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正常性バイアス

夜更け。

夫がひどい咳をしている。
ぬぅ。

アテクシ特製咳止めシロップを作り、ストローをさして持って行った。
夫をゆさゆさして咳止めシロップを渡すと「え、俺、咳してた?」。
してたともよ。
夫の毛布を引き上げ、毛布をもう一枚足元にかけて「んじゃねー」と退室。
夫の咳はすぐにピタリと止まった。

翌日。
「俺、本当に咳してた? 隣じゃないの?」
「あーたに咳止め飲ませて、隣の咳が止まる訳ないっしょーが」
「それもそうだなー」

アテクシは喘息持ちである。
ド田舎に引っ越ししておさまったのだが、今の家に引っ越してまた再発した。
なので、あんな咳がどれだけ体力を消耗するかは自分でわかっている。
だから、すぐに動くのだ。

夫は、私の具合が悪くても看病に来ない。
おろおろと心配しつつ、私なら大丈夫ということに、自分で勝手にしている。
正常性バイアスというやつだ。
喉元過ぎればナントヤラとも言う。

私の具合が悪いと、うちの猫は添い寝してくれる。
体温がほんやりと温かくやわらかく、うちの猫の優しさが沁みる。
だが猫には、アイスノンを交換したりとかは、ちと無理である。
(出来るんなら、絶対やってくれると思うが)

ああ、たまには看病されてえ。