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伝統と革新が融合する建築 とらや赤坂店・虎屋菓寮×白玉ぜんざいを堪能【東京赤坂】

私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。

今回訪れたのは、成熟した優雅でハイセンスなイメージがある東京赤坂だ。
古くは武家屋敷が集積する街として、明治以降は料亭が立ち並びや、官僚や財界人の邸宅街としても知られる赤坂。
赤坂見附駅を降りて青山通りを程なく進んだ先に、とっておきの建築と甘いものスポットがある。


1.老舗和菓子店とらやの新店舗と甘いもの

今日訪れたのは、赤坂の青山通り沿いに建つ老舗の和菓子店とらやの赤坂店だ。

とらやといえば、室町時代に京都で創業した老舗の和菓子店だが、こちらの赤坂店は平成30年(2018年)に建て替えが行われて新しくなった新店舗である。

建替え前のとらや旧赤坂店の建物は地上9階建ての建物で、新店舗の建て替え計画に際しては前の建物と同規模の中層のビルへの建替え案も検討されたが、最終的には現在の4階建ての建物となった。

【とらや赤坂店・虎屋菓寮 施設情報】
住所:東京都港区赤坂4-9-22
行き方:赤坂見附駅より歩いて約6分
竣工:2018年
設計:内藤廣/内藤廣建築設計事務所
営業時間(虎屋菓寮):11:00~17:30
定休日:毎月6日
公式Webサイト:https://www.toraya-group.co.jp/shops/shop-5

建物の設計を手掛けたのは建築家の内藤廣氏で、内藤氏は2面の道路に面した角地を生かした円形の建物をデザインした。
高層ビルが立ち並ぶ都心の一等地赤坂において、黒いチタンの大屋根が中に浮かぶとらやの建物はかなりのインパクトがある。
ガラスの外装の向こう側には木質の空間が垣間見れ、現代的なデザインの中に伝統的な老舗のイメージが重ねられている。

建物前面は、大きな唐傘のような屋根がひとつ屋根の下にそれぞれの機能をまとめるようにデザインされているのが面白い。

そういった目線で見ると、黒い大屋根が宙に浮かぶ様からは日本的な建物の要素を感じるし、チタンによる屋根はシンプルな中に普遍性を感じる素材のチョイスとなっている。

とらや赤坂店は1階がエントランス、2階が主に物販スペース3階が菓寮(喫茶)スペースと菓子の製造工程の見学スペースとなっていて、地下1階にはギャラリーがはいる。

今回の主目的である喫茶スペースは、入り口を入ってすぐの階段を登った先の3階にある。

2.考え抜かれた職人芸の空間と絶品ぜんざいを堪能

3階の虎屋菓寮は、屋内が約40数席、テラス席が約10数席ほどの座席数となっている。
座席数は決して少なくはないが、週末は特に混雑し、行列ができることも少なくない人気ぶりだ。

私が訪れたの週末の午後の時間だったが、既に3階のスペースいっぱいまで行列ができていて、結果としては約1時間ほど並ぶこととなった。
3階にあがってすぐの場所に受付端末があり、人数などを入力した後はスマホで残りの待ち人数等が確認できるシステムになっているのが嬉しい。

喫茶スペースはテーブル席からカウンター席、半個室、屋外テラス席など様々な種類の座席があり、お一人様からカップル、家族連れなど多くの人で賑わっていた。

今回頂いたのは、こちらの冷やし白玉ぜんざい抹茶グラッセのセットだ。

白玉ぜんざいはシンプルだが、餡そのもの味を堪能できる濃厚なあんこがとても贅沢な味わいだった

抹茶を冷やしたグラッセは、ぜんざいとの相性も抜群で、すっきりしたグラッセと甘いあんこの組合せがお互いの味わいを引き出していた。

お世辞抜きで、今まで食べた白玉ぜんざいの中でもダントツで美味しいいら玉ぜんざいである。
尚、虎屋菓寮のメニューはぜんざいの他にもおしるこやあんみつ、羊羹などの和菓子から、時間帯によってはランチメニューもある。

