バランスがね

インターネットで、自分が日頃からモヤモヤと抱えているのと似たものをくっきりはっきり強く言い切る言葉を見ると、フラーと吸い寄せられてしまう。ボロキレを着て汚れている子供が、街角で派手な言説をかますサーカスの団長をジッと見た後、指を咥えてついて行ってしまうみたいな態度で。

だけどしばらくしてから、大勢の見ている前で強く言い切れる人は、どこか偏りがあることに気が付く。あ、そうだった、自分は偏らないように気を付けていたから、あんなには言い切らなかったんだな、と思い出しもする。

はじめは、強く上手な言葉を操れる相手に劣等感を持っていたから、今度は、下手な言葉を優しく持て余す自分に優越感を抱く。優劣とか本来ないのに。わざわざ抱く。

言い切ることを避けていると、いざ何か主張すべき時、口ごもってしまう。言うべきことを言うべきタイミングで相手に伝わる言い方で言うのには、慣れが必要だ。

それで名誉にかかわるような何かが蹂躙されそうだと思う時、でも自分には上手く言い返せない…!と焦り、強く言い切れる人に代弁してもらいたいと願う。河原でゴロゴロしている番長を敵対グループの前までグイグイ引っ張ってきて、やっちゃってくださいよ!と言う三下みたいに。

自分で言え。自分でやれ。って話だ。

せっかく敵対グループを倒してくれた番長なのに、一緒にいるうち、今度は番長が自分を蹂躙してくるなと、被害者意識を持ったりもする。ズルいのだ。でも番長も番長で、連載が長く続くとそのうちに闇落ちして、蹂躙する力を発揮したりする。番長だって弱いのだ。話がそれすぎだ。

日頃は優しくて角のない誰も傷つけない言動をして、ちゃんと強く言うべき時にだけ、最適で最強のことを言えるようになりたい。

良い鍛え方はあるだろうか。

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