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タイサル!第46話「目指せ在タイ民!長期生活の本格準備」

みなさんこんにちは、在タイ民になった豊田です。

今日は、いままでの「タイに長期滞在していた研究者」から、「在タイ民」になった私が、タイで生活するために準備した諸々をご紹介しようと思います。

ちなみに「在タイ民」「在タイ民」って言ってますが、「在タイ民」にも色んなタイプの方がいらっしゃるので、何か明確な基準や定義があるわけではありません。

ただ個人的に、海外転出届を出して、マイナンバーカードも失効して、日本居住者ではなくなったという、なんとなく精神的な支柱を一本失ったようなこのモヤモヤ感と、「基本日本には帰れません!」っていう学振CPDの拘束条件が、「タイ長期滞在研究者」と「在タイ民」を大きく隔てている要因のような気がしています。

今回はそんな私のタイ長期生活スタートに欠かせない準備のお話です。

Wiseアカウント登録&現地銀行口座の開設

今まで私はタイで銀行口座を持っていませんでした。

院生時代、外国人研究者でも調査許可と研究者VISAがあれば口座開設可能という情報を聞き、タイの外国人研究者を管理するお役所からサポートレターを発給してもらって銀行に行ったことがあります。

ところがタイでは、こういう若干イレギュラーな場合、仮に口座を開設できる要件が揃っていても、実際に口座が開設できるかどうかは窓口で担当になった銀行員さんのさじ加減で決まったりします。

「うーん、お前なんかメンドクセーな…はい、ダメー」

みたいな感じです。

今から思うと、外国人研究者が多いバンコクの大学近くの銀行に行けばよかったと思うのですが、当時の私はそんな状況とは知らなかったので、調査地の近くにある銀行に申請に行っていました。
田舎なので当然ながら外国人に銀行口座を開設させたことなど一度もありません。
「前例がない」という理由で何度も申請が却下されました。

「タイのお役所がこれで開設できるって言ってんねん!」
とゴネても、
「マイダイカー(できませーん)」
の一点張り。

なので、渡航のたびに結構な額の現金を懐に抱え、スリに怯えながら移動していました。
私は海外では極力クレジットカードを使いたくない派なので、手持ちの現金が命綱。それがなくなったらピンチになります。
ちょっとした出費のたびに、帰国までの日数と残額を見比べ「足りるかなー」と悩む日々でした。

タイに着いたら最初にいくところは両替所でした。
行きつけはサイアム中心部MBKの直ぐ近くのSiam Exchange。レートが結構良いことで有名な両替所。

しかし今回は簡単に帰国できるわけではないので、現金オンリーでやっていくわけにはいきません。銀行口座開設できなかったらマジでやべー!

というわけでまずは、いざという時のためにWiseアカウントを開設することにしました。
Wiseはマルチカレンシー対応の銀行口座を開設できるサービスで、おまけに海外送金が格安でできます。また、デビットカードを作って口座にお金をチャージしておくと、その残額分の範囲内で各種通貨でお買い物ができます。デビットなのでクレジットと違って不正利用のリスクも少ないし、仮に不正利用されてもチャージしてある金額以上の被害はないので安心です。これは海外生活者には必須のサービスです。
これはもっと早くに知っておくべきでした…

ちなみにWiseアカウントは日本にいるうちに作成しアクティベートします。
個人照会にマイナンバーカードが必要だからです。

デビットカードも作成から受領まで時間がかかり、また日本で一回使ってカードのアクティベートをしておく必要もあります。
このカードのアクティベートに相当苦戦しましたが、まぁそれは別の話。

さて、次にタイでの銀行口座開設。
こればかりはマジで窓口のお姉さんの一存で拒否られたら困るので、事前にタイの大学に色々な書類の用意をお願いして準備を進めていました。

そんなある日、Twitterのフォロワーさんから有益な情報が。

「日本で三菱UFJ銀行使ってるならタイのアユタヤ銀行の口座開設を入国前に申請できますよ!」

なにーーーー!

