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イチゴ新品種の大競争時代~愛知は「愛きらり®」2月発売~荒玉note改訂

 この記事は2023年2月にnoteに提稿した記事です。マガジン「農政ジャーナル~長靴をはいた記者」にも収録されています。


 イチゴの美味しい季節。見た目と味はもとより、続々と市場投入された新しいブランド名のイチゴにも心ひかれています。

「きらりとした艶やかさ、しっかりとした甘さ」がアピールポイント

 「愛きらり®」は、2月1日から発売された愛知県の新品種です。発売前の1月31日にJAグループ愛知記者会で試食。イチゴはどれも瑞々しいのですが、試食した新ブランドは、「きらりとした艶やかさ、しっかりとした甘さ」がアピールポイントでした。
 いま全国各地でイチゴの新ブランドが次々と名乗りを挙げています。最近のメディアでも「イチゴの日」(1月15日)に日本農業新聞が「イチゴ戦国時代」に紙面を割いていました。
 54年連続で生産量日本一の栃木県は、これまで「とちおとめ」が引っ張ってきましたが、新たに「とちあいか」への切り替えが進められていることが報じられていました。
 「とちあいか」は、「とちおとめ」よりも大粒で、収穫量が多いの特徴。生産者が年々、減っていくなかで、収穫量を維持していけるという新ブランドです。
 愛知県の「あいきらり®」も、味や見た目以外にも生産面でのメリットがあります。従来の「章姫」や「紅ほっぺ」は、春先に収獲が急増することで農家に負担がかかり、生産拡大を阻む理由となっていました。
 「あいきらり®」は、11月~5月に安定的に収獲ができるため、収獲の平準化も期待できそうです。すでに12のJA管内で61人が栽培を始めています。
 イチゴ県といえば、出荷量トップが栃木県ですが、2位は「あまおう」(2005年品種登録)で知られる福岡県。いちはやくブランドを確立して、今日のイチゴ大競争時代に先鞭をつけています。3位は熊本県。こちらはクリスマスなど年内の需要に対応できる早生品種「ゆうべに」(2017年)が主流になっています。「くまモン」のパッケージが強みでもあります。
 愛知県は4位です。大河ドラマ「どうする家康」の地元、JAあいち三河は、新規就農の支援としてイチゴ生産拠点農場を中心に地域でサポート体制を組んでいます。JAあいち海部は、6つのイチゴ組合を集約して、安定供給体制を強化しています。生産者の意識も変わっています。
 私もかつて都市化する愛知県東郷町で、イチゴ狩りで知られるコンドウ農園を視察したことを思い出します。この農園は、多品種が特長でした。創業当時の章姫だけではなく、よつぼし、おいCベリー、ゆめのか、やよいひめ、恋いみのりなど季節によって味わえる品種があります。私のように甘いものや酸味が残っているものなど、いろいろ味わってみたい消費者もいることでしょう。
 新品種ではありませんが、通常の紅ほっぺを倍以上に育てた「でかほっぺ」(2021年)もお忘れなく。JAあいち三河が規格外を廃棄せず、商品につなげた、でっかい逸品です。大味とおもいきや、とても甘くて驚きました。
 新ブランドの市場参入も相次ぎ、百花繚乱ならぬ「百果繚乱」の時代がきています。
(2023年2月13日)

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