音楽をカテゴライズすることや商品と捉えることもせず思うままに駆け抜けた、その姿がかっこいいです。



 こんなライブもままならないご時世ですが、
何かに刺激を受けたり衝動を表現したりできるような時をまた待ち望んでいます。それまではできることをしたい。頭で考える以上に心を奪ってくれるような、文化を諦めたくない。そんな気持ちが私にはあります。そして職業としても続けづらいような世の中がどうか今後は改善していきますように。

 一時代を築いた大物たちは晩年を迎えていて、どんどん命を終えていきます。余談ですが、、このお方、74歳だそうですが私の好きな山田洋次監督、谷川俊太郎さんは89歳。。うーむ。永遠に生きてほしい重鎮。イギー含め、お元気でいてほしいです。

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