解離と願望抹殺と頭真っ白

44歳の頃

「したい」「やりたい」「欲しい」

このたぐいの沸いた願望を
いつの頃からか速攻抹殺していたことに
やっと気がつき始めた



あるとき友人何人かと
ゲテモノ食が食べられるお店に行き

コオロギのような虫の唐揚げを
注文し何人かが食べて
味や食感について
あーだこーだ言ってるとき


まだ最後の一個が残ってた



わたしは
食べてみたいような気がしてきて
ドキドキしていた


でも、いきなり
「食べたい！」

という勇気がなく

なんと言おうか
まわりくどく考えてたら


頭が真っ白になった



文字通り「真っ白」



それまで
何を言おうとしてたか


何を考えていたかすら


わからなくなった




もたもたしてるうちに

最後の一個を
誰かが「食べる！」と言う
声が聞こえてきて

食べ終わったあたりに
頭が戻ってきた


そして気がついた



「あ、記憶飛ばされた」





自分の願望は速攻消す

それをやってんだ

この頃にはだんだん
自分のその習性に
気づくようにはなっていたが

それが逆に辛かった

知らなければ
気がつかなければ

ただ記憶のない数分だった


でも
これは今でも記憶がある


本当に真っ白だった



自分の願望を抹消する

今までもきっと沢山してきた
だろうと思うと

そんな自分が
虚しかった

この時の感情は…

真っ白なので
真っ白だ

感情はないが

感覚としては

茫然
無力感
虚しさ

自分はどこにあるんだろう

という
虚無感だ