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個展【序奏】・新作について

開催前に投稿もせずに、すでにはじまって3日が経過いたしました。

前回の課題展「42歳、学生です。」が終わってから2週間後の会期となり、グループ展を除き年内に個展を2会期は2015年ぶりです。

正直、制作においてパニックの状態ではありました。
準備については42歳〜の会期のパネルを2回、使いまわせる内容にしたりなどしていたのですが過去作品のキャプションはテーマごとにサイズを変えたりしているため、この会期に合わせ作り直し。
開催前日の12月10日は22年目の結婚記念日でしたが1日中、旦那と声を荒げ喧嘩しぱなし。
情けない状態ではありましたが喧嘩するほどの体力、精神力があるのであれば出来ることはまだあるはず、と頭のどこかにあり、なんとか新作2作品を仕上げました。

Instagramでもお話させていただきましたが「序奏」とは音楽用語で、楽曲の冒頭の主要部を導入する部分です。つまり”イントロダクション”

今回の会期のテーマのきっかけは武蔵野美術大学美術館で夏に開催されていた「若林 奮 森のはずれ」にて流されていた動画で見た、本来おきてはいけない”腐食”です。
作品を蝕んだ30年という月日。鉛が紙にように腐食しており、その見た目からは硬さすら感じない。
その”歪み”が私には黒鳥に見えたのです。

あの動画をみたあとから、2024年の会期は、この感覚をテーマにするであろうと思っておりました。その後も、テーマの濃度が増すような嬉々なる奇遇が続き、2024年への個展を見据えておりました。

そんな折、今回の富士宮市RYU galleryでの会期のお誘いをうけました。即答でお受けさせていただき、でも、一緒にいた旦那は蒼白。
「え、どうするの?42歳もあるよ?」
手伝いが過酷になることが想像できる事態でしたので旦那の蒼白もわからなくもなく。グループ展やコンペでは市外、県外の展示経験はありながらも静岡市外での個展はしたことがなく、何度となく伺ったことがあるRYU galleryで個展ができるとあらば、断る理由があるだろうか?

「無い。」

過去作品にも重きを置いた理由についてはInstagramでお話させていただいた通りで、しかし新作が全くないのは‥と考えた時、2024年への”はじまり””プロローグ””イントロダクション”なるものを制作したいと思ったのです。

こうして【序奏】へ、ぶっつけ本番の構想がスタートしました。

新作について

そんなわけで今回は新作2点です。

「odette」
「odile」

一度は耳にしたことがある方も多いと思います。

チャイコフスキーがバレエのために作曲し
バレエを代表する作品の1つ「白鳥の湖」より
オデット(白鳥)とオディール(黒鳥)です。

白鳥の湖といっても白鳥の湖の物語自体は深くテーマに絡めていません。
あくまで”腐食”からはじまっています。

今作品は2024年の会期への伏線です。

そして、水溶性ビニロン×私の刺繍技法における研究経過発表です。
最初は小さな手のひらサイズの刺繍から初めて、実はまだSM0くらいまでのサイズでしか試してなかったので、いきなり約F10のサイズに刺繍するのはとても不安でした。

うまくいくか分からないのに、縫い進めて、試したい、でも、時間がない。

一気に溶かさなくては刺繍の硬さ(ハリ)にムラができることは明白でしたし、若干、大きめですから一体どう一気に溶かせばいいのか等、ここでもまたぶっつけ本番。

でも小さなサイズで何度も何度もやってはいたので、どのくらいの温度がよいのかや、どのように溶かせばいいのかは感覚的にわかっていたので(こつこつと試しておいてよかった‥)
今作品、理想通りに溶けて硬さ(ハリ)も残せました。

フレーム

次に悩んだのが私が一番求めた”腐食”らしさ、額装です。

今作品と交えているフレームはシルクスクリーン用のフレームです。無機質で、でも無機質すぎない、鉄ぽくて、冷たそうで‥そういう額なんかないかね?と旦那に聞きました。
「え、溶接?いや、無理。というかイメージがよくわからない。」とキレられながらも話をしていく中で
以前、美術家・北川純先生のシルクスクリーンの講座に2回ほど参加させていただきまして、2回目は珍しく旦那もやりたいと2人で参加したことがありました。
ここが大きなヒントとなり、シルクスクリーンのフレーム、でも綺麗な新品は嫌だと私がいったので中古を探しました。
運良く中古のフレームを10個購入することができ、今に至ります。

なにやら、まだまだこの中古フレーム購入できそうとのこと。
追加で購入するかもしれません。‥2024年にむけて。


つらつらと書いてしまいましたが、この会期に至るまで
圧縮袋にいれられて空気抜かれているような状態だったのが
無事に会期はじまって急に呼吸できるようになって少し爆走気味です。
はじめての場所ということもあって興奮もあるのかも。

最終日までお付き合いいただけましたら幸甚です。

よろしくお願いいたします。

Arisa Mitsui exhibition
【序奏】

場所
富士宮市万野原新田 3920-11 RYU GALLERY

日時
2023年12月11日(月)~12月17日(日)
11:00-17:00

全日在廊いたします。
入場無料
 










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