見出し画像

本棚:『風に舞いあがるビニールシート』

6つのお話が収められた短編集。直木賞受賞作なので、読んだことがある方も多いかもしれません。わたしが好きだなと思ったのは、『守護神』と『ジェネレーションX』。
『守護神』では大学の二部、すなわち夜間部に通うフリーターの裕介が主人公。単位を落としそうな裕介は、代筆の達人であるというニシナミユキに頼み込むのですが…。代筆を頼むということは、勉強は好きじゃないのかな?なんて思っていたのですが、徐々に感じる違和感。なぜ裕介は、代筆を頼みたいのか…。
『ジェネレーションX』では、出版社に勤める四十近い会社員、健一が主人公。通販情報誌の特集ページで取り上げた商品に誇大広告があったとして、広告主の社員とともに客に謝罪に行くのですが、その社員に会って健一の頭によぎったのは「新人類」。ちょっと世代の違う2人。どうなることやら…。

気分的にも精神的にも、まだまだ若手のようなつもりでいましたが、実はそうも言ってられない世代にいつの間にかなっていました。情熱とかやる気とかは年齢に関係ないものだと思いますが、どこか冷めたというか諦めたというか、そんな感じはあって。でも、『守護神』と『ジェネレーションX』は、仕事に対してなんだかちょっと気分が前向きになりました。
人それぞれ価値観は異なると思いますが、私にとって譲れないものって何かなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?