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Poem

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Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
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2019年2月の記事一覧

Poem)鳥のうた

Poem)鳥のうた

愉快な音を連れてきた
鳥は空から
美しいものの音を
じっと耳を傾けて聞いていて
教えてくれるのだ

梢に止まり、何を練習しているのと
尋ねてみるといい
ああ、さっき聞こえてきた女の子の
優しい詩のことばやママの声、
男の子の吹いていた笛の音さ
と答えてくれる

ああ、だからきみたちの声は
いつも少しずつ違っていて
美しい

私も真似てみるよ
私の話せる言語でね
風が悲しみを連れ去るように
#詩

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Poem)宇宙的な話を…

Poem)宇宙的な話を…

宇宙的な話をしよう。
何も特別なことではない。
緑の葉っぱは驚くほど宇宙的なのだ。
緑色の柔らかな羽を大事に思えてきたら
きみの目は宇宙視力だ。
この星にしか生息しない生き物に
満ち溢れて、
みんなは気づいてる?
シャツを着てズボンを履いて
仕事に行くけれど、
ねえ、この服って
宇宙には売ってないんだよ。
#詩 #現代詩

Poem)きのうのひかりは

Poem)きのうのひかりは

きのうのひかりは
この花の
落ちていく花びらに宿った
今日、花はきのうのかたちから
離れた
芯にひかりの雫を落として

ひかりは種というなまえに
変わり
何代もの根っこに繋がって
絶望を希望に変える
時間というのはこの根っこから
伸びていて
風に乗ってきては
あなたの口びるを勇気づける
言葉というのは時がもたらす羽、
あなたの言葉があなたを温めるように
時は取っておきの柔らかな
ひかりのような羽を

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Poem)滴集め

Poem)滴集め

滴集めをしている人の家に行ってみると、色ガラスの瓶が5、6本小さな部屋に置いてあった。もうどのくらい集めてるんですか?と聞いてみると、20年か30年ね、と答えてくれた。その割に本数が少ないのかしら、と胸に言葉が現れたが口にしなかった。光の1滴なのよ。赤い瓶や青い瓶に入れていくの。
それから、雨は駄目なのよ。色がまだついてないから。一晩中、降り続く雨、葉に溜まった1滴から緑色は集めるのよと言った。

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Poem)木々へ

Poem)木々へ

ビードロの緑色が
流れている幹を
風は
何度もノックして
通り過ぎる

風はあなたの言葉を
知っている
あなたに告げる言葉を
置いて行ったり
持ち帰ったり
鳥のように訪ねた

白い風は
あなたを真似て緑色の風に
なる
#詩 #現代詩

Poem)新春

Poem)新春

太陽に道を照らされ
歩いていく
闇夜がそろそろ明ける頃
昨日までの道を歩いている
ここから先はまだ開いていません
信号機を待つように
芽吹きを大きくふくらませていく
木々の横で
一緒に深呼吸をする
明日も晴れよ、と
扉を開くのは水仙の蕾
#詩 #現代詩