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ラピュタへの道18 富士山五合目から宝永山の頂へ編

そして意外と早く5合目に到着した。
やはり都民の森でタイムを意識しながら登るほうがキツイですな。
結構車やバスが駐車していて、登山家達が道の端に座って談笑していたり、一点を見つめていたり、難しい顔で居眠りをしていたりした。
そんな人々の前をワイはロードバイクで通り過ぎる。気分はウイニングランですが、誰も褒めちゃくれませんよ、はい。
奇異の目で見られることもないけど、気に留められることもない。
よくある風景なのでしょうな。

5合目のモニュメント的なものを探したのですが、どうも工事中みたいで、登山道入口にしか見当たりませんで、そこは登山客が次から次に写真を撮っていて、その列に並べば撮れるのでしょうけど、自転車を押してその列に並んで、自分の番が来て多くの登山家に見られながら自撮りを試みる勇気などワイには微塵もありませんよ、ええ。
しかもその脇には大きく「弾丸登山はやめよう!」の看板がありまして、いや、ワイは宝永山の方なので弾丸じゃないですよね、そうですよね?という雰囲気を醸し出しながら愛想良く登山道入口を通り過ぎ、どうにか駐輪できそうな場所を見つけ、汗まみれのサイクルジャージを着替えて干し、もうちょっと奥にひっそりとある宝永山入口へ踏み入れましたよ。

誰もいない。誰も来ない。

工事現場のような入口を入っていくとすぐに普通の山道になる。全然富士山を歩いている実感はないし、他に人影も見えないので少々不安になってくる。

こんな感じ

しばらく一人森を彷徨うときに何を考えれば良いのだろうか?とか考えながら進む。やっと開けたところに出るとやっとそれっぽい感じになる。
雄大で、なんか登山にハマる人の気持が分かる、って思いましたな。
すごい非日常感!
ヒルクライムで山深い峠を登りつめたときよりも!
高尾山くらいしか登ったことがないワイにとっては初めての風景で、故プリンスが3枚組ニューアルバムをリリースしたときのことを思い出した。
壮大過ぎて隅々まで聴くのは相当時間がかかるゾ、って思ったものです。チョー分かりづらいけど、宝永山への登山道でそう思ったのでそのまま綴る。Let's go Crazy!

朝家のベッドで起きてから5時間後くらいに見ている風景とは思えなかった。

やがてすごい斜面に差し掛かる。
ホントにここ登るの?ってくらいの斜度で、勾配50%くらいだろうか?ちょっと躊躇してしまうくらいだったけど、遥か上を淡々と登っているかなりご高齢の女性が見えるからここを登るのだな、と登坂ではなく登山を開始する。
そこは大きめの石が敷き詰められたような斜面で、一歩踏みしめると石々がワイを支えようとしてくれるけど無理!って言いながらワイの足ごと沈み込むみたいな感じで、なかなかこりゃあ大変だぞ、と覚悟を決めなければならなかった。
例えるならテトリスで1列ずつ消しながらも積み上がっていくみたいな感じだ。

例えはともかく、軽石?溶岩?に足を取られながらザッス…ザッス…とノロノロ登坂をするしかない

結構下山する人ともすれ違う。こんにちは、と言ってくれたりくれなかったり。
ひとまずどうにかこうにか急登を終えると、恐らくは噴火口に降りる。そこにはベンチなどがあって、人々が楽しそうにたむろしている。
ぼっちライダーなワイはもちろん素通りしながら、ロード乗ってるときもこういう場面よくあるよな、とか思いつつ再び急登が始まる。
火口に降りたということは向こう側を登るということだ。

ここを降りて向こう側を登る
右が宝永山山頂で、左の遥か上が富士山山頂だ


そんな中、降りてきた二人組の男性が「何に乗っているんですか?」と聞いてきた。
一瞬何を聞かれたのかわからなかったけど、そういえばワイはロードバイク乗りの格好だったと思い出して「キャ、キャノンデールです」とどうにか返答した。

安全のためヘルメットも着用です。

二人組もロードバイク乗りで、アンカーとトレックに乗っているそうな。
ビワイチをしたとかちょっとしたロードバイク談義を交わし彼らは下山して行った。
ちょっとだけ登山家に受け入れられた気がして、富士山にも受け入れられた気がした。
やがて馬の背と呼ばれる稜線?にたどり着く。

火星にいるような気にもなる。小さく人が見えるのが分かるだろうか?

向こう側から雲が登ってきて、火口へと流れ落ちていく光景にしばし見とれてしまう。
その濃い雲の流れはジュリーが登場するんじゃないかと思えるほどだ。
いくつもの分かりづらい例えを思いつくくらいの間そこに立ち尽くし、いよいよ宝永山の頂上へ向かった。
ここまで常に他の登山家たちの姿が見えていたので本当の意味での孤立や孤独は感じなかったけど、ここでは濃霧で視界が悪くなって人影は見えなくなって、空は曇って薄暗くなって、急に非日常感は凄みを増した。
そんな時間を半分楽しみ、半分では遭難とはホワイトアウトとはこんな感じなのかな?とか薄っすら恐怖も感じつつ進むと、微かに人影が見えたと思ったら、そこは宝永山頂上だった。

一瞬晴れたりもする。お昼すぎくらいだったかな
向こうに見えるのが富士山。

何人かのグループは「おつかれヤマぁ~」とか言い合い楽しそうだ。
ワイは持って来たおにぎりを食べながら、
ワイは今富士山の脇っ腹のえぐれた部分の先端にいるのだなぁと、しみじみと噛みしめ、和風ツナマヨを噛みしめたよ。
晴れるタイミングを待って写真を撮って頂上を後にした。
と、ここまで順調に、特にトラブルもなく登頂成功したのだが、山を舐めてはいけませんぞ。
ワイにも漏れなく山の洗礼が…。

隣で金切声の男がパソコンに向かって会話を始めたので次回に続く。


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