見出し画像

爆烈乱闘篇 その3「没ネタ集とスケジュール」SFCらんま1/2開発の思い出

▼以前ねとらぼで紹介された爆烈乱闘篇の記事▼

▼前回▼

 前回の最後にふれた爆烈の没ネタ関連を以前まとめたモーメント用にスキャンした画像と資料棚の開発クロッキー帳を撮影した画像を差し込みながら紹介します。
 面白そうなネタから くだらないネタまで、ありがはこんなこと考えながらゲームを作ってたんだというのと こういう理由(容量問題や世界観、ゲーム性)で没になるという空気感を感じてください。

 この棚は大体ありが(成人男性)よりちょっと大きいくらいの高さでスケッチブックやクロッキー帳、ファイルが詰め込んであります。
 写真で全体を映してないのは、写ってちゃいけないのが写ってても困りますし、ご容赦。
 整理が終わってない資料とかあるので詰め方もめちゃくちゃなんです…上段は割りと分類分けや時代分けができてるんですけどね。


スゴロク

 爆烈開発に入る前に考えてたアクションゲーム企画時からの要素です。
 スゴロクのコマを乱馬(らんま)にして、町内マップ上を移動しながら敵(打ち合わせ時のメモ描きではザコ敵として肉まんブラザーズや自走ポストなどが描かれている)やボス(五寸釘や右京、キング等)との戦闘に突入して対戦ゲームの画面に入る、というイメージで話していました。
 良牙は迷子キャラなのでランダムエンカウント。

開発クロッキー帳より
中華まんブラザーズや中国ガイド、自走郵便ポスト
ハッピーとコロンもおそらくスゴロクで使うつもりですね

キャピ子が中国ガイドのすぐ近くに描いてあるので
顔グラのサイズ参考用
スゴロクはシュビ1町内マップイメージだったと思います

 スゴロク要素で
「ゴールに向かう」「何かを追う」「散らばってる何かを集める」
という遊びだとして、これを らんま的ゲームにするなら

 何かを追う…さらわれたあかねを救いに行く→移動しながら対戦しつつ情報を集める→ゴールが見えているが、途中に登場するキャラ達と対戦してる間にゴールが移動していく

開発クロッキー帳のスゴロク打ち合わせに描いてあるラクガキあかね
さらわれてしまった彼女を救うために爆烈に乱闘せよ!

 散らばってる何かを集める…逃げてく八宝斎が落とした女性下着を集めながら追いかけるorムースの暗器が落ちててそれを辿っていく←手がかり

 ゲームが中盤くらいまで進んだらシャンプー(あるいはコロン等)がマップ上に出現して追いかけてきて(追いつかれるとペナルティ&対戦)逃げながらゴールを目指す…等。

 格闘ゲームを作ってるんですが、キャラゲームとして何をどこまでできるか考えてたみたいです。

 そんな感じでスゴロクありの方向で打ち合わせが進みつつゲーム全体を見たときにどうしても容量が足りないという話に。

話し合いメモ。
どう頑張っても容量内に収まらないという話。
私の字ではないのでおそらく克さんだと思うんですが
「一億人の命をすくう」に花丸が入っていてバカだなあと思います
でも一億人救えたら素晴らしいのでやっぱ花丸でいいのか。

削る候補にキング、前作にいたのでシャンプー、大きいから玄馬が入っていますね
私の字ですが、シャンプー削るとか何考えてんだ…こわ…
容量が足りないなら、背が高くて暗器で容量を食いそうな
ムースをアヒルにすればいいのでは案(やけくそ)

 そしてスゴロクをけずったことで現在の爆烈乱闘篇になりました。

しばり攻撃

 ドット作業を進めつつ没になったものとしてしばり攻撃があります。原作で右京がやってた「ゴム入り焼きそば縛り」みたいなワザ。開発スケッチには五寸釘の「しめ縄縛り」などもありました。

