『「人生」のようなもの』kindle他電子書籍ストアで配信開始です。

noteやTwitterに掲載していたものを纏めました。BOOK成分が多めの短篇集、というよりは掌篇集になっています。

以下、収録作です。

幻想と日常、19本の短篇集。
古書店である筈のない本を見つける話――「束の間の幻影」
突如世界に現れた巨人のパーツ達――「部位合流」
見たものをすべて猫に変身させてしまう男――「すべて猫になる」
月全体が私設図書館――「コーヴェ・アンネイの図書館」
収録作

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時間短縮 (1分小説)

凍結した湖で、フィギュアスケートの練習に打ち込んでいると、だんだん陽は落ち、周りがうす暗くなってきた。

「君、フィギアの選手?なぜ、リンク場に行かないんだ?」

防寒着を着こんだ、見知らぬ男が近づいてきた。

「設備費削減のため、今年から、早く閉館されるようになったんです。

次の大会は、難易度の高いスピンで勝負したいんだけど、なかなか練習時間が取れなくて」

男は、氷上に、指先で直径10cmほ

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第七話 ボクの親友、トモヤくん  パートⅠ

語り手:ネコのきなこ 挿し絵:猫野 サラ

ボクにはすごい親友がいる。名前はトモヤ。

人間なんだけど、人間じゃないくらいすごいヤツなんだ。彼はマリアちゃんの甥っ子ってヤツ。彼女もトモヤくんのことが大好きで、ときどき一緒に勉強っていうのをやってる。あまりいいものじゃないよ。人間は意味のないことする変な動物だね、ふふふっ。

初めてトモヤくんにあったとき、もうねえ、一瞬で大好きになったよ。あのちっち

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ドーピング (1分小説)

「確実に、オリンピックで金メダルは取れるが、5年後に死ぬ薬があったら、あなたは服用しますか?」

という問いに、オリンピック選手の53%が「YES」と答えたそうである。 (2004年 調査)
                                

ここは、鏡張りの個室トイレ。係員が見つめる中、私は、自分の尿をカップに採取した。

「ハイ」
平静をよそおい、係員に手渡す。

コーチは

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118歳 (1分小説)

それは、予期せぬ出来事だった。

「あなたさまが、今年、118歳になられる石田芳吉さんですよね?」

市の職員が、いきなり石田家にやって来たのだ。

「……」

「住民票によると、芳吉さんは、1901年、明治34年に誕生。総理大臣だった、故・佐藤栄作さんと、同じ年に生まれたということですが」

「あ、そう」

職員から頂いたまんじゅうを食べると、庶民的で素朴な味がした。

「失礼ですが、ご本人様で

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夜道の目 (1分小説)

腕時計を見れば、午前0:00。

女は、暗い夜道で、自分を見つめる、いくつもの目を感じた。

小走りしながら、何度もふり返る。

「やっぱり、残業を断ればよかった」

親友に電話をする。

「誰かが、私をジーッと見ているような気がするの」

低い声が返ってきた。
「ストーカー?元カレかもよ」

女は、バッグを胸に抱えなおした。

「違うと思う。たぶん複数の人。さっきまで、何も感じなかったのに」

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〈偏読書評〉 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(講談社)

毎月(正確には年10回)、とあるファッション誌の公式サイトにて新刊紹介を書かせてもらっているのですが、原稿を送って数週間経つというのに、9月分の記事がいっこうに公開される気配がありません(追記:と、半ばぼやくように投稿していたのですが、数時間後に記事が公開されました)。でも、今月分の記事で取り上げている作品は、どれも激推ししたいものだし、早く紹介したい。ということで、久々に〈偏読書評〉名義での投稿

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嫁候補 (1分小説)

ひとり息子が、金髪の、ドス黒い肌をしたギャルを連れてきた。

はるか昔、渋谷でこんなコを見かけたことがある。

『マンバ』『ガングロ』、そんな呼び名だった。全滅したと思っていたが。

息子は、このコと我が家に住むのだと言う。

「そんなの嫌だわ」

若いコを、イジメようというのではない。

私も、姑にイジメられたクチだから、息子の彼女や嫁になる人とはうまくやっていきたいと、思っていた。

しかし、

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パパラッチの夢 (1分小説)

『俳優の江藤達也(27)と、アイドルのRIE(19)に不倫疑惑 』

職場のPCに寄せられた、匿名のメールを見て、私は、仕事の準備にとりかかった。

本音を言うと、20も30も年下の有名人の恋愛なんて、ぜんぜん興味はない。

だけど、この手の話題はカネにはなる。

今回は、人気俳優と清純派のアイドル。スクープになるに違いない。

黒の皮バッグに、小型カメラをしのばせると、2人が密会に使うという、シ

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ベルマーク (1分小説)

院長が、「ベルマーク1000枚で、小学校のピアノが買える」と言ったから、みんなで必死になって作ったんだ。

でも、きょうの集会で、残念な報告があった。

「2枚足りず、鍵盤が1つ欠けたピアノしか、買えなかったそうです」

話によると、真ん中のファの音が足りなかったらしい。そんなの、ピアノでも何でもない。ただのガラクタだ。

後ろで、三角座りしていたサトルが、ボクをつついた。

「オレらを担当してい

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