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陽の光をいっぱい浴びたイチゴ~サンベリー蒲郡の取り組み

 愛知県・三河湾を見渡す蒲郡市は、日当たりの良さを生かして、イチゴ栽培が盛んな地域です。JA蒲郡市は、特産イチゴを「サンベリー蒲郡」として売り出しています。軸付きで収獲するからタッチレス、情報通信技術(ICT)で適正管理、県内の一般消費者限定の流通改革~という取り組みが特長です。
 ■軸付き収獲は意外にいいかも

軸付きで収穫したイチゴ㊨

 特産イチゴの品種は「章姫」と「ゆめのか」です。1992年(平成4年)に発足した蒲郡市農協苺部会の名称も「サンベリー蒲郡」。部会員38人が11・7㌶で栽培し、出荷量は全国4位の愛知県内の自治体のなかで5位です。
 JA蒲郡市によると、軸付き収獲により果実に触らずにパック詰めまでできるとのこと。朝収獲し、午後にパック詰めして夕方出荷。出荷前に冷蔵庫で3時間冷やして型崩れを防いでいます。
 ■ICTで栽培管理
 ICTを生かし、温度や湿度、二酸化炭素濃度、日射量などを測定する装置「あぐりログ」を導入中です。部会員のほぼ半数が使っています。栽培面積の約9割が目の高さで果実を確認できる高設栽培です。
 ICTで得たデータは、部会員によるサンベリーミーティングで情報を共有しています。JAグループ愛知の広報担当者によると、直近3年間で出荷先の市場からのクレームは「わずか1件」とのことでした。
 ■物流の工夫は「通いコンテナ」
 サンベリー蒲郡のターゲットは、愛知県内の一般消費者です。流通先市場は、青果大手のセントライ青果(名古屋市)1社に絞り、出荷を効率化しています。もちろん、地元のJA産直施設にも並びます。
 栽培農家が生産に集中できるように、組み立ての手間がかかる段ボールを使わずに、折りたたみ式のコンテナを使います。農家は、イチゴパックをそのままコンテナに入れます。10パック入る大きさです。コンテナはセントライ青果が集荷し、再び農家の元に戻ってきます。「通いコンテナ」と呼んでいます。段ボール資材費の節約にもなります。
 セントライ青果果実部の植田崇義副部長は「サンベリー蒲郡は各生産者が高品質なイチゴを栽培しており、県内で最もレベルが高く、各量販店のバイヤーも高く評価しています」というほど。お墨付きを得ています。
 ■販売額9億円目標

サンベリー蒲郡の贈答用㊧は、軸が外してあります。ペンギンのマークが右端にあります。
(写真はいずれも©aratamakimihide)

 サンベリー蒲郡の生産者は「家庭にベストな状態のイチゴを届けるためには栽培過程だけでなく、収穫・出荷の過程でも品質維持にこだわっています」とコメントしています。
 2022年の販売高は8億4100万円。当面の目標は販売高9億円だそうです。蒲郡市のふるさと納税品にも提供しています。
 ◼️マークはペンギン
 試食すると、軸付きも食べやすく、新鮮でした。ちなみに写真にある贈答用は、軸を取ったイチゴです。
 サンベリー蒲郡のキャラクターは、親子のペンギンです。蒲郡市にある「竹島水族館」にはペンギンがいないはずですが・・・?
 実は、ペンギン飼育で有名な名古屋港水族館が開館したのが1992年。苺部会が発足した年にちなんだペンギンでした。
(2024年2月16日) 
  
 

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