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今の時代、子どもでもトトロに会えなさそう

 録画していた8/14金曜ロードショー放送の『となりのトトロ』を観た。間違いなく人生で最も観た映画で、セリフもほぼほぼ空で言える。もしかしたらそういう人は多いかもしれない。

 だけど、小さい頃は超ヘビロテで観ていたこの作品も、大学生以降観る機会はなくて、今回かなり久しぶりの鑑賞だった。大学入学以降、社会人になって奥さんと同棲するまでTVを持たない生活だったので、TV放映とかされても観れなかったのだ。

 大人になって観ても感想は変わらない。めちゃくちゃ良い。

 昔は気にもしなかった、サツキの異常と言えるしっかりぷりや、お父さんのダメさ、自然の作画の美しくさなど、視る観点が増えたことによる新しい気付きは確かにあった。けどそれらをひっくるめて、素晴らしいの言葉に尽きる。まさに「大人から子ども楽しめる」アニメだ。

 ひとつ気になったのは、今の子ども達からすると本作はどう見えるのだろうってこと。『となりのトトロ』が上映されたのは1988年で、今から30年以上前。時代設定としては1953年を想定しているらしく、現実時間からすると半世紀前に近い。

 わたしも経験したことない「古き良き時代」が描かれるこの作品に、現代の子どもは何をどう感じるんだろう。インターネットもない、スマホもない、親の仕事の都合で近所のおばあちゃんに子どもを預けられるそんな時代に。

 「子どものときにだけ、あなたに訪れる不思議な出会い」

 エンディング曲にこんな歌詞があるけれど、田舎生まれのわたしはトトロに会えるときが来ると思ってたし、会えるイメージを持つことができた。まぁ残念ながら、会うことなく30歳手前まで来てしまったが……。

 じゃあ、今の子どもたちはそんな妄想を抱くのだろうか?

 病院から電報が来ても、すぐに携帯で電話すればいい(そもそも今どき電報なんて来ないと思うけど)。迷子になってもスマホの地図アプリで検索すればいい。どこにいるか電話で聞けばいい。今はそれが当たり前の世の中だ。

 多分『となりのトトロ』が不朽の名作として、いつの時代も大人から子ども愛される作品であることは、この先も変わらないだろう。

 でも見る子ども側の環境がどんどん変化していくことで、「子どものとき、もしかしたら体験できる不思議な物語」から、「完全なファンタジー」にだんだんなってしまうのではないかって勝手に心配したのだった。いや、心配することじゃないかもしれないけど。

「このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。」
ー『となりのトトロ』キャッチコピー



 

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