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散策に行く…

そのうち、徐々に枯れ草色に
移行していく道を踏みしめながら、
日一日と歩いていくのが好きです。
今日の草の色は、今日の出会い。
昨日でも明日でも会えない植物の
色を知りたくて、歩いていく。

そこには、時間というものの秘密が
隠れていて、植物も動物も、
刹那の自分の衣装に彩られている
ことを知っている。
風は、日時計を回すように
吹いてくる。

目を凝らして、色や形の向こうを
見ようとする行為と、沈黙の奥に
もの音を聞き取ろうとする行為は
とても似ている。
というか、深い地下で繋がっている。
両者が重なり合うような時間。
散策はそんな一時。

沈黙とは、しかし全く音のない世界
とは限らない。
雑音や音楽やおしゃべりや喧騒の
横に、鳴り響いている音があって、
それを聴きたいと思っている。


#エッセイ

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