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【必修コミュ】これで君も古参面!?【アンティーカ編】

 本記事は、「アイドルマスターシャイニーカラーズ(以降シャニマス)」の紹介記事です。同作のコミュ(シナリオ)について紹介します。ネタバレをします。

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概要

 シャニマスの魅力の一つにはコミュが挙げられる。これらはそれぞれに様々な主題や構成を有するシナリオ作品群である。
 今年五周年を迎えた本作には、数多くのコミュがあり、それだけの作品を楽しむことができる。
 一方で、コミュの量が多いため、新規のシャニマスプレイヤーが全てのコミュを網羅的に鑑賞することは困難であるとも言える。

『情報過多で苦しむ人のイラスト』─いらすとや

 ところで、SNSでの感想の発信・共有は、現代オタクの人口に膾炙した作品の鑑賞様式である。
 シャニマスにおいてもこれは比較的活発に行われているようだ。

『SNSが表示されたスマートフォンのイラスト』─いらすとや

 そこで、本記事ではシャニマスの新規プレイヤーを対象に、話題になりやすいコミュを紹介する。これにより、より効率の良い鑑賞を可能とすることを目的とする。
 なお、鑑賞を扶ける知識や解釈の例はは適宜示すこととする。

ルソーも言っとる!

必修コミュ

 本記事では、新旧問わず話題に挙がりやすいコミュのことを必修コミュとしている。ご注意されたい。

『談笑する女性たちのイラスト』─いらすとや

 今回はアンティーカを紹介する。

L'Antica──アンティーカ

回せ、錆びついた運命の鍵を
胸に燻る焔を「ウタ」に、孤独な泪を「ネガイ」に変える、新世界の革命的アイドルユニット。ゴシックなドレスを纏い、彼女たちは希望を謳い続ける―。

『アンティーカとは』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 283プロダクションの人気アイドルユニットにして「私たちと言えば食べ物」のクール系ボーカルユニット
 ゴシックメタルを基調としたテーマであるが、これはメンバーの幽谷霧子の趣味である。
 現実のオタクから、モブを含め美人が多いとと評価される作品世界においても、特に「キレイめ揃い」であることが証言されている。

第4話「しっかりたのしむこと」─イベントシナリオコミュ『アジェンダ283』

 アイドル活動を通して様々に思い悩むが、プロデューサーとの努力が、あるいはリーダーかつセンターの月岡恋鐘の強さが、解決していく。

月岡恋鐘─CV. 礒部花凜

『月岡恋鐘』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 アンティーカの「絶対的センターかつリーダー」
 
ユニットでは最年長。長崎出身で、アイドルに憧れ高校卒業後単身で上京。
 その後、一年ほどを過ごし、283プロダクションのオーディションに合格しアイドルとなる。現在は283プロダクションの寮住まい。
 
 作品世界基準においても人目を引く容姿であるが不器用。性格は面倒見が良く自信家とされている。

田中摩美々─CV. 菅沼千紗

し『田中摩美々』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 283プロダクションの悪い子( ≠ 悪党)
 ダウナー系の美少女でオシャレ上級者。
 悪い子なので、イタズラも楽しめば年下の面倒見も良い。
 何事も視野が広く、解決できるか、あるいはそうするべきかどうかは別として、よく気が付く。

白瀬咲耶─CV. 八巻アンナ

『白瀬咲耶』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 かっこいい王子様系アイドル。
 スポーツ万能で学業優秀で容姿端麗で元モデル。女子校通い。王子様冀求界隈の二郎系かな?
 モデルの撮影現場でプロデューサーにスカウトされアイドルに転向する。そのような経緯からモデル時代からの変化にたえられない、やや厄介なファンがいたりもする。
 本人は寂しがり屋でアイドルへの転向とキャラクターの変更を幸せに思っている。
 高知県出身で現在は283プロダクションの寮住まい。

三峰結華─CV. 希水しお(旧CV. 成海瑠奈)

『三峰結華』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 サブカル系眼鏡女子アイドル
 アイドル真剣オタクで、ライブイベント帰りに雨宿りしているところをスカウトされアイドルに。真剣オタクであることはユニットメンバーにも隠している模様。ユニット唯一の大学生。
 会話の様子や立ち居振る舞いなど、何かと器用な印象を受ける一方で、些細なことにも思い悩む繊細さがある。