とらやといえば、以前東京駅の2階にあるTORAYA TOKYO(デザインは同じく内藤廣氏)を訪れたことがあったが、その時はおしるこを頂いた。
おしるこも今までは頂いたおしるこの中でダントツで美味しいおしるこであったが、今回のぜんざいもそれに匹敵する絶品の一品であった。

絶品の甘味に舌鼓を打ちながらふと目線を上げると、開放的なガラス面から自然光と赤坂御所の緑が目に飛びこんでくる。

また、店内は間接照明による抑えめの照明となっているのだが、それが外からの光や景観をより強調しているのが何とも素敵である。

内装は奈良県吉野の檜が、アクセントとして使われる黒漆喰やブラックのフレームによって引き締められるデザインとなっている。

木質の内装は貼り方や間隔が様々なパターンでデザインされていて、はじめは気づかなかったが、じっと見ていると同じ木材なのに様々な表情をみせてくれていることに気づく。
時には目地の陰影によって表情を出したりと、細かいけれど考え抜かれた職人芸のようなデザインだ。

こうした建築的な工夫は、まさに老舗の菓子店とらやが実践してきた姿勢そのもののようであり、舌と空間の両方でとらやの魅力を堪能できた。

3.あわせて訪れたい赤坂のおススメのグルメ建築

せっかくなので、とらや赤坂店とあわせて訪れたい赤坂の建築についても少し紹介したい。
(赤坂には本当に素敵な建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)

1つ目に紹介する草月会館 Connel Coffeeは、とらや赤坂店から青山通りを程なく進んだところに建つカフェである。

Connel Coffee

草月会館は、いけばな草月流の本部施設ととして建てられたホール、ギャラリー、オフィス等の複合建築だが、2015年にこの草月会館の2階にできたのがConnel Coffeeだ。

草月会館外観

草月会館は、戦後日本を代表する建築家の丹下健三氏が設計を手掛けた建物で、シャープに立ち上がるガラスの外装が特徴の建築だ。

2階のカフェは元の建築のコンセプトを引き継ぎ、目の前にある高橋是清翁記念公園や赤坂御所地の緑を借景として取り入れるデザインとなっていて、周辺の自然を映し出すことで変化に富んだ豊かな屋内環境をつくり出しているおススメのカフェだ

【草月会館 Connel Coffee 施設情報】
住所:東京都港区赤坂7-2-21
行き方:青山一丁目駅より歩いて約5分、赤坂見附駅より歩いて約10分
竣工:1977年(2015年改修)
設計:丹下健三/丹下健三・都市・建築設計研究所
Connel Coffee内装:nendo+乃村工藝社
営業時間:9:30~18:00
休館日:土曜、日曜、祝日

もう1つのおススメ建築は、青山通りの向かいに建物つ迎賓館 赤坂離宮だ。

迎賓館 赤坂離宮

迎賓館 赤坂離宮は、明治時代の終わりの1909年に東宮御所として建設されたネオ・バロック様式の宮殿建築で、海外からの国賓を迎える際などにも使われている建物だ。

こちらは現在も国の迎賓施設として使われているのでニュースでその姿を見たことがある人も多いかもしれない。(内部は撮影禁止)

こちらの建物は定期的に一般公開がされていて、日にもよってはキッチンカーがでていて、軽食やビールなどを楽しむことができる。

東京23区内で唯一国宝にもなっている建築は豪華絢爛にして唯一無二。

当時の日本の建築・美術の粋を尽くした建物では、震えるような建築美が体感できる。
公開日などのチェックは必須だが、赤坂を訪れた時には是非訪れてほしいイチオシの建築となっている。

【迎賓館 赤坂離宮 施設情報】
住所:東京都港区元赤坂2-1-1
行き方:赤坂見附駅より歩いて約15分、四ツ谷駅より歩いて約7分
竣工:1909年(1974年改修)
設計:片山東熊
改修設計:村野藤吾
その他:国宝
入城時に手荷物検査あり
公式Webサイト:https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/

今回は第2回ということで、赤坂の建築と甘いものを紹介した。
どの建築も素晴らしい体験をもたらしてくれる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてほしい。

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