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最後の赤字

3カ月のさとゆみビジネスライティングゼミが、昨日最終講義を迎えた。ビジネスセンターの会議室に、毎週画面越しに見ていた馴染みの顔がずらりと並ぶ。
やっと会えるね。でも、会えたら、終わってしまうね。高揚感とさみしさが混ざって、10数年前に大学を卒業したときと同じような気持ちで仲間のSNSの投稿を見ていた。
桜の花がひとつふたつ咲き始める時期は、どうもセンチメンタルになりやすい。そんな季節に最後の講義があるのは偶然かしら、と思ってしまう。


最終講義では、ゼミ生全員が4分間のプレゼンをすることになっていた。プレゼンの課題は「本の企画」。「あなたが著者(作者)として、本を書くなら、どんな本を書きますか?」これが最終課題だった。

「おぬしは何者で、なにを考えて生きておって、どのように世の中を良くするのじゃ?」と、神様か仙人かなにか、とにかく上の方から、声が降ってくる気がする。「そんな大層なことは」と言い訳する間もなく課題提出期限が迫ってきて、〆切6分前の23時54分に送信ボタンをクリックした。


提出した企画は「妖怪シゴトモイクジモ」というタイトルの育児エッセイ。仕事も育児も全力投球で日々を駆け抜け、気力も体力もへとへとになるまでがんばりすぎてしまうのは、「仕事も育児もがんばれ」と囁く妖怪のせいかもしれないよ、というのが企画の骨子だ。ほかにも3つくらい企画を考えていたが、最初に頭に浮かんだこの企画を提出した。

全員のプレゼンが終わって、一人一人にさとゆみさんが講評をする。わたしが今回のゼミで最後にもらった赤字は「企画も構成もおもしろい、あとはガンガン書くしかない」だった。


ゼミが終わったら、さみしくなるな、どうやって過ごしていこうか、と心配していたけれど、どうやらそんな言い訳をする時間はなさそう。わたしがやるべきことは、最後の赤字にはっきりくっきり示されている。書いて書いて書いて、書くしかない。

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