幽谷霧子─CV. 結名美月

『幽谷霧子』─アイドルマスターシャイニーカラーズ

 霧子がお日様なんだ────。
 神秘的な雰囲気を感じさせるアイドル。高校二年生。アンティーカ最年少でメンバーには何かと構われがち。
 病院でのボランティアや事務所の植物への水遣り、穏やかな口調など、心優しい性格が垣間見える。
 アイドル活動だけでなく学業にも秀でており、模擬試験では国立大学医学科でB判定をとったことなどが語られている。
 また、諸々の描写から、単に筆記試験の成績が良いというのではなく、聡明であることが窺える。

必修コミュ

 まずはアイドル、次いでユニット全体のコミュを紹介する。
 私の主観によって書かれていることを十分に了解した上で読むようにお願いしたい



月岡恋鐘

月岡恋鐘(L'Antica)(G.R.A.D編)

 G.R.A.D編では、アイドルが、個人戦とも言えるオーディション番組G.R.A.Dに挑戦する。
 283プロダクションに所属し始めた当初は上手くやれない自分に思い悩み、そんな彼女にプロデューサーは悩まなくても良いのだとアドバイスをしていた。

『めげないハート』─W.I.N.G.編

 オーディション番組に臨むことになった彼女は練習の日々を過ごし、改めて283プロダクションに合格するまで、手当たり次第にオーディションを受け続けた過去を思い返す。
 そして、かつて夢見たアイドルになれているのかと自分を見つめ直すこととなった。

『見えないルート』─G.R.A.D.編

 そうして、いつかは思い悩むことをやめるために忘れてしまった、理想のアイドルを目指すことを決意する。
 もっと良い自分、憧れた夢へと練習を続け、月岡恋鐘はG.R.A.D.の本戦を迎えることとなる。

『決勝前コミュ』─G.R.A.D.編

 本コミュ『月岡恋鐘(L'Antica)』では、G.R.A.D.に優勝した後のレッスン室で、彼女のふとした思いつきからプロデューサーにオーディションのエチュードをするよう促す。
 この部屋は、理想を目指す決意をした場所であり、283プロダクションの合格が決まったオーディションの会場でもあった。

『月岡恋鐘(L'Antica)』─G.R.A.D編

 彼女の思いつきは、そんな記念すべき場所でプロデューサーに感謝を伝えるためのものであった。
 そうして話すうちに、自然と、自ら辿った道程を振り返るのであった。

「ばい」って言えよ……


『月は裏側を見せない』(Landing Point編)

 シャニマスお洒落コミュタイトル選手権の最有力候補
 Landin Point編では、ユニット単独ライブに向けたアイドルたちの日々が描かれる。
 月岡恋鐘Landing Pointでは、夢を追いかける人を支援するというある番組の企画にて、舞台役者を志しオーディションを受ける「夢追いガール」を応援することになった。
 良好な関係を築き、オーディションも無事に終了したが、彼女の実力に反して合格は叶わなかった。
 月岡恋鐘は個人的な励ましのために彼女の楽屋へ挨拶に向かうが、「夢追いガール」は自己嫌悪の延長上で彼女を詰ってしまう。

『むらくも』─Landing Point編

 しかし、月岡恋鐘は気丈に振る舞っていた。
 そしてわだかまるものにたえつつ、ユニット単独ライブや、舞台での本番を終える。

 『月は裏側を見せない』では、舞台当日の月岡恋鐘を描く。
 いつか彼女を批判した「夢追いガール」は観劇に来ていた。スタッフのお節介から楽屋へ通され、彼女は月岡恋鐘に謝罪する。
 月岡恋鐘は「次は自分の番」、「舞台に招待するように」と言いおいた。

『月は裏側を見せない』─Landing Point編

 そして、帰途の車内で、あくまでも弱音を吐かない月岡恋鐘に、彼女らのやり取りを察してきたプロデューサーは、「地球から見える月は常にある一面でしかない」と語るのであった。

『月は裏側を見せない』─Landing Point編


田中摩美々

『』─(限定pSSR【パープルミラージュ】田中 摩美々)

 2019年7月19日に「期間限定 SUMMER NIGHT MIRAGE 摩美々・めぐるスタンプガシャ」にて実装されたpSSR摩美々。
 私はこの摩美々を所持していないため詳細は不明だが、摩美々の父を名乗る田中らの集団がこのコミュの話を擦りに擦っている。

 高山は【パープル・ミラージュ】田中摩美々をオレの事務所に実装しろ!あと最近顔見なくて寂しいからもっと出てこい高山ァ!

