ラピュタへの道29 こんな日もありますわ編
明日一日乗れる!上日川峠に今度こそ行くぞ!
と意気込みワクワクと準備を万端整え早めに就寝。
まさかの寝坊。
おかしい。普段から目覚ましより早く目覚めるのに。
まぁいいか、と出発。
しかし寒い。
寒いと空気も重く感じる。
実際重いのかな。密度が濃く、まるで滑らかな生クリームの中を進んでいるみたいだ。
今日の予定では250キロ、4000m登りの予定。
朝日が昇るけど気温は上がらず気分も上がらない。ルートを考えてる時は「250キロて…!4000mUPて!富士山より登ってんじゃんか!」と、あんなにワクワクしていたのに…
寝坊したせいで予定していたコースをそのまま行ったら相当遅い帰宅となってしまうだろうとネガティブ方向に向いてしまう。
上日川峠を諦める?いや、別ルートで行くか?目的地を別に?いや今日を逃したら次のチャンスはなかなか来ないぞ!…しかしな…
我に返る。楽しまなくては。
義務感で走ってはイカン!
途端に景色が違って見えた。
朝日の中の見慣れてる景色がとても美しく見える。
なんだかとてつもなく透明度の高い水中の風景みたいに見える。
結局目的地は変えず上日川峠。
でもルートを変更。まずは都民の森を目指す。
いきなりののヒルクライムだが、距離は短くなる。
ワイも成長しただろうし、タイムを意識せづに登ればそれほどキツイことも無かろう。
結果大ダメージ。
ゆっくり登ってもキツイよ民森…。
80分かけて登った。
ワイの民森ベストタイムは61分。
いつかのワイ、ホントか?と思った。なんかズルしたんじゃないだろうか。
少々休憩の後出発。
汗が冷える。
ウインドブレーカーを着てダウンヒル。
そして前回のロングライドのとき初めて登って気に入った今川峠に差し掛かる。
こんなにキツかったっけ!?
なんとか越えて柳沢峠に向かう。
なんかずっと登りが続く。
もう柳沢始まってる?
よくわからないけどもう始まってるんだろうな、とか実感してくると車の墓場みたいなところに差し掛かった。
雰囲気結構怖い。写真など撮っていると、チェーンソーを持った大男が追いかけてきそうだ。
進んだ先では何語か分からないラジオが聞こえてきて「営業中」ののぼりがはためいている。何の営業?
確認をする勇気などないワイはスルーしましたさ。
この道は大菩薩ラインというらしい。
なんとなく道志みちに似てるなぁとか思いながら進むけど、全体的に森が深いように思える。
登るにつれ積雪がちらほら。
日光が当たらない斜面は溶けていないようだ。
こんなに登っているのに発汗はしない。
寒さは感じないけど、ダウンヒルは寒いだろうなぁ。時刻は14時。
長い。柳沢長い。
コーナーを曲がるたびに「まだか」「まだ続くのか」と嘆いてしまう。
途中自販機コーナーで休んでいると車の釣人に話しかけられたり、恐ろしげな橋を見つけたりする。
一貫してこの大菩薩ラインは、闇が深い気がする。個人の見解です。
そして…
ようやく登頂。
そして気付いた。
「チャリダー」で猪野さんがエベレスティングをしたのここか!
なんとなく感慨深い。
先を急がなくてはとダウンヒル。
やがて…
しかし写真では全く伝わらないな。
道志みちでの富士山ドーンよりもなんだかインパクトが大きい気がした。
マップで見ると道がものすごく複雑になっているので、どうなっているのだろうかと疑問だったのだが、橋がウネウネとグルグルしていて、まるで富士山ドーンを何回も見せたくて作られたみたいだ。
やがて道は集落に入る。
甲州に入ったのかな。
しかしまだ下る。この集落の高低差すごいな。ここで暮らせたらヒルクラ強くなれるな、とか思いながら。
やっとこさ上日川峠の入口らしきところに来た。15時半。
大きな観光案内があったので見上げていると、近所の女性が「この先通行止めだよ」と話しかけてきた。
崩落とかそういうのですかと聞くと、「冬季閉鎖」とのこと。
とか話している横を車が登っていく。「きっとあの車もすぐ戻ってくるよ」とやれやれ顔。
大月方面にはフルーツラインに出て回るしかないと教えてくれ、そのとおりに走った。
気持ちが折れ、足も売り切れ。
リベンジは誓わなかったワイであった。
こんな日もありますわ。
道半ばでロードを降りてしまったけど、特に敗北感はない。もちろん達成感もないし、道中これと言ってエピソードも生まれなかった。
それでも満足感はある。
ロングライド出来て良かったなぁと思うし、また走りたいと思っている。
たまに「どれくらいの距離走るの?」と聞かれる事がある。150キロとか、って答えると物凄く驚かれ、感心されることもあれば、ヒマかという顔をされることもある。
ロードに乗り始めて3年位。
少なく見積もっても1万5千キロ以上は走ったであろう。
本州の海岸沿いの道を1周すると約7千キロだそうだ。数字上2周以上したことになる。
達成感とか満足感は特にないけど、どこまでだって行けるじゃん!と開放感みたいなものが湧いてくる。
ロードバイクに乗っていなかったら狭い行動範囲の中で何もかも分かったつもりで生活していたんだろうなと、改めてロードバイクに乗り始めて良かったなと思う。
このライドの次の日、会社で「昨日何キロ走った?」と聞かれ答えると、「なんで!?」(決して嫌な言い方ではなくツッコミみたいな言い方)とちょっとした会話が生まれ、すぐに違う話題になって、やがて仕事の話になった。
仕事しながらワイは思う。
「なんで乗らないの?」と心から。
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