本記事は『アイドルマスターシャイニーカラーズ』に関するものです。ネタバレを含みます。

概要

　『アイドルマスターシャイニーカラーズ』には、個性豊かなアイドルたちだけでなく、彼女たちが所属するアイドル事務所「283プロダクション」にて働くプロデューサーを始め、芸能業界の人々や学校の級友、地元住民などといった人々が描かれている。
　彼らは単なる「モブキャラ」とされるような無個性の存在の範疇には収まらず、それぞれに人格と背景を感じさせる。彼らは、時に若いアイドルの彼女たちとは異なり、時にそれぞれ理想的な人々ではないようだ。
　本記事では、一般に注目されがちなアイドルたちではなく、彼ら「モブキャラ」、特に各個人の個性が十分に発達した大人に焦点を当てる。そして、理想の「大人」ではない彼らを紹介する。なお、選定とランク付けは私個人の主観と雰囲気を基準としたものとする。
　早速ランキングをつけていこう。

第10位: 悪徳ゴシップ記者

　ゴシップ誌の記者。名前は阿久井徳次郎。匿名でアイドルへの取材交渉を行い、こちらが了承するやいなや評判を確実に下げる。何だったら、事務所のことを書いたことすらある。お前のこと誰が好きなん？

　そもそも283プロダクションに悪評の立つ謂れはない。
　ちょっと、サッカークラブのサポーターとアイドルファンの間の炎上に関わったり、

　他事務所所属のモデルを仕事現場で引き抜いたり、

　リアリティーショーで炎上商法をやったり、

　年頃のアイドルにプロデューサーがかなり思わせ振りな言動をとったり、

　出来レースのオーディションに加担したり、

　本人の意向に沿わない売出し戦略をしていたり、

　所属アイドルがゴールデンの歌番組で放送事故を起こしたり、

　バラエティ枠の新人と上手すぎる経験者を組ませたり、

　浮き沈みの激しいアイドルを他所から引き抜いた挙げ句に頻繁に揉めていたり、

　……するだけなのだ。

　そう、三流ゴシップ記者の流布するフェイクニュースなど全くもって遺憾なのである。悪評を書き立てられるような事実はないため評価できない。
　ただし、「徳次郎」の命名だけを見ると親御さんの思いも偲ばれるということもある。
　親心に配慮して、そう、親心に配慮して、この順位。

第9位: スーツも折り目正しく美しい青年

　公然猥褻物。
　年頃の少年少女に見せるべきではない。「青少年の健全な育成に関する条例」の類が猥褻というものへの正しい理解から規制を敷くのであれば、彼はまさしく猥褻物としてその規制対象になる。
　彼の奇行は枚挙に暇がないのだが……例えばスカウトした少女から好意的な返答があるなり名前呼びしたり、

　おもちゃのクルマに夢中になったり、

　褒め言葉がアウト寄りのアウトだったり、

　事務所でお菓子を作りながら高らかに歌ったり、

　良い時間に担当アイドルの家に押し込まれたりしている。

　お前、脇が甘すぎるだろ。そんなだから悪徳業者にすっぱ抜かれて評判が下がるんだよ。
　まだ理想の大人じゃないし正直オレが付いていないとだめなんだろうな。
　本当、ダメな人。

第8位: 甘くない黒づくめの男

　283プロダクションで社長をやっている中年のオジサマ。良い年のはずだが、なんかえっちな雰囲気がある。甘くない人間を自称するがなんかめっちゃ甘い、少なくともシャニPには甘すぎ。
　作中の言動もさることながら、同人誌のオタク界隈では、どういうわけか社長とシャニPのいわゆるカップリング（俗に言う天×P）が一大ジャンルとしてシャニマス島の一角を占めているらしい。作品タイトルが“iDOL”M@STERなんだからアイドルを書きなよ。
　ただ、彼ら彼女らの情動リビドーも、このおじさんの言動を見ていると分からんでもないかもしれん……。
　物語の因果を追えばこの男に行き着きがちなのでシャニPを凌いでこの順位。天井が悪いよ、天井が。