画質が粗いのはwikiからコピペしたため


『boom!』(恒常pSSR【アバウト-ナイト-ライト】田中 摩美々)

 アニメーション良すぎ部門賞
 個性という猥雑なものを観察することのできず、検証されない曖昧な典型に頼ってしまう周囲への苛立ちと、内心における個性主義による解決が描かれる。
 なお、その「全体における完成が高度の客観性を伴って遂げられていたこと」が、このとき極めて重要である。
 さて、この客観的完成を示すために必要なのが本コミュでのアニメーションでありイラストであった。

 折角なので一般的なオタクの反応を模してみよう

 鏡の位置低いな……

高さを示す

 マスク外す?直してるだけ?

前カットで覗き込む構図を示しつつ距離感を提示

 !

異物による画面の緊張の破壊

 !?

見慣れぬ、意外な、予想外の、バブルガンのシャボン玉

 ま、摩美々ーっ!……はは

驚くシャニP

 え、おいもしかして顔良すぎ?

顔良すぎ!?

 いや顔良すぎ!?!!

やっぱり外すんだ、ていうか顔良いな……

 あ゛!!!!!!!!!

いや可愛すぎぃ!!!

 いや綺麗すぎて草
 シャボン玉エグい綺麗やし。
 やっぱりシャニマスくん絵上手すぎですねぇ!

ズームアウトして全体の構図的完成を提示

 ──百聞は一見に如かずなので、公式のTwitter動画を置いておきます。

 この素晴らしいアニメーション作品によって、あるいは摩美々の極めて確からしい可愛さによって、このコミュは個性主義の心情というものに対する、ある正当な批判を免れている。



白瀬咲耶

 該当なし。感謝祭はユニット全体として取り扱うものとする
 本記事では、新旧問わず話題に挙がりやすいコミュのことを必修コミュとしていることにご留意願いたい。



三峰結華

『これが間違いなんだとしたら』(限定pSSR【NOT ≠ EQUAL】三峰結華)

 三峰結華の限定pSSR。
 これがいわゆる「ノットイコール」である。
 「必修コミュ」という言葉が用いられるようになったきっかけはこのコミュかもしれない。数多の怪文書を出現させてもいる。

「……なんか、結華じゃないみたいだな」

 本コミュをきっかけに「三峰結華こそ我が担当アイドル」と宣言するに至ったノットイコールマンは数知れない。
 かつてシャニマスプレイヤーが秩序なき集団であった頃、本コミュ未読のままに三峰結華担当を名乗る者には、公然とノットイコール煽りが行われていたという。なお期間限定pSSRである。
 「多くのコミュが存在する現在において未だにノットイコールを神格化する風潮は“浅い”」という言説の流行とともに、今やノットイコール煽りはTLから姿を消した。
 しかし、「ノットイコールをお持ちでない!?」の精神はオタクの心に今も息衝いている。



幽谷霧子

『おひさまと布』(イベント報酬pSR【天・天・白・布】幽谷 霧子)

はためく真っ白のシーツと儚げな美少女はもう酒盗と日本酒なんよ

 プロデューサーがおかしい
 下のスクリーンショットは、本コミュでの有名な一シーンである。
 いわゆるインターネットミームめいたものは、大いに脚色や虚実、加工を含むものだが、『おひさまと布』における有名な印象は、ありのままのものである。
 戯れなかくれんぼにて「お日さまが作った影がプロデューサーの場所を教えてくれた」と言いつ、シーツの間から顔を出した霧子を目の当たりにした成人男性が漏らした一言がこれである。
 「霧子が、お日さまなんだ……」

『おひさまと布』─【天・天・白・布】幽谷 霧子

 なお、このコミュの後に続くコミュ『帰りましょう』では、学校での友達とのやり取りを見ていたプロデューサーはなんと……

『帰りましょう』─【天・天・白・布】幽谷 霧子

 勉強に使っている彼女の私物を投げてまで霧子の友達の真似をしている

『帰りましょう』─【天・天・白・布】幽谷 霧子

 それに対する謝罪からは罪悪感の強さが見て取れる。彼の言い訳は「自分の知らない霧子に驚いてしまった」という意味不明のものであった。
 思春期男子かな?

