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Poem

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Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
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2018年12月の記事一覧

Poem)白い階段

Poem)白い階段

降りていく降りていく
誰かを迎えに降りていく
地下へ伸びる白い階段
降り積もる雪の下に
扉が開いて
降りていく降りていく階段

誰かの手に触れる時、
降りていく階段のさなか
青い空はいつまでも
白く塗り替えられたまま
本当に青い色はあったのかと
記憶に問うているが、
白い雪白い光白い隙間に
白い花びらが零れ
誰かの手に触れて、
白く
時間は白く結晶となり

降りていく降りていく階段
誰かの手は暖か

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Poem)童べうたの神さま

Poem)童べうたの神さま

海にも空にも川にも山にも
風にも神さまがいらしてなあ、
フーフーって息をしていらっしゃる
その吐息が
青い青い深海の魚になったり
白い白い雲になったり
川ベリに遊ぶサワガニになったり

鳥は楽しそうに神さまの言葉を運んでいる
葉っぱは神さまの音楽に、体を揺らして踊っている
小石や土や雨が、ありがとうって言いたくて、地上にたくさんの花を咲かせる
猫は幸せなどんな音も聞き漏らさないように、耳を傾けて目

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Poem)空…

Poem)空…

ピイと鳴く声が聴こえて
空を探す
鳥は空に住んでいる

どうしてって、
急に青い色の中から現れる
木の梢から白い雲の方角へ
帰っていく

鳴き声は
青い大きな扉を開ける合図
いっせいに飛び出てくる時間だと言うのに
人間はまだあの扉を通れない
人間は空から遠い
#詩 #現代詩

Poem)そして、空

Poem)そして、空

ことによったら、
葉っぱは
木の梢から離れたら
空に舞い降りるのだと
思っていたかもしれない

風に揺れていた葉は
重力があることを
知らなかっただろうから
どうして地面に落ちたのかと
不思議に思ったに違いない

空は、どこからが空だろう
蟻は私を見上げては
私の頭の位置は
空に近くて、
きっと、空に届いているのだと
思っている

私から見たら、
飛行機は、空を飛んでいる
鳥も、空を飛んでいる

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Poem)葉っぱの傘さして…

Poem)葉っぱの傘さして…

雨の雫を数えているカエルがいる
4、5、10(よんごーじゅー)と、
いつか人間の子供に教わったように
数えている
4、5、10、4、5、10
雪解けして、黒い土の中から出てきたカエル
ずいぶんお日さまが眩しくなったり
いい匂いの花びらがベッドを
包んでくれたり
4、5、10、4、5、10と
数えているけれど

秋、という言葉を
どこからか空を飛ぶ鳥が
落として行った
嘴に挟んだ黒い実を
加えなおし

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