第7位: 音楽番組ディレクター（『天塵』）

　権威主義者のおじさん。たぶん50代中頃の中肉中背の男。大規模音楽番組の制作を担当中に、反社会勢力「チルアウト・ノクチルカ」に蹂躙される。
　明言こそされないものの、「人気グループの出演を打診する際に押し付けられた条件」で、新人アイドルグループの出演枠を用意することとなっていた。

　若い身の上でありながら人気グループを輩出することに成功し、背も高く、容姿も整った……美しい青年に、いおうようない憎しみがあった。
　彼の考えるところによると、彼の成功は偶然のものだ。社会の中では能力や優秀さなどというものは幻想で、結局のところモノを言うのはコネなのだ。かつての彼の、青い失敗は、そしてその青さへの絶望はそこにある。
　人気アイドルグループの出演に際して、彼が頭を下げたのはこの青年ではない。彼は、偶然にも未だこの社会の洗礼を受けず、さらに偶然にも担当したアイドルグループに人気が出たに過ぎない。だから、彼が頭を下げたのは目の前の青年ではなくこの偶然に対してなのだ。
　そうであれば、自らの力と仕事の結果、そしてこれからの希望に満ちた未来、彼が悟ったこれらの錯迷を未だ信じて疑わないこの青年には、自分がいかに幸運なのかを理解させねばならない。その純粋な目で見ている夢からは覚めなければいけない……彼自身がそうであったように！他でもない、理不尽で不条理な社会の力によって！
　さあ、青年から生意気にも提案があった。これを断ればアンティーカと言ったか、彼のプロデュースした人気グループの出演はないのだろう有無を言わさぬ条件だ。これをきっかけにこの憎しみを晴らそうと試みた。

　──彼が担当する新グループのテレビデビュー当日、ディレクターの彼はリハーサル前から慌しい空気を作る。そしてその現場の雰囲気を楯に、プロデューサーとの約束であったライブパフォーマンスを無断で録音音源の再生ダンスにスケールダウンさせるという卑小な復讐に走る。

　彼の計画は成功を収めた。青年が手塩にかけた若いアイドルは悲しみ、青年は社会の理不尽を、思い知った！
　……しかし、自分の計画に拘泥するあまり、彼は目の前にいる、異常に美しいものと、その危険に気付くことができなかった。
　細やかな幸福の後、彼はかつて自らを縛めた羈絆に守られていたことを思い知るのであった。

　この小男の駄目度合いは随分とあるが、美の化身が破壊してスッキリさせてくれているのでそこを加味してこの順位。

第6位: 霧子より“下”のディレクター（『ストーリー・ストーリー』）

　賛否両論のいわゆる「リアリティーショー」番組の制作責任者。アンティーカの収録において、高校生組の作為的企画映像の却下や、視聴率維持のためのいわゆる「切り取り」などを行うに至る。
　テレビ番組のディレクターというものは、いわゆる視聴率の維持のために美と猥褻の特性を常に把握しておくべきだと察するが、彼は理解の曖昧さを「物語」という用語によって誤魔化しているらしい。

　計画に重要な理念を欠きつつも、感覚と経験によってか、「テコ入れ」という結論的行為には成功している。それでもこの猥褻さ全般に関する危機意識の欠如から、出演者への影響についての考慮を失しており、三峰結華を初めアンティーカのメンバーを苦しめた。

　この物語の終わりには、アンティーカは視聴率の維持や「切り取り」についての問題を自主的に解決することに成功する。結果的に、このディレクターが表立って責を問われることこそなかったが、幽谷霧子との人間としての上下関係ははっきりしてしまった。
　大人は、相手が霧子といえども女子高校生に真っ当な理由で見限られないでほしいのでこの順位。