謝罪の理由となった感情は嫉妬という名前ではないか
霧子のフォローにより事なきを得た模様


『かなかな』(イベント報酬sSR【我・思・君・思】幽谷霧子)

ソシャゲのイラストでそんな構図ある?

 存在論について、壮子の「胡蝶の夢」の寓話や、デカルトの「我思う故に我あり」の命題を引用して述べつつ、不確かな仮構である私たちの存在について楽天な信頼により肯定する。
 咲耶と霧子の軽い議論が発生しており、シャニマスのコミュには珍しく、ある程度説話的な形式となっている。

デカルトに引導を渡している

 本コミュにて提示された存在論についての明示的モチーフは、大いにオタクくんの感興を買うこととなった。
 ここからは個人的偏見に基づく悪口であることを断っておくが、オタクくんは、学校教育の普及やメディアの機能発達とともに世俗化した存在論という哲学的命題を、自らの高尚の象徴としていたく愛しており、その愛が彼らの存在的素養に基づく本質の要求と協働して、この哲学的命題を猥談と同程度かそれ以上に信仰するよう仕向けているきらいがある。
 本コミュをはじめとした存在についての幽谷霧子の見解は、荘子やデカルト、ひいては存在論についての議論に盛り上がるオタクくんたちとは一線を画している。

『なかみ』(限定pSSR【鱗・鱗・謹・賀】幽谷霧子)

綺麗だ

 いわゆる「ブンドド」
 このコミュでは、病院のボランティアの一環として、お正月のお年玉として患者に用意した物をおすそ分けされる。
 袋に入っている物がおもちゃのクルマだった場合、霧子を喜ばせたい一心の成人男性が全力で遊ぶことになる。

←の選択肢にて当該事案発生

 この演技には真に迫るものがあり──あるいは真実であり、二十代後半の高身長好青年の幻影に、おもちゃで「ブンドド」するという情報が加わった。
 なお、「ブンドド」しているシャニPに霧子が困惑していたとする言説もあるがフェイクニュースである。

確かに霧子が困惑しているようにも見える

 本当のところは、霧子も楽しんでシャニPの遊びに乗っており、その結果としてシャニPは困惑し、続く幽谷霧子の言葉でコミュが締めくくられる。シャニPの困惑は置き去りになっている。

最後まで付き合え!


『決勝前コミュ』(G.R.A.D.編)

つよい

 ──国立大学医学科B判定
 シャニマスの抱える全学歴コンプレックス民による三者三様の過剰反応や、霧子の神性に関わる要素として話題に挙がりやすい。
 幽谷霧子G.R.A.D.では、前十字靭帯を痛めG.R.A.D.への出場を断念した通称「前十字靭帯ちゃん」や、この出来事をきっかけとした無意識的自己についての罪悪感の萌芽および聡明と楽天による解決が描かれる。

『ごうごうひびく』─G.R.A.D.編

 この作品では、病院の患者に読み聞かせるパンの寓話や、医者とアイドルという進路の選択を取り扱い、意思決定における望ましい態度を示すものであった。
 本コミュでの彼女の結論は現状維持であったが、他方、そのために必要な狂おしい努力を実現する態度の根源には、望ましい決断に要求される自信の存在が暗喩されている。

ロールズの云う「公正としての正義」に誘導する寓話と推察する

 しかしながら、これらの素晴らしい構成や、少なくとも学歴よりは現実に洗練された態度、さらにはシャニPによる「アイドル幽谷霧子」への執着というおもしろ要素に至るまでもが、学歴の盲者の網膜や蝸牛には影響しないようであった。

