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設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#020:一次提案で求めるもの-なぜそのチーム体制か

一次、二次と二段階の選考・審査をするのが一般的ですが、では一次提案では何を求めるのがいいでしょうか。この話題を数回つづっていこうと思います。

一次提案で求めるものの第一要素を私はチーム体制であるべきと考えます。設計(者)プロポーザルは案ではなく、人を選ぶものです。であれば当然、まず聞きたいのはどのような体制でプロポーザルに臨むのか、この一点です。

この際、往々に設計者の体制しか記述を求めない要項を見かけますが、それは避けましょう。いまや、設計は建築設計だけに留まらない仕事になっています。意匠や構造、電気、機械の担当技術者を明らかにするよう求めるのは当然ですが、それ以外に情報システムや情報サービスの設計者、市民を含む関係者とのコミュニケーション(広報を含む)のスペシャリスト、防災・減災、専門的なアドバイザー等の詳細も求めましょう。いまや、設計チームの内実は多様です。実態を適切に評価することは急務です。

このとき意識しておきたいことがあります。これらの比較的新しい役割には建築士に相当するような国家資格は存在しないのです。そのため技量の評価・担保が必要な際は一定範囲で実績の記載を求める必要があるでしょう。研究者やデザイナーの場合は自身の実績に必ずクレジットが附されるものなので、要求することは決して無理なことではありません。

ここまでをまとめると、チーム体制には以下の体制を求めるのがお勧めです。

  1. 意匠設計

  2. 構造設計

  3. 電気設備

  4. 機械設備

  5. 情報設計(Information Architecture)

  6. コミュニケーション

  7. 防災・減災

  8. 専門アドバイザー

こういうチーム体制を求める際に大事なことがあります。それはただ担当者を列記するだけにはしないことです。列記ではなく、こうした専門家のチームがどういう観点や理由で組成されているのか、そこで起きると期待している相乗効果は何なのかを記述してもらいます。このチームの組成理由こそ、一次提案の重要なポイントの1つです。
プロポーザルのデザインでここが甘いと、ただ有名な名前を列記しただけの薄い提案書になってしまいます。そのうえ、実際にそのチームを設計者に選定し、業務が始まった際に期待していたチームとしての働きがなされません。特に情報設計やコミュニケーション、防災・減災や専門アドバイザーが名義だけの参画となると、チーム体制を選んだ意味が疑われることになってしまうのです。

なお、情報設計、コミュニケーション、防災・減災、専門アドバイザーといった職能については、チームに必ず含むことと要項上、明記するかは考えどころです。この点は別途ふれましょう。

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