第5位: 犬儒まっしぐら概念（【よか匂いのする陽気やけん】月岡 恋鐘）

　バラエティ番組に現れた自称占い師。「柴犬概念」という名前から「柴犬を使った占いなのかな？」などと思わせつつ何もないという肩透かしを食らわせ、バカ丸出しの名前を引っ提げて「恋鐘」の名前をダメだと宣う。
　これは自意識の開発に関連する極めて悪質、悪趣味な手法の類型だと言えるだろう。
　しかしながら、月岡恋鐘の生の反応に対してアドリブで対応できない画一的な言動の様子からは、方法論を知っただけで全てを分かった気になる者にありがちな底の浅さが透けている。プライドだけは高そうだ！

　そもそも少なくとも名前にケチを付けるなんていうのは、自身のみならず親兄弟生まれ育ちへの侮辱なンだワ。いや月岡恋鐘さんの「恋鐘」なんて、どう考えてもベストネーミングだろオラァン！
　S.T.E.P.編 月岡恋鐘を読んできてから言え！
　コミュ未読の罪科により第5位。

第4位: おむすび恐竜（G.R.A.D.編─桑山千雪）

　可哀想かもしれないが、君は少し面白すぎる。
　桑山千雪がパーソナリティを務める深夜ラジオ冠番組、「ベッドルームに立てこもるための魔法の電波『パジャマ・ジャム・ジャミング』」に厄介メールを送り付けた自称爬虫類(20)。
　ラジオパーソナリティ桑山千雪の技量への感心と遊び心から、彼の送ったお便りが捌きにくいものとしてスタッフに取り上げられる。
　まず名前からして、気さくでひょうきんな人物に思われたい「おむすび」と、つよくて威厳のある自分を思ってつけられた「恐竜」、それらの無理な合体、そしてその結果のアンバランス、その自意識、その絶妙ないやらしさ……──空恐ろしいものがある。
　さらには、「いつも聴いてる」はずの番組にも関わらず、そのファンシーな番組趣旨を見落とし、桑山千雪と己の身の程の距離を弁えることにも失敗している。
　これに対する桑山千雪の反応は最小構成の叱責であり、

　桑山千雪からの言葉は呼び捨てへの警告である。
　これは躾なのだ。

　深夜の青年はベッドルームに一人、冷ややかな思いをしたのか、はたまた今もなお中生代の夢を見ているのかは分からないが……少なくとも孤独のままである。
　彼は知らなければならない、自らの聞いた言葉は、音楽の断片だったのだと。桑山千雪とスタッフの間で奏され、自らにはその一節が聞こえたに過ぎないのだと。「いつも聞いてる」君の耳には、桑山千雪と手紙を選んだスタッフ、あるいはプロデューサーとの間に交わされた企みの耳打ちが、悪戯な目配せが、無数の黙契が、聞こえていないことを知らなければいけないのだ。
　おむすび恐竜(19)であればこのランキングに列さるることもなかったが、おむすび恐竜(20)には社会的責任が伴う。彼が出すべきお便りは、あるいは深夜ラジオ番組ではなく成人式の同窓会にまつわる葉書だったのかもしれない。
　鮮烈な洗礼に黙祷を捧げつつこの順位に。

選外

　ここからは、惜しくも破れたダメな大人を見ていきたい。事件的なダメさの大人もいれば、生活に塗れたダメさの大人もいる。どうやらダメな大人の地平にも多様性は存在するらしい。
　トップ3の前に、ここでは私の完全偏見および完全主観、完全気分に基づく番付から漏れたダメな大人を紹介したい。

①一般限界男性(59)（『Your/ My Love Letter』）

　イベントシナリオコミュ『Your/ My Love Letter』に登場。良い年をしてラジオにお便りを送っちゃうアイドルファンのおじさん。本名遠野陽呂美、59歳。
　桑山千雪に親元を離れた娘を重ねて無事オタクに。彼女に魅了され、CDショップで挙動不審な姿も見せる。

