あいちトリエンナーレにて開催中のChilla(チッラー)のインスタレーションに参加してきた

あいちトリエンナーレにて開催中のChilla(チッラー)のインスタレーションに参加してきました。会場はなごのアジール。すごかった、というか凄まじかったです。でも一歩会場に足を踏み入れて、ここにはずっといられるな、と思った通り、13時から小時の休憩を挟んで20時まで、ずっと練習を聴くことができました。
練習は8拍子、9拍子、7拍子…と徐々に拍子が移り変わっていく。ハルモニウムの伴奏と一緒に練習したり、メトロノームを使ったり(!)、タブラボルを唱えたり、様々な方法で練習していました。そしてレイラ、チャッカルダール。おそらく一日の、また一週間など期間を定めた目標を設定されているのだと思いますが、カリキュラムやメソードがあるのか、またあるとしたらそれはタブラ奏者に共通のものなのかユザーンさんが独自に編み出したのものなのか、興味が湧きました。
ユザーンさんがタブラの細かい手を鳴らすときは、右手の動くスピードが速すぎて見えないほどでした。長丁場の練習を聴く方も大変で(練習している方はもっと大変だと思いますが)、速すぎる手の動きに少し気持ちが悪くなったり、脇目も振らず練習している姿に涙が出そうになったりしました。

練習を聴きながら思ったのは、ユザーンさんは本当にタブラが好き、というかタブラを鳴らすことが好きなんだな、ということと、でもそんなに練習してどうなりたいんだろう、ということでした。楽器をやっている人は、上手くなりたい、という思いを多かれ少なかれ誰もが持つと思いますが、ある程度上手くなったところでこれでいいや、と思ってしまわないで更なる高みを目指すのは並大抵でない精神力がいると思います。そもそもなぜ練習をするのかーー練習をしたら、上達してその分自由に演奏できるようになる、より演奏や音楽そのものを楽しめるようになるからだと思います。実際、軽々と細かいパッセージを叩いている時のユザーンさんは、集中しているのだけれど同時にとても楽しそうでした。40日間、毎日10時間の練習ーータブラは、それだけの厳しい修行を演奏者に課すのか。翻って自分のことを考えてみると、私はこれだけの精神的、肉体的負荷を自分に課してきたか。否、と答えざるを得ませんでした。まだまだ私は自分に甘い。短い間でしたがユザーンさんの修行の様子を垣間見せていただき、身の引き締まる思いがしました。

それにしても、あんな長いタブラボルをすぐに覚えて音に置き換えられるのはすごいな。ユザーンさんの記憶力はどうなっちゃっているんだろうと思いました。
半日いたなごのアジールは、涼しくて私に取っても(恐らく他の人たちにとっても)居心地の良いアジールでした。なごの、というのは那古野という地名だったことを初めて知りました。本当に、世の中には知らないことがたくさんあります。
スタッフの方々にもお世話になりました。ユザーンさん、みなさま、ありがとうございました。

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