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パートナーシップ構築宣言~なぜ浸透しないのか

 愛知県経営者協会と連合愛知は2023年2月7日、名古屋市内で開かれた愛知労使懇談会で「パートナーシップ構築宣言」への参画と実効性確保に向けた労使共同宣言に調印しました。
 この宣言は、2020年5月に経団連会長、日本商工会議所会頭、連合会長、関係大臣により、大企業と中小企業の共存共栄の関係を築く仕組みとして出されたものです。企業間取引の適正化によるサプライチェーン全体の共存共栄を目指す狙いです。
 春闘を前にして諸物価高騰で中小企業の価格転嫁に理解を示していくことも大きなテーマでした。 
 宣言文には「働く人の7割近くを雇用する中小企業の賃金引上げには、サプライチェーンにおける働き方を含めた取引条件の改善と適正な価格転嫁が不可欠」と指摘しています。
 愛経協の大島会長は「長らくこの国を覆ってきたデフレマインドから踏み出して賃金・物価が持続可能な形で上がっていく経済の好循環を生み出すために、中小企業を含めたサプライチェーン全体で価格転嫁や取引を活性化させたい」と語りました。
 そのための仕組みであるパートナーシップ構築宣言。愛経協は経済団体として率先して2022年11月に宣言しています。
 共同記者会見の質疑では、なぜ労使の間に浸透していかないのか、疑問が出されました。
 大島会長は宣言が浸透しておらず、労使が一緒になって理解の輪を広めていくことが重要として、「賃金、特に中小企業の価格転換の難しさは現実にあるが、協会として会員企業に声かけをして、連合愛知の力も借りたい」と述べました。
 なぜ浸透していかないのかについて、大島会長の答えは明快でした。
 「現場の問題じゃない。経営の問題じゃないかなと思います。トップの認識がまだ浅いのではないかなと」
 このため、経営者がきちんと宣言内容を認識できれば、指示がしっかり出せるとみています。
 連合愛知の可知洋二会長は、「この30年間、コストを上げないように、できるだけ安く購入して作るという考えでやってきた。そのマインドをリセットするのはなかなか大変ですが、経営者がトップダウンしてきた時に現場がすぐ対応できるように私たちも準備をする」と話しました。
 連合愛知には55万人の組合員がいます。38の構成組織、930ほどの単組支部があります。大企業、中小企業、業界の枠を超えてサプライチェーンを生かしていくためにも、労使の意思疎通がなにより大切。今回のような率直な対話のように。
(2023年2月14日)※2023年10月1日再掲。現在、宣言企業数は3万3728社

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