永良新

マンガ家(連載準備中)

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トーン・フレーム・ムーヴマン——マンガ『ワンダンス』について

1.導入  直接言及しているテキストにはまだ出会えていないが、わたしは直感的に、イタリア未来派が日本マンガの表現に与えた影響は、とてつもなく大きいのではないかと直感している。たとえば、マンガにおける集中線や流線といった記号は、一般に手塚治虫が発明したとされている。しかし、これらは実は、生物や人工物の運動、その残像を一枚のキャンバスに閉じ込めるというイタリア未来派の画法にも共通して見られるものだ。西洋史観に則れば、近代絵画における静物画からの脱却と、マンガの発明にはそこまでの

    • マンガエスク・ノート——鉛・インク・静電気の匂い

      はじめに  それが走る——残る線。滲む黒いインク。昇る墨汁めいた匂い。  型番=PG-6B-C-K。錫メッキのボディに凹凸された大文字の「G」。その上にはZEBRAのロゴとともに「TOKYO JAPAN」という国名が刻まれている。垂直に圧をかければ流線型の鋭角に研ぎすまされた尖端が二手に分岐。その隙間をしたたり落ちる黒い雫——Dr.Ph.Martin’sはラディアント。  ——と、英数字を羅列するだけで、森博嗣は『スカイ・クロラ』よろしく、戦闘機か何かの小説を書いているかの

    トーン・フレーム・ムーヴマン——マンガ『ワンダンス』について