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R-18 大人向け『仮面ライダーBLACK SUN』悲劇と喜劇のはざまで...

全10話、観終わる。

これまで仮面ライダー作品に一度も触れたことがなく、
ただ官房長官役の 尾美としのりさん の芝居目当てで軽く観始めたら
意外とすんなり世界に入り込めて
サクサクッと見進められた。

YouTubeにアップされてる
ノーカットトーク舞台あいさつの動画で白石監督が最初PG12を目安に制作していたら最終的にR-18+になったと、
そして西島さんはギャラ返すから子どもたちも観られるVer.を作ってほしいと述べていて、
どんなものかと実際観てみたら話数によってレイティングが異なっていた。

バトルシーンでは怪人たちが人体?怪体?損壊されていたけれど
人間の形をしていないのでそんなにグロくは感じなかったし、
その後も人間の頭が潰されたり
手術の様子・四肢・首落としなどの血まみれ描写もあるので
苦手な方は要注意かもしれない。


〈ざっくりあらすじ〉
政府は表向き 人間と怪人の共生を謳いながら
現実は人間が優位で怪人は蔑まれる存在には変わりなく、怪人への差別意識が蔓延る2022年が舞台。
キングストーンという光る2つの石や
創世王という怪人にとって絶対的存在、
また怪人はどのような経緯で誕生したのかを巡って
2022年と1972年を行ったり来たりしながら繰り広げられていく群像劇。

南光太郎/ブラックサン(西島秀俊)と
秋月信彦/シャドームーン(中村倫也)の関係性やバトルは熱かったし、
怪人差別撤廃を訴える強い意思を持った少女 和泉葵(平澤宏々路)が
ブラックサンとの交流によってさらに強固なキャラクターへと成長していく様が見ごたえあった。

光太郎と葵のやりとりで二ヶ所ほどこれは惚れる…最高…と胸キュンした場面もあったり、
とにかく光太郎の姿勢がTHEハンサムヒーローだったし、
葵の芯のある性格は光太郎に負けず劣らずだった。

てか葵役の子なんか観たことある顔だと思ったら、
今ハマってるNHK夜ドラ『つまらない住宅地のすべての家』の由緒正しき系の家の子だ!ってなった。
この仮面ライダーでは雰囲気が全く違う女の子を演じられていて、
度々英語長セリフを喋り
叫んだり 涙ボロボロ流して感情を存分に表現されていて15歳でこれだけ魅せられるって凄いなと思った。


そして意外だったのが
総理大臣役のルー大柴さん。
もう登場からいかにも嫌~な雰囲気を漂わせていてストレートに悪役だったし、
毎週聴いてる爆笑問題カーボーイ内のラジオCM(チャップアップ育毛剤)で
「藪からスティック ルー大柴です!」とか「驚きピーチの木ですけど…」等
明るくトゥゲザーしようぜ!って言ってるイメージしかなかった。
なので悪総理がすごく新鮮で しかもそれがハマってて面白かった。

そんな総理にスマートに従える官房長官役の尾美さんは度々含みを感じる表情をされていて、
ああこれは絶対腹に一物あるぞ…とワクワクする役回りだった。
(つまらない住宅地~では お茶目で控えめな性格の恋する警備員のおじさん、この作品ではピリッと口数の少ない官僚で、同時期に全く違うタイプのお芝居が観られてめっちゃ楽しい)


表現としてなかなか踏み込んだ、
下手したら今の時代炎上しそうだなと思ったのは
創世王が垂れ流すエキスと"マイノリティーな人間たち"の肉片を混ぜ合わせた
ゼリー状の食べ物を怪人たちが食べると傷やらなんやら回復するアイテムがあって、
このマイノリティーの表現がなかなかだった。
同時に私もこの世界の人間だったとしたら肉片にされてそうだと思ったし、
もし怪人にされちゃったとしても
単純に食べたくないなと思った。

たくさん登場する怪人の中で
特に印象に残ってるのはやはり葵の幼なじみのスズメ男子(木村舷碁)と、
政府にべったりな冷酷鳥類系怪人(吉田羊)かなぁ。

スズメ男子と葵の青春な感じとか
声変わりしかけてる時期特有の声とか
彼なりに悪に立ち向かっていく姿勢がよかった。
吉田羊さんは怪人に変身してバトる時の吹き替えの声質が素敵で、一番声優っぽかった。

あとは怪人を差別し倒すデモの代表(今野浩喜)は とってもムカつくキャラだけど所々笑えたなぁ。


初めての仮面ライダー作品だったけど
主に小さい男の子が観るものというイメージからガラッと印象が変わったし、
ほとんど何も知らない大人でも楽しめるドラマシリーズだった。

残虐シーンにモザイクをかければ子ども達も観られそうだけど、
やはりそれでもダークなのと
子どもに分かりやすいポップさは足りないのかなとも思った。


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