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冬至の七草~カボチャ(ナンキン)やレンコンなどで「うん」招く

 12月22日は冬至です。先日、ラジオを聴いていたら、冬至にいただくと良い日本の伝統食の紹介がありました。「冬至の七草」ともいわれています。
 南瓜(なんきん)、人参(にんじん)、蓮根(れんこん)、銀杏(ぎんなん)、金柑(きんかん)、寒天(かんてん)、うんどん(うどん)のことだそうです。
■「ん」の付く七草
 冬至の日にカボチャを食べる「冬至かぼちゃ」の風習は知られていますが、「冬至の七草」も良さそうです。からだがぽかぽか暖まりそうな旬の食材ばかりですから。
 七草はいずれも「ん」が二つ、ついています。冬至に食べて「運がつく」という習いのようです。
■冬至も「ん」も最後
 書棚から大峡儷三(おおはざま・れいぞう)著「暮らしの知恵としきたり365日」(雪華社)を出して、冬至のところを読んでみました。「冬至にカボチャを食べるのは全国的な風習です。カボチャはカロチンをはじめビタミンB1、B2が豊富で、栄養が欠乏しやすい冬至にはもってこいの栄養食品」とありました。
 冬至は一年(二十四節気)の最後で、「ん」も最後の文字ということで、平安時代後期に陰陽師がいいだしたようです。公家社会の風習が京都を中心に広がっていったのでしょう。
 この本が出版された1986年当時ですが、京都の70歳の女将が京のしきたりに合わせて毎日、お昼の献立を用意して評判だったことが紹介されていました。一日限定15食ですが、年中野菜が出荷され、季節感が薄れがちだったこともあり、お客さんに好評だったそうです。
■佐多稲子、宮尾登美子の勧め
 作家の佐多稲子、宮尾登美子の勧めで、1986年に「京都『木津川』のおひるご飯」(文化出版)という本になっています。女将の西村良栄さんが日々の献立が紹介されています。amazonで調べると、中古品で1万7313円から出ていました。
 ちなみに良栄さんの12月22日のおひるご飯の献立は、「冬至かぼちゃ、実だくさんのお汁、白飯、漬けもの、ほかにニシンの昆布巻きとか当座煮など」とありました。
■春の七草
 さて、「春の七草」ではJAあいち豊田の農家5戸が来年1月3日から出荷を始めます。その前に今年を締めくくる12月の冬至に、伝統食文化の継承として愛知の野菜を使った「冬至の七草」セットを提案したいと思います。
 ニンジンなら碧南市の「へきなん美人」が甘くておすすめです。ギンナンは稲沢市の「祖父江ぎんなん」が有名です。レンコンは愛西市が全国有数の産地。デザートは、名古屋市北区の「尾張菓子きたがわ」のキンカンを丸ごと羽二重でくるんだ「へそくり餅」がイチオシ。うどんには、愛知県農業総合試験場が開発したブランド小麦「きぬあかり」を使った地元麺です。
 肝心なカボチャですが、日本農業新聞の日農INDEX(12月19日)の価格動向によると、平年比140%の値上がりしていて、前週と比べても9%価格が上昇していました。それでもカボチャは欠かせません。 

■かぼちゃ伝来発祥の地
 西尾市東幡豆町にはハズ観音と呼ばれる妙善寺があります。この寺は別名「かぼちゃ寺」。西尾市観光協会によると「かぼちゃ伝来発祥の地」だそうです。9月から12月にかけて全国からカボチャが集まる「かぼちゃサミット」で知られています。12月22日の冬至当日、一部行事は中止となりますが、恒例の「かぼちゃしるこ」は振る舞われるとのこと。
 来年の冬至は、「愛知の野菜で冬至七草」のプロジェクトで、地元野菜の需要を増やしたいものです。もちろん、みなさまの健康を祈って。
(2022年12月20日)※2023年10月1日加筆再掲

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