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Queen + Adam Lambert 2020年1月25日公演 備忘録

Set List
00. Introduction (Innuendo)
01. Now I'm Here
02. Seven Seas Of Rhye
03. Keep Yourself Alive
04. Hammer To Fall
05. Killer Queen
05.5. Adam Lambert's MC
06. Don't Stop Me Now
07. Somebody To Love
08. In The Lap Of The Gods... Revisited
09. I'm In Love With My Car
10. Bicycle Race
11. Another One Bite The Dust
12. I Want It All
12.5. Brian May's MC
Acoustic Corner (13-16)
13. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
14. Love Of My Life
15. '39
16. Doing All Right
17. Crazy Little Thing Called Love
18. Under Pressure
19. Support Member Introduction / Dragon Attack
20. I Want To Break Free
21. Intro: You Take My Breath Away / Who Wants To Live Forever
22. Guitar Solo
23. Tie Your Mother Down
24. The Show Must Go On
25. I Was Born To Love You
26. Radio Ga Ga
27. Bohemian Rhapsody
Encore
28. We Will Rock You
29. We Are The Champions
Ending
01. God Save The Queen
02. "Heroes" / David Bowie

 セットリストは直近の韓国・ソウル公演とほぼ同じだが、アコースティックコーナーに「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」が追加され、「Fat Bottomed Girls」の代わりに「I Was Born To Love You」が取り上げられた。選曲については特に文句なし。往年のヒットソングがこれでもかと演奏されるので、自分は2階席でずっと座って観ていたにも関わらず最後の方は疲労困憊気味だった。ただ、29曲も演奏するという都合上仕方ないのかもしれないが、尺が短縮された曲も散見されたのは少しだけ気になった。特に「Keep Yourself Alive」は好きな曲だけに完奏して欲しかったという思いがある。

 正直な話、00年代以降のQueenの動向はさほど注視していなかったので、今の演奏の出来具合は果たしてどんなものかと思っていたが、ブライアン・メイもロジャー・テイラーも想像していたよりずっと元気で嬉しかった。二人とも70代という年齢を感じさせない演奏とコーラスワークで、リードボーカルもフレディ健在時の音源と比べても全く見劣りしない。特にブライアンは宇宙好きが高じてかギターソロを小惑星の上で弾きまくるという尖ったパフォーマンスを披露していて笑った。アダム・ランバートは当然フレディ・マーキュリーとは違う存在なので比較してどうこう言うことはしないが、声量と声の伸びはこのバンドで歌うだけあって流石に抜群。余談だが、「We Are The Champions」の"No time for losers"の下りはフレディはライブでは基本的に下げて歌うので、アダムが普通に下げないで歌ったのには逆に違和感を覚えてしまった。フレディの映像は「Love Of My Life」とアンコール後の客煽り(確かウェンブリー公演)で用いられたが、フレディを必要以上にフィーチャーしてエモい雰囲気を作り出す選択肢を取らなかったことは個人的には好印象。あと、スパイク・エドニーが今もサポートでキーボードを弾いているのにはビックリした。

 ライブならではの印象に残ったパフォーマンスを挙げると、オープニングの「Innuendo」をモチーフにしたインスト(プログレファンなので大興奮した)、「I'm In Love With My Car」から「Bicycle Race」への「乗り物」繋ぎ、「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」と「Love Of My Life」における観客の合唱(ブライアンがMCで「一緒に歌ってくれる?」と言って歓声が返ってきた後に「……ホントに?」と付け足したのは笑った)、「映画を観ている人なら知っている曲」との紹介の後、曲の前半がブライアン(ギター)とロジャー(ボーカル)のSmile組で演奏された「Doing All Right」、サポートメンバーの紹介から「Dragon Attack」へとシームレスに突入する流れ、デヴィッド・ボウイのパートをロジャーが担当する「Under Pressure」、「You Take My Breath Away」のイントロに導かれる「Who Wants To Live Forever」、ブライアンの宇宙空間での長尺ギターソロ(「Brighton Rock」でお馴染みの三味線風フレーズもあり)、フレディ在籍時はライブでの演奏が叶わなかった「The Show Must Go On」、等々。全体的にコーラスが分厚く充実していたのは流石Queenといった所で、サポートも入れているとはいえとにかく安定感が凄かった。今のQueenは良い意味で80年代のエンターテイメントとして完成された姿を引き継いでいると思う。背後のスクリーンを活かした演出もなかなか楽しかった(アンコールでは「News Of The World」のジャケットのロボットも登場)。それと、全ての曲目が終了した後にボウイの「"Heroes"」が流れたのは非常に感慨深かった。2016年にフレディの後を追ったボウイへの追悼の意味合いが込められているのは明らかだが、そういえばこの曲では"I, I will be king and you, you will be queen"と歌われていたなと思いを馳せた時、もしかしたらこのライブで一番泣きそうになったかもしれない。ライブ全体を通して最も良かった場面はなかなか決めがたいが、強いて言えばブライアンのアコースティックコーナーだろうか。自分がQueenというバンドを本格的に好きになるきっかけとなった「'39」を生で聴くという尊い体験ができたし、また、オールタイムベスト級の曲がずらりと並ぶ中、そこまでメジャーではないこの曲が取り上げられたことで、ブライアンも「'39」に対して特別な思い入れがあるということが分かったのもとても嬉しかった。

 繰り返しになってしまうが、最近は往年のロックミュージシャンの訃報がますます多くなってきている中、ブライアンとロジャーの健在な姿を目に焼きつけることができて一安心した。総じてとても充実したライブだったし、Queenにはまだまだ聴きたい曲が沢山あるので、もし機会があればまた観に行きたいと思う。

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