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Poem

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Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
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2018年4月の記事一覧

Poem)ピーターの黒い目

Poem)ピーターの黒い目

猫がいないのをいいことに
どうやら小さな動物が
住みついている
深夜に机に向かっていると
カタカタと音がする
そっとそっと
気付かないふりをして
目だけで音を追ってみる
何かがサッといなくなる
何日も何日も
そんな日が続いていた

だが、今日は
ふっと見たら
いる、
開け放しにしてあるドアの角に
いる
全く逃げようともしない

今さら誰?
とも尋ねたくない
見たままの彼だから。
ピーターと呼んで

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Poem)ションボリショボリ

Poem)ションボリショボリ

ションボリショボリが
止まらないから
おめでたい神さまを
呼びに行こうと思った

どうぞこちらをお通り下さい
おめでたい神さまが
お通りになると
花の香りがするものだ

風がときおり吹いてきて
どこからか
花の匂いを
運んできたら
それは目の前を
おめでたい神さまが
お通りになっているのだ
花びらひとつ
置いていかれることもある
#詩 #現代詩

Poem)たまゆらの野

Poem)たまゆらの野

赤い花が咲いていた
枯れ野に一輪、咲いていた
詩人はたまゆらの野を
さまよった

後ろ姿に声をかけてはなりません
古(いにしえ)の約束事には
後悔では済まぬ深い闇が
いつでもひらいている
時間の軸が方向を変えて
しまうエネルギーの核が隠れている
地雷を踏まぬように、
雨風に消えゆく寸前の
人の形をした足跡を辿って行く

前を歩く詩人の撒く種が
地面から吹き上げる風に
ほうぼうへ散らばっていく

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Poem)石の放物線

Poem)石の放物線

水溜りに石を投げ込んでは
逃げていく子供がいるのだけれど
実は
虹を作っているのだと思わない?
人に見られたら成就しないという
祈りへのオマージュのように

誰もいなくなると、
いたずらっぽい笑を浮かべて
またやってきて
何回でもポトーンと、
石を放る

少年が投げる石の放物線には
やがて、光があたり
足元から伸びていく物語を
風が見つける

虹色の竜巻をときどき起こしては
風は石の曲線を
伴走し

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