　ただ、彼の送ったお便りは、真面目な相談のためのものであった。
　一般オタクがそうであるように、送った手紙に返答が貰えたこと自体に満たされるのではなく、彼女のアドバイスを活かして悩みであった娘とのコミュニケーションを図る。
　威厳ある言葉の後に「笑」を付けて日和るなどダメなところも目立つが、実現した結果だけを見ればダメとは言えない。
　結果が良いため、ダメ度合いにおいては今一歩伸び悩むこととなった。

②産休前クライマックスティーチャー（『アフター・スクール・タイム』）

　放課後クライマックスガールズファンにて構成された学級を受け持つ女教師。学期中に産休に入ることとなり、あとに残す生徒にと横断幕の作成を画策、生徒ともにテレビの企画系番組に応募し当選する。
　やってきた芸能人が自身の推す放課後クライマックスガールズと知るや生徒と同じく悲鳴を上げる。「慣れてもらわないと」と優しい樹里ちゃんにすら苦笑された。夏葉推し。

　生徒たちが語ることには、彼らの放課後クライマックスガールズへの好感度は、ことにつけ放クラの話をするこの教師からの影響らしい。再現VTRでは、授業中に生徒からの恋バナを振られて真に受け話し始める様子も描かれている。

　我が身を振り返れば……思春期という病気に罹患した私たちは、教師にも同じ病気に苦しむことを期待した。それなのに彼らは医者の顔をしており、それはいつだって許しがたいことだった……が、子供の論理は身に沁みてもそれはそれこれはこれ。
　そもそも後任教師の引き継ぎ全力時期のはずなのに、アイドルと一緒に半年飾るか飾らないかの横断幕作りで浮かれてんのヤバいよヤバいよ〜〜！！
　将来、働き始め大人になった子供たちが、「あれはあんまり良くなかったよね」と思い返し自らを見つめる契機にはなり得る。皮肉にも反面教師としては教師らしいので選外。

③公私混同若年女性P（【カラメル】樋口 円香）

　樋口円香が出演した番組のプロデューサー。シャニPにやや一目惚れをし、出演者である年端も行かない高校生にシャニPについてあれこれ聞き、そのような奇異な振る舞いが目立つ状況で彼女をサブレギュラーに昇格させ……まさしく傍若無人、やりたい放題である。
　幸いにして貪欲な姿勢が樋口円香からの好感を勝ち得ているものの、そのアプローチの先にシャニPがいることについては心中が複雑な様子。
　ちなみに、樋口円香は甘くて苦いプリンを通して自身の心の機微を表現するも、本当にダメな人であるシャニPはもとより、樋口円香からシャニPへの名状しがたい情緒の存在を拒絶する宗教的百合のオタクたちに理解されることはなかった。
　複雑なお年頃の女の子にややこしいストレスを感じさせるのは褒められたものではなく、番組編成を私物化するなど、ダメ度は高い。
　しかし、総じてやっている事自体はグレーゾーンに収まる上、迷惑を被っていると思しき樋口円香当人はシャニPからの相談があれば共存を拒否しなかったため選外。

🥉第3位🥉: 口軽ジジイ（『セヴン＃ス』）

　いわゆるワナビーが挑戦しなかった先のなれ果て。勇気の足らない男が何もしないまま無難に年を取るとこうなりがち。
　若かりし下っ端時代に天井努の仕事っぷりに憧れを抱き、特に何もしないままおっさんになった。

　人間一般のこととして、練習したり慣れたりしないと何事も良くはならず、いきなりやっても何かしらの失敗をする。おじさんがする下手な失敗は、居た堪れなかったり、周囲への圧にしかならなかない場合が多い。失敗は、概ね許される頃にするべきなのだ。
　難しいことに成功するのは「カッコいい」し、役にも立つが、仕事相手の私生活の秘密だったりをうっかり喋ったり、褒めるつもりで貶したりしたらダメである。