 発信する感想が安っぽすぎる。霧子ちゃんのコミュはもっと複雑。

『決勝後コミュ』─G.R.A.D.編
国立医B判定に対抗する


『心があるところ』(Landing Point編)

 「AI霧ちゃん」、降誕。
 
昨今の知能についての科学技術の進歩が、実現の途を拓きつつあるよう見なされる、いわば「AI存在」について取り扱う。
 描かれているものは、いつか、ある記事をきっかけにシャニマスプレイヤーの間で小競り合いを起こした「実在性」と呼ばれるものである。

オタクが厄介すぎる

 美と、猥褻と、「実在性」は、論理の階梯で繋がれた同一の構築上に理解され、生理学の知見がその竣工を報告している。これらは、認知機能の協働がもたらすある総合的動態らしい。
 芸術および表現というものは、これらの要素に密着している。

 例えば、「【アイドルマスターシャイニーカラーズ】283プロ見守りカメラ【アイドルマスター】」という狂気の企画では、様々に「実在性」が表現されている。
 (余談であるが、その中でも、動画開始後およそ2時間前後時点の、和泉愛依による衣擦れ時間は、衣擦れというものの在り方や文化の背景を含めて、きわめて象徴的な表現であった。)

 Landing Point編においては、ユニット単独ライブに向けてのレッスンにて、ボイストレーナーからユニットでの歌唱時、歌声での自己主張が弱いことを指摘される。
 そして「AI霧ちゃん」への教育と評価とともに、主張すべき自己を通して「心」へのアプローチがなされていくのである。

『お勉強』─Landing Point編

 「存在」というものの所在を示すコミュであった。

 様々な背景を伴う構築的な作品であるが、オタクくんは「AI霧ちゃん」という夢の実現可能性に心を奪われるばかりである。
 尤も、森鴎外の『高瀬舟』が、今日においては嘱託殺人の是非についての文脈によってのみ語られがちであるという事例もある。
 「人は見たいものを見る」のだ。

 それはそれとして、表面的な事件だけに注目しただけという印象がある。幽谷さんのことを簡単に理解したつもりにならないでほしい


 さて、ここからはイベントコミュを中心に紹介していきたい。

ユニット──L'Antica

283プロダクション ファン感謝祭

 白瀬咲耶の寂しがり屋の大型犬との評価を不動のものとしたコミュ。

 白瀬咲耶を中心に、ソロでの仕事が増え始めた時期のアンティーカを描く。
 最近、『白瀬咲耶 S.T.E.P.編』が実装されることで重みが増した。
 ユニットごとにファンに感謝を伝えるライブイベント「283プロダクションファン感謝祭」にアンティーカも参加することとなった。
 このライブでは舞台に関することは全てのメンバーで決定するという企画である。
 しかしアンティーカの予定は埋まっており、皆が集まる機会に恵まれない。

『ミユア・ノ・レゾレソ』─283プロダクション ファン感謝祭

 白瀬咲耶は寂しさを感じていたが、それを口にすることを避ける。
 メンバーは気付いていないか、気付いていても知らない振りをしていた。

『デイナ・シイ・パンシ』─283プロダクション ファン感謝祭

 プロデューサーが本人との意思疎通を図ろうにも、それを打ち明けないばかりか、自らを偽る言動を取っている。

『モテク・ナ・デココ』─283プロダクション ファン感謝祭
内容に相応しくない笑顔

 そして、何とか全員が集まる機会が持てた夕暮れどきに、メンバーたちは白瀬咲耶に問いかける。

『ねえ、アンティーカ』─283プロダクション ファン感謝祭

 彼女の思うのは、いつかの誰かとの、かつての言葉だった。

S.T.E.P.編の後で読み返すとより重みがある

 そうして、白瀬咲耶は寂しかったことを打ち明け、感謝祭を終える。

 後日、慌ただしく駆け出すメンバーたちを見送る白瀬咲耶の表情は柔らかいものであった。

『──うん、アンティーカ』─283プロダクション ファン感謝祭


『ストーリー・ストーリー』(イベントシナリオコミュ)

 いわゆるリアリティーショーを題材としたイベントシナリオコミュ
 月岡恋鐘のメンタルの強さと幽谷霧子の聡明さが示される。
 物語のためには省略されることの多い問題解決の段階が詳細に描写され、practicalなコミュに仕上がっている。シャニマスで学ぶ議論方法概論。

