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【フランス】サン・レミ聖堂

場所:ランス、フランス
時代:11~13世紀

サン・レミ聖堂
聖堂内部
左:戴冠したカロリング朝のフランス王、右:聖レミの墓所であることを示している

ランスにおいて、壮大なゴシック建築のランス大聖堂に次いで有名且つ重要な教会で、大聖堂から南に約1.7km歩くとこのサン・レミ聖堂が見えます。サン・レミ(レミギウス、437~533年)はランス司教で、西暦496年から506年までの間のいずれか(サン・レミ聖堂内の説明によると498年)のクリスマスの日に、フランク王クローヴィスに洗礼を授けたことで知られています。サン・レミは死後、自身の希望によりサン・クリストフ教会に埋葬されましたが、そこがサン・レミ聖堂となりました。
7世紀の終わりごろには、現代まで続くカトリック教会最古の修道会であるベネディクト会がここで発展し、760年ごろには、当時のランス司教であったティルピンがサン・レミ修道院を設立しました。9世紀半ばにサン・レミの遺物は、近郊の他の修道院に移されたこともありますが、ヴァイキングの略奪からも守られ、西暦900年ごろには再びサン・レミ聖堂に戻りました。ちなみにこの修道院で戴冠式を行ったフランス国王は、いずれもカロリング朝の、893年のシャルル3世単純王、922年のロベール1世、954年のロテールの名が聖堂内に掲げられています。

聖堂内の聖レミの墓所
古い時代の教会の石板
修道院を囲んでいた石壁 (10世紀)

11世紀になってから当時の修道院長により、サン・レミ修道院はカロリング朝様式の建物からより大きなロマネスク様式の修道院教会に建て替えられ、12世紀になると、さらにロマネスク様式の部分をゴシック様式に修正、拡張され、ステンドグラスもたくさん配置されました。残念ながら18世紀には、大火による被災とフランス革命による混乱により、主に建物内部が荒らされ、貴重な記念品は略奪されました。聖堂内陣にある聖レミの墓は19世紀に再建されたものです。サン・レミ聖堂に隣接する修道院の建物(18世紀のベネディクト会修道院)は、現在博物館としてガロ・ロマン時代やメロヴィング朝、カロリング朝時代の多くの出土品が展示されています。サン・レミ博物館については改めて書きたいと思います。

クローヴィスの洗礼の彫刻
サン・ジュリアン教会跡の前に立つクローヴィスの洗礼の銅像

今はもうありませんが、聖堂裏にはサン・ジュリアン教会の跡もあります。その歴史は5世紀に遡り、11世紀に再建されましたが、革命により住宅地になってしまいました。教会跡にはオランダの彫刻家、ダフネ・デュ・バリーによって1996年に制作された、クローヴィスの洗礼の銅像が立っています。


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