調べると、どうやら三菱UFJ銀行は2015年にアユタヤ銀行(現地名はKrungsri銀行)を統合し、「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ」というタイ現地銀行での口座開設サポートをやっているとのこと。

これももっと早く知っていたら私の調査中もこれが使えたかもしれません、悔やまれる…(このサービスがいつから開始されているのか知りませんが…)

要するに、タイで長期滞在が決まった人で、日本国内でUFJ口座を持っている人向けに、日本出国前に事前にネットで申請することでスムーズにタイ現地口座が開設できますよ、っていうサービスです。

早速申し込みました。

申請書のVISA種類のチェック欄に「RS-VISA(研究者ビザ)」という項目がなかったので、自分でチェックボックスを手書きし、「Non-immigrant RS」と書いてチェックマークを記入しました。

これでええんか?と思いながら申請すること数日。アユタヤ銀行からメールで「開設オッケー!希望の開設支店と来店日時を教えてね!」的なメールが日本語で届きました。

うおおおおお!

ということで、タイ入国翌日、必要書類とパスポート、国際運転免許証を持ってアユタヤ銀行に出頭。
なんか知らんけどすごい数の書類の束に、ひたすらサインを書かされまくりましたが、なんと即日で口座が開設できました。

じゃじゃーーーん!これがワイのタイの銀行通帳じゃ!

ついにタイで銀行口座をゲット!

そして、アプリもアクティベートしてもらいました。
おかげで、Lotus'sやmakroなどのお店での買い物や、オンラインで買ったものの着払いでQRコードでの決済が可能になりました。
驚くのは、タイでは異なる銀行間での送金でも手数料はタダ。
調査地の職員さんに食費を渡すのも、アプリからの送金で一発。

脱・現金生活、達成☆

というわけで、私のタイでの資金管理は
・タイ現地口座に5万バーツくらい入れて使用
・口座残高が2万バーツ切ったらWise経由で日本の銀行から3万バーツ送金
・加えてWiseのデビットカードに2万バーツくらいチャージしておく
という感じでできるようになりました。

お金の心配が減っただけで、一気にタイ生活がストレスフリーになりました!


移動手段の確保

今回の3年半のタイ長期滞在の間、ただひたすらに調査地に立て籠もって調査だけしていれば良いというわけではありません。タイ国内で開かれる学会やシンポジウムや会議に参加し、「どうも、豊田です」といいながら各所に頭を下げて歩き、オトモダチをたくさん作らねばならないのです。

陰キャで根暗な私にはなかなかに厳しいミッションです。

また、タイ各地のサルの生息地を視察して、比較研究が実施可能な場所を開拓したり、現地学生や海外の共同研究者に斡旋できるような研究サイトを発掘しなければいけません。

そんなこんなで、定期的にバンコクに戻ったり、タイ国内を移動するための手段が必要になります。

そう、自動車です!

とはいえ、外国人の私がタイで車を買うには結構なハードルがあります。
私みたいなド貧乏ポスドクにはタイで数百万の車を現金一括で購入できるだけの財力はありません。また、ワークパーミットを持っているわけではないので、銀行でローンを組むわけにもいきません。

なので、ワーパミ不要で外国人でも借りれるレンタカーの長期リース契約を結ぶことにしました。

我が相棒になったトヨタのヤリス。

レンタカーは借りる時期によって値段が変わります。私が契約した4月は価格が低い時期。ただ、7月から10月くらいは価格が上がるそうです。
とはいえ、ただでさえ為替レートで請求金額が変動するのに、さらに時価で料金が変動すると、予算管理が難しくなります。

「3年半借りるんじゃけぇ、金額は一定にしておくれやす!」

と駄々をこね、なんとか定額で借りる事ができました。
親切なレンタカー屋さんで良かった!

※ちなみにここでクレカ両面コピー事件が起きましたが、今のところ不正利用はありません。

ついついケチって一番安いヤリスで契約したのですが、他の車種を見ると2ドアのピックアップトラックもほぼ似たような値段設定でした。

タイの国立公園のトレイルを車で登ろうとすると、車高の高いピックアップでないと通行できないところが結構あったりします。
燃費はヤリスのほうが圧倒的に良さそうですが、調査の状況次第では来年の契約更新時に車種変更を検討したいところです。



という感じで、タイで銀行口座を開設し、移動手段を確保した私は、「在タイ民」のスペックを十分に満たしているのではないでしょうか!?