 「決められた回数以上に泣いてはいけない」という制約のもとで共同生活を送るリアリティーショーに出演することになる。
 この企画では、規定回数以上に涙を流してしまえばそこで打ち切りとなるらしい。

 高校生である田中摩美々、幽谷霧子、白瀬咲耶は、近々それぞれ舞台の仕事とドラマの出演を控えた月岡恋鐘と三峰結華のために、長く番組を続けることを希望する。

第2話「もうすぐ帰ります」─『ストーリーストーリー』

 視聴率が高くない場合には事実上の打ち切りになるという噂(後に事実であることが判明する)も手伝って、彼女たちは視聴率確保のために自ら様々な企画を試みることになる。

第3話「騒がしい家」─『ストーリー・ストーリー』

 しかし、彼女たちが撮影した動画に対する番組ディレクターの反応は思わしくない。そればかりか視聴率を上げるための「ストーリー」が必要だとして、台本通りの行動を強いる可能性があることを示唆される。
 それだけではなく、撮影した動画を使用しないにも関わらず、動画の撮影に際して流れた涙は打ち切りまでのカウントダウンに計上されてしまう。

第3話「騒がしい家」─『ストーリー・ストーリー』

 これらの試みが失敗に終わったことの報告と、結果として代償のみを払うこととなったことについての謝罪を含め、高校生組は年長組に相談する。
 年長組──特に三峰結華──は、高校生組の作為の動機を含めて理解を示し、それを許すこととなった。

第4話「優しい家」─『ストーリー・ストーリー』

 加えて、彼女たちの意向を汲みつつ、アンティーカの出演継続という目標を共有した
 そこで、年長組は高校生組と反省を行うこととなり、アドバイスを求められる。
 リーダーかつセンターは月岡恋鐘であるが、「三峰結華こそが適当」だとこの役目を一任した。

第4話「優しい家」─『ストーリー・ストーリー』

 この様子は収録されており、そして悪いことに、人目を引くような脚色を受けていた。
 SNSでは好奇の目が集まっており、明け透けな悪口も目立っていた。

第5話「からっぽの家」─『ストーリー・ストーリー』

 プロデューサーはこの扱いに抗議を申し入れたものの番組ディレクターに一蹴されてしまう。

第5話「からっぽの家」─『ストーリー・ストーリー』

 アンティーカの面々も恐怖から萎縮してしまう。
 しかし、その中でも月岡恋鐘は気丈である。
 食事の間でもまだ暗い表情のままのメンバーを見て、リーダーは「家出」することを決定する。

第5話「からっぽの家」─『ストーリー・ストーリー』

 時を同じくしてプロデューサーが撮影現場に赴き、アンティーカは家出を決行する。

 マイクロバスの車内にて、プロデューサーとアンティーカは「問題解決」を図るための話し合いを行う。
 まず彼らは現状を整理し、自己と関係者の分析を始めた。特にプロデューサーからは、内心腹立たしく思っている番組関係者の「理屈」についても、彼らの主張する「正当な論理」として分析上の立場を与えている。

第6話「もうすぐ帰ります2」─『ストーリー・ストーリー』

 また、目下彼女らのストレスの原因となっているSNSの声については、品格の観点からの批判が行われている。

第6話「もうすぐ帰ります2」─『ストーリー・ストーリー』
当事者が確信を持って言えるのは強い

 現状が整理された後、プロデューサーがこれをまとめ、現状変更のためにどのような行動に出るかの議論を促す。そこには出演者にとって提案しにくい番組の降板も有力な選択肢であることが付け加えられている。
 ここで、幽谷霧子による自身の素朴な期待と希望が示されており、それだけでなくそれには具体的な方法についての提案を伴っている。
 それに対して、三峰結華や白瀬咲耶による批判的な思考による検証が行われ、その上でリスクとリターンの相互比較が行われることとなった。

第6話「もうすぐ帰ります2」─『ストーリー・ストーリー』

 幽谷霧子は提示された脚色によるイメージ悪化のリスクに対して、プロデューサーによる小括──既に放送された脚色を含む彼女たちの姿の印象は消えない──を踏まえて、「本当のアンティーカ」が映っていないことこそが真のリスクであるという考えを示す。

