見出し画像

ラピュタへの道31 追い風には気づかない編

風が強い日
雲が流れてく

自分の休日に風が強いのって嫌ですな。
雨なら諦めがつく。
空は晴れとても爽やかに見える。
もちろん天気予報はチェック済みなので風が強いのは分かっていた。
それでも「意外と大した事ないってことよくあるよな」とロードにまたがる。
ほんの数メートル走り出し「お、結構大丈夫かも」と嬉しくなってくるけど、風通しの良い踏切に差し掛かるととんでもない突風に煽られる。
歩いている人さえもう笑ってしまってるくらいの突風。
ふらつきながらどうにか進んで、せっかく出てきたんだから多摩サイまで行ってみようと走ってく。
散歩しているゴールデンレトリバーも全身の毛をなびかせ目を細め渋い顔だ。
老人達が笑顔で寒そうにかたまって小走りに休憩所に向かっている。ラジオ体操終わりなのだろう、なんだか楽しそう。

やっとたどり着いた多摩サイの上流から吹き下ろされる暴風はなんだか、ロードバイクで走っているはずなのに、カヌーとかで激流に立ち向かっているような錯覚に陥る。
息が上がってきて口が空いてくると、そこに空気が無理矢理みたいに入ってきて溺れそうな感覚すらある。
できる限り縮こまり空気抵抗を極限まで減らし走り続けるけど、せいぜい20キロくらいでしか走れない。
とりあえずガス橋までは頑張ろうともがき走り、どうにかたどり着いて、もう無理だとそこでUターン。
風が追い風になった途端風を感じなくなる。
さっきまでの暴風が嘘みたいにピタリと止んだのかと錯覚する。
スピードメーターをみてみるとたいして力を込めていないのに40キロ近く出ている。

追い風には気づかない。
なんだか人生にも似ているな。
辛いときは逃げ出したくなるけど、調子いいときは当たり前に思えたり。

向かい風の中走っているときに、追い風でスイスイと走っている女性ライダーとすれ違う際「こっちは向かい風なんだからね!本来もっと走れるんだからね!」とアピールしたくなる自分って小さいな。

結局今日はロングライドを諦める。
今年やりたい10のことにあげた1つ「小説を書く」を実行しようと馴染のカフェに来た。

そしてこれを書いている。
書いているうちに向かい風に向かって走りたくなってきた。
ヒルクライムをしてどうにかこうにか登頂して、もう登れない限界まで出し切ったさぁ帰ろうとダウンヒルをしている最中に足が回復してくると、…もう一回登ろうかな、とか思えてくるあの感覚に似ている。
ヒルクラの呪いだ。
さてワイはこれからどうするのだろうか?
小説を書くか?
向かい風に向かうのか?
答えは次回!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?