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Poem

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Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
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2019年1月の記事一覧

Poem)ジョン

Poem)ジョン

ジョンは、教えてくれた
薄曇りの雲のあいだに
黄金色の太陽が
あらわれたら
砂の上に
線を引いて 歩きだせと、

悲しみと喜びと
赤色と青色と
情熱と静寂と
正反対のものを重ね合わせて
新しい線を引けと

お城もできるし
天国への階段も伸びる
秘密の音階も
白と黒からはじまる
ジョンは
ヨハンともファンとも呼ばれる
#詩 #現代詩

Poem)鳥

Poem)鳥

風の羽に
乗りたいと
思うことがある

風は 羽だ

鳥は 時々
立ち止まりそうになる
すると
風は
鳥に、その透明な1枚を
分けてあげる

鳥は 風のはざまに
生まれてくる

風がふうーっと
息を吹きかけると
また1羽 また1羽
新しい鳥が
生まれている
#詩 #現代詩

Poem)時の雫

Poem)時の雫

時の雫をガラス瓶に1滴2滴と
溜めていく
時の雫が入ると
それまで透明だった瓶は
青い色に変わる

誰が集めだしたのか
わからないのだが
青いガラス瓶が
町はずれの公園の
樹齢900年の木の枝に
ぶら下げられているという
青い実のように
何本も何本も

その木を見たいと思っております
コトンコトンと鳴り響く
水音が聴こえてくる方へ
歩きながら、行ってみる
1本だけ、あの青い瓶を分けて貰えないでしょ

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Poem)静寂

Poem)静寂

時の移ろいの中で
何度も立ち止まる
私の落とす影に
蟻が忙しく動き回る
歩を静止することも
宇宙の奏でる音楽のひとつのように
静寂な自分を取り戻そうとする
と、空白の隙間に
風がたくさんの命を運んでくる
鳥たちが舞い降りる
#詩 #現代詩

Poem)眠り苔

Poem)眠り苔

眠り苔という苔があって
お正月になると
1日だけ光りだす

眠り苔が自生する
昔ながらの村。
眠り苔が屋根を
覆っている

どこの家も、人々は
寝入っている伝説の村

初老の郵便配達人が
正月2日の朝だけ
この村を訪ねるのだが

屋根の苔は光だし
村人が家の外で
おめでとうと
挨拶を交わしている
眠り苔に守られた村

1年に1日だけの目覚めを
悲しむことはなく
祝福の記憶を重ねていく

この星に殺

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Poem)星の匂い

Poem)星の匂い

希望の言葉をどこかへ置いてしまい
雑草がその上を蔓延り
もう探すことが出来ない時に
夕暮れは容赦なく暗闇へと変わり
その記憶さえ塗りつぶしていった。

星の匂いを嗅いだことがあるかと
尋ねられて、
誰に問われたかは忘れてしまったけれど
答えを探していたことは鮮明に覚えている。

“白い小さな花だ、土に埋もれそうになって、細い茶褐色の葉の裏に咲いていた花。
その匂いは星の匂いがした“
と答えようとし

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