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名古屋の白鳥庭園は紅葉が見頃~正月行事も魅力的

 暖かい日差しに誘われて名古屋市熱田区の白鳥庭園に出かけました。「しろとり」と読みます。写真好きにはうれしい撮影スポットがいっぱいです。撮影ルールが厳格に規定されていますが、商業用でなければ普通にルールを守れば大丈夫です。
 ■庭園の歴史
 白鳥庭園は1983年着工。1989年の世界デザイン博覧会の会場の一部として供用され、2016年に25周年を迎えました。
 名古屋市は長野県の山林や木曽川から水の恵みを受けています。白鳥庭園は御嶽山に源を発した木曽川が山渓を潜り抜けて伊勢湾に注ぐ様子を3.7ヘクタールの敷地のなかでデザインしています。池泉回遊式日本庭園です。
 生物多様性条約COP10が開かれた2010年を機に、無農薬の庭園管理に挑戦しています。小径のあちらこちらに看板があります。「蝶の庭づくり挑戦中」の看板には、選択的除草とあります。雑草のなかにチョウの幼虫の食草があり、成虫の蜜源になるものもあるそうです。それらを刈り残していくのが選択的除草です。
 ■撮影地あれこれ

庭園内には多くの橋があり、もみじを仰いで渡る©aratamakimihide 

 私はいつも駐車場のある正門ではなく、堀川の橋を渡って北門から入ります。四季折々の景色がありますが、紅葉時期は木造の門に入口の紅葉が映えます。
 園内の橋から眺める紅葉も今が見頃。周遊していると水面に移る逆さ紅葉に足がとまりました。

池に映る逆さもみじに足を止める©aratamakimihide

 休憩の四阿(あずまや)のある場所には、水琴窟があります。水が流れ落ちるたびに、澄んだ音色が聞こえてきます。自動車の騒音がない庭園だからこそ。しばし立ち止まって耳を傾けていました。

水琴窟(手前左)の音を聞きながら目を遠方にやると雪吊りの冬支度も©aratamakimihide

 本日は貸し切りのため、立ち入れませんでしたが、「清羽亭」は、茶室や茶席はもとより、外露地と内露地の二重露地の構成が見どころ。白鳥庭園の冊子には千利休が露地のしつらえの心構えをといた一首を掲載しています。
 樫の葉の もみぢぬからに ちりつもる奥山寺の 道のさびしさ 
 ■庭園のお正月
 1月4日から8日は、「きものday」です。着物姿の来園者は入場料(大人300円)が無料になります。雪吊りを背景にして着物フォトサービス(先着50人)もあります。
 新春茶会は6日が「寿ぎの席」(松尾流)で祝います。清羽亭の小間席のほか、テーブルの立礼席もあるので、うれしいです。
 清羽亭のギャラリーでは、愛知県の小原和紙の工芸展が4日から8日まで開かれます。
 ■意味ある庭園
 白鳥庭園と関りの深い名古屋デザイン博と生物多様性条約COP10は、現役記者のときに取材した思い出があります。
 また、庭園内では、ケニア出身の環境保護活動家ワンガリ・マータイさんが植樹した木があったと記憶しています。マータイさんは、環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞した人で、「もったいない」を提唱し、母国をはじめ世界各地で植林の輪を広げた人でした。
 以前、白鳥庭園に聞いたところ、植林した木はすでにないとのことでした。それでもマータイさんの「木」は、無農薬の庭園管理を目指す志の中に今も生きているかのようです。
(2023年12月9日)

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