 ホールド系のワザなのでストⅡのヨガせっかんとか本田のさば折りを思い出しますが、接触ワザではなく伸ばした長ものを相手に当てるとしばり状態が起きる(グフがヒートロッドを伸ばして絡め取ってくるような)感じです。
 バンク割り振り計算内でも長もののスペースは確保されてるので作る想定で進んでいて、やりたかったのはしばりが成立したら後のサムスピの鍔迫り合い的な連打で勝負するイメージ
 しばってる側はこのまま攻撃したい、しばられてる側は抜け出したい、なら連打対決だ!みたいなことを考えてたかと思います。漫画やアニメにあるような対決シーンやシチュエーションをゲーム内に増やしたかったんですよね。
 焼きそばとしめ縄はドットまで打ってましたが、ゲーム的にリーチ面で投げ物(右京の小ベラやかん尺玉ミックス、五寸釘の巨大藁人形)との遊びの差が無いと判断したのか、全キャラにしばられポーズを用意するのが容量的に大変だったのか覚えてないですが実装されず。

開発クロッキー帳より

 パンダ(玄馬)の百貫落とし、パンスト太郎が相手を掴んで振る動作をラクガキしてますが、こちらはヨガせっかんや本田のさば折りイメージですね。
 しばりワザは結構アイデアが描かれて詰めてるので、移動が遅いキャラが早いキャラを捕まえる為の手段の一つとして考えてたのだと思います。

攻撃相殺

 これは前回のガードでもいろいろ案を書いてましたが、ガード案を出してく中で生まれたもの。構想してたのは、相手の攻撃判定に対し自分の攻撃判定をぶつけると互いに弾きあうイメージ。
 カンフー映画でもあるような、高速で互いの拳をぶつけ合ってガガガガっと攻撃を捌きあうあの感じを乱馬でやりたくて、例えば右京のヘラや良牙のバンダナを攻撃で弾けたら面白いと考えていました。

当時の話し合いメモ克さんに説明するために書いたもの。

 スキャンの文字がつぶれているので補足すると上から
「攻撃と攻撃がぶつかると相殺」
「漫画の再現的なかんじ やられ判定に攻撃がめりこんだ側は負ける」
「飛び道具が無いキャラでも対応できる(飛び道具で強くできなくなんとかなくなる)←?」
 最後は本人でも理解不能でした…なんだこれ
 でも言いたいことはなんとなく伝わると思います。

 攻撃相殺に関しては克さんとの打ち合わせで
「相殺を基本システムにすると全キャラ同じことができることになっておかしくないか」
と反対されて、確かに五寸釘やキングなどのキャラもカンフーの達人みたいに相手の攻撃を弾けたり飛び道具を叩き落せるようになったら、らんまの世界観的におかしいかな…と納得しました。

 あと初心者にも上級者と一緒に楽しんでほしいという前提もあるので、それを考えても攻撃に対し攻撃を当てるのは難しいかもしれないですね。
 …と納得しつつ、面白い案だと思ってたんで結構長いこと引っ張ってました。

 後の時代に、MD幽遊白書でこの時に考えてた攻撃相殺イメージそのものがゲームに遊びとして入っていたのですが、あのゲームに登場するキャラ達はみんな超達人と妖怪達なので全キャラが攻撃相殺できるのは世界観的にもマッチしてると思いました。
 ちなみにMD幽遊白書は大好きゲームで、私の持ちキャラは戸愚呂兄です。 くくく…俺はよく嘘をつく…

空中ガード

ガードに関しては沢山考えすぎて
いろいろクロッキー帳内に残している

 のちの格闘ゲームぽく空中ガードも考えてました。
 これも先見の明があったってよりかは原作らんまでありそうなシーン、要素を考えてのアイデア。わちゃわちゃ何かが飛び交う中でジャンプしつつガードして突っ込んでいくシーンとかありそうですよね。
 没になった理由は覚えてないですが、上記の攻撃相殺と同じで「全キャラが空中ガードができたら全員が達人級のキャラになってしまい、らんまの世界観に合わない」という理由だったかもしれません。
 

追い打ち攻撃

開発クロッキー帳より

 遊びとして、投げた後に追いうちしたり、相手を奥側ではなく手前側に倒したりを考えてたようです。
 これ以上どんなことをさせるか仕様を詰めてないので、追い打ちからの攻撃バリエーション案は「操作とルールを初心者にもわかりやすくシンプルにする」という基本方針に合わなくて話し合いながら没になったのだと思います。