　大概ダメな大人であるが、職務として仕事を斡旋したこと自体や、彼の預かり知らぬ場での対話に寄与したことを鑑みると評価できなくもないためこの順位。

🥈第2位🥈: ベンチャー企業社長（『はこぶものたち』）

　炎上騒動の主たる責任者となるべきおじさん。
　見落とした目の前の様子や、培われているべき道徳の欠如、自分の知らないある種の常識への畏れを知らないこと、その結果の無礼な振る舞い……それらを要因として炎上が発生し、関係各位をいたく苦しめた。
　当事者・関係者がこのストレスを緩衝してくれたとはいえ、一連の事件がイルミネーションスターズのメンバーやサッカークラブに残した傷は後に残るものとなる。彼は後悔こそ覚えれど、どうにも反省の姿が見られない。
　また、正当な報酬のもと誇りを持って働いているサッカークラブの事務方に無碍にできない優待券を押し付けるなど失礼な行為も見られ、

　買収したばかりのチームのPR策を場当たり的に決めたりすることなど計画性の不足も目立った。

　よくないところが大変に目立つ大人だった。
　後悔だけして反省しない姿勢のダメさは凄いが、失敗の数は挑戦の数に強い正の相関がある。そして挑戦の数は成功の数にも正の相関があることは、生産性の高さに関連する心理的安全性の検証が間接的に証明している。
　挑戦しており、そしておそらく壮年というほどでもなく、さらに何より、上には上がいるため、惜しくもこの順位に。

🥇第1位🥇: 果穂ちゃんに冷たい言葉をかけたアレ（【フルスロットル・エイジ！】小宮 果穂）

　人道上の罪。
　この世界には様々な理念があり、規範がある。路傍の石が子供に拾われていくように、千切れた雲が動物の形象として指呼されるように、全ての雑草に名前があるように、この世界のおおよそは、どこかの誰かにとって美しい。
　これはその例外である。
　彼は年端も行かない幼子に堂々たる姿を見せられないばかりか、同じ目線に立っているわけですらない。不在の誰かへの媚態を示すもこの媚態に徹底は望めず、言ってはならないことなど考えもしない。悪意さえも曖昧で、なんと、暴力的ですらないのである。
　ああなんということだろう、誰もお前を愛さない。
　栄えある第1位は、君だ！🎉🎉🎉

ダメな大人、なに？

　ここまでダメな大人を紹介してきたが、そもそも「ダメ」というのは何だろう。
　不思議なもので、何かの能力や準備がなくても、何かを「ダメ」だと言うことはできるものだ。文章を書くのが苦手でも誤字があれば分かるし、キャッチボールの経験すらなくてもエラーの多い野球選手を野次れる。被害者なんていればもう完璧で、万全の心持ちで「ダメ」だと言ってしまえるのだ。
　あまりにも簡単だから、私たちはいつも「ダメ」ということそれ自体が何であるかについては滅多に考えない。

　本記事で紹介したダメな大人たちは、様々に、別々に、それぞれに、個性的だ。
　日常で言う「普通の大人」なんて一人たりとも見当たらない。
　彼らには後ろ暗い過去があって、打ち明けたくてたまらない秘密を持っている。時には気持ちが伝わるはずがないなんて居直って、悪魔のような気持ちに塗れることだってある。
　ダメな大人たちは普通の言動なんてしてくれなくて、周囲の人間を不安にさせて、直接的にも間接的にも事件の原因となってきた。彼らは明らかに迷惑なやつらなのだ。
　「ダメ」ということは、「迷惑」なことだとも言える。

　──しかし、それでも、彼らは面白い。
　確かに彼らはダメかもしれない。彼ら自身は面白くないことだって多い。
　けれど、彼らのダメさが直接的にも間接的にも生み出すものは──それは例えば作中のアイドルの成長や、プロデューサーの努力を含む物事全体は──ダメではないと、そう思う。

　ある蹉跌を、指差し笑う子の仕草を、美しいと思うのだ。