ヒート

 強盗と刑事のダブル主人公。強盗がデニーロ、刑事がアルパチーノ。3時間もあった。冒頭の車の襲撃、終盤の銀行強盗の場面は見ごたえがあった。

 デニーロは何の役をやってもデニーロだ。ひきつるような笑顔が、この作品では少しだけだが見られた。仲間にだけは笑顔を見せるところが、あのマフィア映画と同じだった。

 強盗も刑事も、女といさかいになる。強盗と一緒になりたいなんて人はあまりいないだろうし、刑事も職務に忠実であれば四六時中仕事で配偶者はたいへんだ。どっちもいやだが、刑事は公務員だから手を抜こうと思えば抜ける。強盗は、人のものを盗んだり、場合によっては人を傷つけたりするから、それは心中おだやかではいられない。

悪いことをしてはいけない、というのはこういうことだ。他人に迷惑をかけるから、悪いことをしてはいけないのだと、子どものころは思っていたけど、他人は何かのはずみで忘れることができる。でも自分からは決して逃れられない。

自分のしたことの罪悪感からは逃れられない。罪悪感を払しょくするには、頭がどうにかなるしかない。一生、苦をひきずるくらいなら、多少の利得のための悪事なら働かない方が、結局トクだ。

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