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ショクダイオオコンニャクの美

東京の小石川植物園でショクダイオオコンニャクが咲いたというニュースを聞き、観に行ってきた。

まずは、簡単にショクダイオオコンニャクを説明している下記のショート動画をどうぞ。

このショクダイオオコンニャク、自生地のボルネオ島では、約7年に1度しか
花を咲かせない。日本の植物園では種から花を咲かせるまで10数年かかるらしい。1年で咲くような植物のサイクルを考えると、これはとても長いように思える。

一方、僕は齢30半ばを過ぎているが、一向に咲く気配がない。
もし僕が咲いたらニュースになるのだろうか…照らしてくれる君はいるのか…そもそも咲くってなんだ…とか考えながらこの先も葉っぱとして生きていくのだろう。それはそれで性分にあってて良いかなとも思う。

さて、話はそれたが、僕が小石川植物園に出向いたのは12月10日。
12月8日に小石川植物園のx公式アカウントより開花宣言があったので、開花3日目のことだった。

小石川植物園に着いていつものように坂をあがりながら園路を進むと、
いつもと違い温室の前から行列が伸びていた。

「これはショクダイオオコンニャクを見るための列だな」
僕は、誰でも分かるようなことをボソっと呟き、行列の様子をxに投稿しようとしたが、なんだか途中でバカらしくなってやめてしまった。

行列は温室の入り口から道を挟んで続き、途中からロープ柵に沿うように曲がり、ちょうどフジの品種が植栽されているところまで伸びていた。

「恐らく30分くらいか…人が腐るには充分な長さだ…」
僕は、前に並んでいる人にギリギリ分からないくらいの小さめの声で、どこかで聞いたようなセリフを呟いた。

行列の進みは思ったより早かった。
ロープ柵に沿って少しずつ歩みを進め、温室の正面に差し掛かかったところで、遠巻きにショクダイオオコンニャクが見えた。
温室正面のど真ん中、温室入口からすぐのところにそれは鎮座していた。みんな思い思いにスマホを向けている。

遠くからでは
「あ、ショクダイオオコンニャクが見える。」
くらいの印象だったが、近づくにつれてその異様さがじわじわ身に染みてきた。あまりにもフォルムが完成されているのだ。
開花3日目ということで、しぼみかけてはいるのだが、芸術品のような美しさが伝わってきた。高級ホテルのフロント前広場の中心にあってもおかしくないオブジェのような造形。

閉じ気味だが圧倒的な存在感

そして、あたりにはショクダイオオコンニャクの臭気が立ち込めていた。
下記の東大のプレスリリースによると、開花後4時間くらいの臭気が一番凶悪だとされている。

僕が訪れたのは三日目だったので、その臭気の薄まりっぷりは相当だったと思うが、それでも明らかに温室入口から生ごみのような匂いが風に乗ってくるのを感じた。恐ろしいのが、温室の中に入ったら匂いは分からなくなったことだ。慣れって怖い。

この真ん中の柱に見えるのが「付属体」と言って、匂いを拡散させる役割を担っている

今回は満開の花は見れなかったが、開く前と満開時の比較写真が展示されていた。

右が満開。これぞ「ショクダイ」に相応しい姿。

↑で花びらのように開いているのは専門用語で「仏炎苞(ぶつえんほう)」という。この内側に雄花と雌花がある。
仏炎苞の外側の凹凸っぷりは巨大白菜そのもの。
紫色も相まって、刻んで鍋にいれたらとても美味しそう。

この白菜っぷりである

次は仏炎苞が閉じる前の満開の花を見たい。
どちらが先に咲くか勝負したいものだ。


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