次回は調査地のお部屋の環境構築の話でも書こうかなと思っています。

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タイサル!シリーズ過去の配信アーカイブはこちらから↓

連載コラム「タイでサル調査!研究奮闘記」配信開始のお知らせ
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n28a1dc0c9402
第1話「海外調査の生活拠点」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n985accf6fef3
第2話「調査地で楽しむタイ料理!食事編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n5444528ab0bb
第3話「シャワーも命がけ!?お水事情その①」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nf5bcd9a17bc1
第4話「シャワーも命がけ!?お水事情その②」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n7c4f68bf12d1
第5話「シャワーも命がけ!?お水事情その③」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n56d26d529251
第6話「泥水との激戦を終えて」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n375ca4ab7be2
第7話「調査生活のオトモ!タイの犬たち」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n7968f75aea75
第8話「その日のことはその日のうちに!調査の1日のルーティンワーク」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nfdac8fac1ec6
第9話「忘れ物確認ヨシ!調査時の装備について」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n4fef7eb2e320
第10話「写真へのこだわり」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/na4da37e13e8d
第11話「誰だ誰だかわからない!個体識別の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n1648bde20bab
第12話「ゲシュタルト崩壊!全頭識別への道」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n24c3478ea661
第13話「サルたちの名前の付け方の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nb6a8e6119ced
第14話「タイの仏教文化とサルたちの関係について」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n9a7a6814730d
第15話「タンブン行為で私が心配していること」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nd1360f5568af
第16話「タイ生活の必需品、プラクルアンとは?」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n6bcc5b875bb5

タイ南北調査特集はこちらから↓
第17話「南北調査シリーズ開始&YouTubeチャンネル開設のお知らせ」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ncab1c13b6bf9
第18話「南部調査その①:Puckerを拝みに...キタブタオザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n5d3df0969439
第19話「南部調査その②:白いメガネが印象的!ダスキールトン編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/na32091a5b055
第20話「南部調査その③:見慣れたサルのはずなのに...ベニガオザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n3488e5942c1a
第21話「南部調査その④:アナタどこにでもいるわね!カニクイザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n219720155be3
第22話「北部調査その①:黄金の赤ちゃんを求めて〜ファイヤールトン編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ndeb079c8825c
第23話「北部調査その②:ガイコツの隣でうんち拾い...アッサムモンキー編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/naf23f701a677
第24話「南北調査おまけ:噂のココナッツモンキーを求めて−モンキースクール編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nfb50e551aa1a

第25話から調査地シリーズに戻ります↓
第25話「年に一度の風物詩!コウモリ集団飛翔の撮影秘話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n0b4911b372e2
第26話「気づけば部屋が虫だらけ!マレーンマオ大量発生の悲劇」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n264fade216ea
第27話「思い出いっぱい!タイで購入したmy冷蔵庫の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n071966d6f39a
第28話「クリスマスにひとりで死にかけた話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nead29459b1db
第29話「調査地での同居人・チンチョッとの日々のあれこれ」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nab48db873ca1
第30話「30回更新記念:タイサル!シリーズの振り返りと今後について」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nd7f4df7fdc46
第31話「雨の日の定番!カエルの唐揚げができるまで」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n46e0aa051425
第32話「ベニガオザルの噂の真相」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ndde380f51a93
第33話「担当イラストレーターさんとnoteコラボやオリジナルグッズ誕生について対談してみた」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n2d34def8697b
第34話「調査地を思い出すタイの歌ー独断と偏見で選ぶ私的25選」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n95cddb7e6dfb
第35話「11月といえば!タイの恒例行事、ロイクラトンの話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n2999bc1434a5
第36話「調査地の山に眠る黄金の仏陀像を拝みに行った話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nf5f6521ee811
第37話「第2の調査地開拓なるか!?お隣さんの視察調査の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n913898fb06a2
第38話「あくびシリーズの隠れミッション:ベニガオさんの犬歯サイズを記録せよ!」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ne3dcefbabb72
第39話「謹賀新年!2021年の振り返り&調査地で過ごした年越しの思い出」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n70a15e661168
第40話「調査地で出会った憧れの奇蟲スペシャル※蟲警報再発令!」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nc0b490d76cf7
第41話「ついに完了!コツコツ骨計測&オンラインガイド振り返り」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n9aa1341b7e13
第42話「2年ぶりのタイ調査!出国準備〜隔離ホテルチェックイン編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n9c016553d1a8
第43話「2年ぶりのタイ調査!隔離生活編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n93252e195940
第44話「2年ぶりのタイ調査〜調査地生活編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n1f6a88ccac30
第45話「タイ長期滞在開始!タイサル第二章、波乱の幕開け」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n235cc5ccaa6f

番外編の過去の配信アーカイブはこちらから↓
私論:「ココナッツモンキー」は動物虐待なのか?
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ne6add28fc064
遺跡の街ロッブリーに住むカニクイザルの歴史
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n1679cb4029b2
執筆後記:「白黒つけないベニガオザル」発売!
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nbdaac5411f19

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