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薔薇に吹く風…

薔薇が綺麗だ。
街なかの人家の庭に咲き溢れる薔薇を、車を走らせながら見ている。すると薔薇の花の向こうに、小さな頃の風景がよみがえる。
小学生の時、母は庭の花をよく学校へ持たせてくれた。
薔薇や金木犀を持っていく時は、同級生が、いい匂い~なんて言ってくれる顔を思い浮かべながら、特に嬉しかった気がする。

薔薇には(美しい花には)棘がある、というのも、比喩ではなく、子供の手と心に刻まれた。
母がパチパチと花鋏で棘を取り去る横で、手で採った三角の立派な棘の一つを鼻に乗せては、兄と遊んだことが思い出される。何の遊びだったのか、今となっては不明だけれど、可笑しくて笑い合っていたことは、鮮明な記憶となって残っている…

小さな風景を連れてきてくれた薔薇。
涼しい風が吹いてきて、今日の薔薇の匂いは、次の楽しい未来へ羽ばたいていくようにと、送りだすのだ…


#Arimの詩 #詩 #現代詩

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