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創作途中の話 -「風」-

アンビエントのブームが来ているとか。以前から静かなブームはありましたが、このコロナ禍で、穏やかな瞑想に近い環境音楽は、必要で求められるのかもしれませんね。

私が現在作っているアルバム曲の7曲は、ピアノのインストゥルメンタルと歌入りの両方がありますが、その中の「風」(仮タイトル)という曲は、ある林を吹き抜けていた風がインスピレーションとなってできています。自分の中では、風の物語のような感じです。

風は、そのものを誰も見たことはないのですが、
風が揺らす景色を見ることで、風の通っていく様子を知ります。
風は時間を連れて流れます。木々の間を抜けて、木々の言葉を遠くへ運んで行き。川面や湖水に幾重にも波を描き、人家の屋根に光を翻し、鳥の羽に触れ。
…私たち人間も、風に向かって歩いたり、風に押されて歩いたり。心の風景にクロスしながら、いつも風と一緒に生きています。

風は過去から現在へ、未来へ吹いていくように感じます。途絶えることなく、形あるものの変化そのものを包容しながら。
今回はそんな風の姿が、幻想的な思いを運んで来てくれました。

ところで、時と風と音楽というのは、どこか共通点があるように感じます。時も風も音楽も通りすぎて行ってしまうものですが、置き土産のように、時々受信側の調子が良ければw、豊かな思念を置いていってくれます。
そして、作った音楽は(詩の言葉も同じ作用があるかもしれません)、過ぎ行くものを形に止めては、何度も繰り返し再生できるところが魅力だと思います。


現在、すでに曲はできているのですが、(細切れの日常の時間の中で制作のため、そのせいもあり、そのお陰でもあり、贅沢な時間をかけて熟成中ですが)、練習を重ねては、形なき風の姿や風の詩念が音と一致する完成形へ近づけて行けるようにと思って、微妙なニュアンスの違いを、時を経て教えられながら進めています。

それにしても、ここ2年ほど、この時代のせいが大きいのですが、物を作る速度が、世間の流れとかけ離れていて、山に籠っている隔世の人みたいになったら浦島太郎になってしまうなと思い始めてますw。

決算季節になりまた仕事も増えていますが、そろそろ作品のひとつひとつを終わらせて、次へ次へと形の発信を進めていきたいなと思っています♪


#Arimエッセイ #Arim音楽

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