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満州開拓民の歌集「棄民」から~名古屋男性合唱団が楽曲披露

 長野県阿智村で名古屋男性合唱団の公演があると知ったのは、10月3日の読売新聞長野県版でした。国策で満州(現中国東北部)に移住した満蒙開拓団の元団員が苦難の体験を詠んだ短歌をもとに楽曲に編成して満蒙開拓平和記念館(阿智村)の開館10年の節目に披露するという内容でした。

ナレーションを交えて満州の開拓民の苦難を歌う名古屋男性合唱団

 合唱曲は7日、阿智村中央公民館ホールで披露されました。歌集「棄民」(現代短歌社文庫)は、愛知県豊橋市在住の佐々木剛輔さん(89)の作品です。歌集を読んで感銘を受けた名古屋男性合唱団の指揮者、高橋昭弘さんらが実現に向けて奔走しました。
 当日は満州開拓団の歴史を振り返るナレーションを交え、合唱団約40人が「結末は棄民とされし開拓民満蒙開拓国策愚か」などを歌い上げました。

満州開拓民の苦難を語る佐々木さん(左)と満蒙開拓平和記念館の寺沢秀文館長

■「満州」を語る責務

佐々木さんの第3歌集「棄民」

  佐々木さんは1934年に富草村(現阿南町)生まれ。8歳の時に家族とともに満州へ渡りました。1945年の終戦で、日本の関東軍は開拓民を置き去りにしたまま撤退。満蒙開拓民28万人のうち8万人が日本に戻ることが出来ませんでした。 佐々木さん一家は、辛苦を乗り越えて日本に戻ることが出来ました。ただ、伊那谷からは日本で最も多くの開拓民が送り出されており、多くの犠牲者を出した歴史も忘れてはなりません。
 ■今も「語る」責務 
 「満州」を過ぎたることとする なかれ「語れ」と父は額より見 下ろす  
 佐々木さんは、父親が77歳の時に当時の開拓地を訪れ、お詫びをしてきたときのことを歌に詠んでいます。
 「語れ」は、私にも向けられたことばだと感じています。  

■ 満蒙開拓平和記念館10周年~コロナ禍乗り越え平和訴え
ピースサポーターを募集中
 

開館10年を迎えた阿智村の満蒙開拓平和記念館はピースサポーターを募集中

  やっと建ちぬわがふるさとの伊那谷に満蒙開拓平和記念館
 佐々木さんの歌集「棄民」の1首です。
 (2023年10月13日)

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