 ……人間の意識における対象が限定された様式は、競合的阻害を起こすスキームと合致している。即ち、幽谷霧子の発想は理に適っており有効であると思われる。
 ──要するに、人間は掌を返すのだ。

第6話「もうすぐ帰ります2」─『ストーリー・ストーリー』

 少し斜に構える姿勢や幽谷霧子への謙譲からややオブザーバーに近い立場を取った田中摩美々を含め、議論の参加者によるこの考えへの賛同から合意が形成された。
 リーダーは議論をメンバーに、司会進行をプロデューサーに任せることで議論で発言することこそなかったが、合意の形成が完了すると共にこの議論の終了を宣言する。

第6話「もうすぐ帰ります2」─『ストーリー・ストーリー』

 また、決定した方針に基づき、具体化した次に取るべき行動の明確な号令を出し始めるのであった。

「リーダーは必ずしも優秀である必要が無い」というのは、リーダーには他の素養が優先されるということを意味する

 彼女らは「高校生組がテストの目標を決めてそのために頑張る」ことにした。
 幸運にも、彼女らの計画は成功したらしい。
 一度は失敗に終わった高校生組の企画したクイズも、形式および内容をともに流用している。
 偶然による「涙を流しそうになるトラブル」が実際の夜ふかしの影響によって起こるなど、目標を定め、決然と出現する行為に伴う事件的性質が視聴率の確保を助けた。

 ……視聴率を確保する番組作成の理論とは、畢竟、全力の行為に付随する諸々の偶然が、偶然カメラに収まり、偶然人目に触れ、偶然広まった事例からの帰納的類推によるretrospectiveな分析に過ぎない。
 実のところ、リアリティーショーというもの一般は、客体的消費物としての属性に主体的属性を上書きするだけでなく、出演者により行為らしい行為というものを促進する効果も期待していたようにも見える。
 行為には猥褻に関する危機管理が課題となることを常に理解しているかは不明であるが。

 ともかく、全力での行為によって彼女らが成功する確率は大きくなる。全力の行為には適切な自信の確保、つまり意思決定の過程が重要だった。

 ……そして、目標に据えた試験の当日、高得点を狙ったがための夜更かしから全員が寝坊するトラブルが起き、学校へ駆け出すことになる。
 慌てて駆け出した彼女らは面白く、構図や人物についても素晴らしい絵画となって、駆け出す姿は面白い映像となった。フレームに収まる絵も良ければフィルムに納まる画も良い。

エンディング「家の物語の話」─『ストーリー・ストーリー』

 そうした、行為を伴う画面から抜け出した後に、田中摩美々はパンをくわえて朝から走ることが大変であると口にする。
 その上で、彼女は「カメラの外でも嘘を吐かないストーリーにする」と言った。

エンディング「家の物語の話」─『ストーリー・ストーリー』

 それに対して、幽谷霧子は笑い、「生きていることは物語ではない」と安心させた。
 これには作中屈指の名言2数えられるだけあって、数多くの意味合いがあり、意義があるため、全てを示すのが大変である。
 是非ご自分でご確認いただきたい。

エンディング「家の物語の話」─『ストーリー・ストーリー』

終わりに

 今回は、折り触れて語られがちなコミュを「必修コミュ」として紹介した。
 前回のイルミネーションスターズ編でも述べた通り、本記事での「必修コミュ」とはあくまでも話題に挙がりやすいものに過ぎない。
 今回紹介したもの以外にも、面白いものや興味深いもの、優れた表現の見られるものなど、それぞれに魅力がある。
 興味と好奇心が十分にあるなら、オタクの妄言やノットイコール煽り、お節介な長文などには目もくれずに、興味の赴くままにコミュを読み漁ればよく好きに考えて好きに感想を述べればよい

『体感型・4D映画のイラスト』─いらすとや


 他には、今回の記事では、前回からの変更として、文体の変更および解説の増量を実施した。
 結果として、紹介のための記事というよりはむしろ解説のための文章に近くなってしまっていることを反省したい。

 それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。