決着演出

ストップとフラッシュとシルエット
キャラや背景の絵の容量を増やさずに
パレットチェンジだけで賄えるし、絶対かっこいい

 勝負がつくときに、画面が止まってバックが真っ白になってドラマチックにシルエットになったらかっこいい!と考えて提案したのですが
「言ってることはわかるが、毎試合やるのは流石にうるさすぎないか」
と克さんに反対されました。

 後の時代、スパⅡでスーパーコンボあけぼのフィニッシュを見たときに
「こういう特別な決着なら演出フィニッシュを提案しても賛成されたんだろうなあ」と思いました。

破綻したスケジュール

 若者の無謀コーナー

「やりたい仕事は」とか無茶なスケジュールを自ら提案
なんでもかんでも自分で描きたがりすぎ問題
開発当時のクロッキー帳より。
2月から8月までの半年間で12体のキャラを私ひとりで
ドット絵を仕上げる スケジュールで検討しています。
Kはキングのこと。パンダと道場破りとパンスト太郎はデカキャラ枠。

 相方プログラマーである克さん、プロデューサーのつっちーさんに制作状況の見通しを見せるため、私の作業範囲を共有するためにどれくらいかかるか算出しています。

 スケジュール、どう考えても無茶この上ないのですが私としてはこれで行けるつもりで組んでたのを思い出します…実際に初期の頃はそれくらいの速さでドットを打ってたんですが、打ち合わせしながら仕様も決めつつなので絵だけに専念できるわけでもなく段々遅れてくるんですよね。

 最初の頃は特に会社からスケジュールに対して突かれてなく伸び伸びと作っていて、途中からマスターアップを速めてくれという話が出たのと(想像ですが小プロとのらんまゲーム化契約期限があったのかも)私の方でクオリティを高めるためにいろいろキャラをいじくりまわしていたら手が回らなくなってきたのが重なり、キャラ絵描きはこのあと追加で3人、ヘルプで更に1人に入ってもらう事になりました。

 みなさん上手いんですよこれが。キャラ個別の解説の時に担当者の方と共に紹介します。あの時はまじ感謝でした。

▼マスター早まったスケジュールに変更される前の7月-9月スケジュール帳

モーメントにアップした当時のスケジュール帳
ガビガビで読みにくいですが恥ずかしいので高解像度はやめときます。

 RMは男乱馬、RYは良牙、RFは女らんまの略称
 朝には帰るとか、AM7時出社とか、数日ガーっと引っ張って(会社に)泊まるとか、なんだこれって感じ。
 今ならわかる、これはスケジュールなどではなく気分で書いたらくがきであると(吠えペンネタ)。 作業があらかた終わった後に9月4日から「全キャラ絵のかきこみ開始」って正気じゃないです。
 多分そこから全体のクオリティを上げる気分だったんだと思うんですが、いつまで作業を続けてるつもりだったんだ…

 何を描いてたか全然覚えてないのですが「とくまのイラストかきあげる」「とくまに渡しにいきNCSにもどってくる」 とか入ってるので、まだイラストバイトもしてたみたいです。
 イラストバイトは描いたら渡しっぱなしでギャラさえいただければクレジットが無い(それで良いということで受注していた)ケースもあり何を描いたかもよく覚えてないんですよね。
 この頃はたぶん、角川書店(お家騒動前。マル勝ファミコン?)、徳間書店(おぼえてないけどゲーム系?)、双葉社(攻略本)…だったと思います。
 双葉社はゲーム作り始めてからは既にイラストバイトやってなかったかも?…本当に記憶が朧げです。

この年(1992年)の8月23日で20歳。

 次回その4は爆烈用に最初に作成、完成させたキャラ、うっちゃんこと「右京」について紹介していきますね。

 あと爆烈関連noteはここのところ自分が楽しくて書き溜めていたものを連日更新していましたが、システム面や没ネタまで出せたのでキャラ個別紹介は少し時間を空けてからになるかと思います。
 やる気に繋がるので、いいね❤️やコメントいただけると嬉しいです…!

▼爆烈を作ってた頃のランチタイムのお供▼

▼メサイヤ時代のお仕事▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?