トパーズ~番外編?~Part1

まえがきのまえがき

こちらは「トパーズ~虹と共に~」の番外編(お遊び)となっております。
ネタバレも含みますので、もし、もしも、お読みでない方は本編から覗いていただけるととっても嬉しいです。


まえがき


智香 『来たわ、来たわ〜♪ 私の時代がっっ!
   *おまけ*で私の訴えが読者の方々に好評だった!
   と勝手に思い込んだ作者が調子にのってやっちゃうみたい』

紗弥加『そうなの?』

レノン『作者も物好きだね』

響  『じゃぁ、私とレノンのラブラブ振りも教えてあげられちゃうかも
    ♪』

涼  『また皆さんとお会いできて嬉しいわ。ヨロシクね』

ジェイ『ってコトは、サーヤとのその後のお楽しみもか?』


バシッッ!!

ジェイ『イテッ! 何しやがる、響!』

響  『あんたの発想は卑猥なのよ!』

紗弥加『? 何の話?』

レノン『紗弥加は気にしなくていい話だよ。さぁ、向こうに行こうね』

智香 『私とイケメンとの熱愛、あるかなぁ♪ あっ、想像するだけで鼻血
   が……』

相変わらず賑やかな面々ですが、宜しくお願いいたしますm(__)m



≪とある日の出来事≫


これは響が居候し始めて間もない頃のヒトコマ。

響  『引っ越してきて正解だわぁ。涼さんのご飯は美味しいし、レノンに
    は毎日会えるし♪ ジェイ、あんたは余計だけどね』

ジェイ『勝手に押し掛けてきやがって。生意気なんだよ、このレノン病。
    レノン、悪いコトは、言わん。早く別れろ!』

紗弥加『いいじゃない、ジェイ。私はお姉さんができたみたいで嬉しいよ。
    ね、響ちゃん』

響  『ほら、大家さまもそう仰ってるじゃない、馬鹿ジェイ』

ジェイ『騙されるな、サーヤ。こいつはストーカーだぞ、ストーカー』

紗弥加『でも、今は付き合ってるんだしいいんじゃないの?
    ね、レノン?』

レノン『ん? そうだね』

そんなやりとりが晩ごはん前にリビングで繰り広げられていた。

紗弥加『ねえ、なかなか涼パパ、ご飯の準備終わらないね』

ジェイ『そういや、そうだな。あっちに行ってみるか?』

レノン『そうだな。そろそろ出来る頃だろうし……』

響  『やった。今日のご飯はなんだろ♪ 楽しみね、レノン』

そう言って響はレノンと腕を組み、全員でゾロゾロとダイニングに向かった。ダイニングには涼の姿は無かったが、テーブルには夕飯の仕度が整ってはあり各自席に着いた。

紗弥加
ジェイ『………………』
レノン

響  『いっただきまぁす……。って、あれ、なんか今日のごは……』

そこまで言って3人に口を塞がれた響。そう、今日の夕飯のメニューは
「ご飯。薄い味のあるような、無いようなお味噌汁。メザシが各自一匹」

響  『ちょっ……はひすりゅのほー』

口を塞がれた響はうまく発音出来ないが「ちょっ……何するのよ」と言いたかったようだ。そして、その瞬間、紗弥加、ジェイ、レノンに引きずられるように響はダイニングから連れ出された。

響  『ちょっと、何するのよ。馬鹿ジェイ』

ジェイ『馬鹿は余計だ、バカ響』

紗弥加『最近、なかったけど、また……なんだね』

レノン『そうみたいだな。今日はまともなご飯にはありつけそうにない
    な……』

ジェイ『しょうがない、外に食いに行くか』

響  『だから、なんなのよ。
    涼さんに言って作り直してもらえばいいじゃない』

ジェイ『それは無理だな。今日は諦めろ』

紗弥加『そっか、響ちゃんが越してきてからは初めてなんだね。
    実は……』

そして4人は家を後にして外に食べに行くことにした。
そう、もう一つの内緒(?)のルール。
涼が(勝手に)失恋した時はあからさまにまともなご飯にありつけなくなる……。

だが、そのコトに触れてはいけない……。
なぜなら………。

一晩中、涼の愚痴と言うか、失恋話を聞かされ寝かしてもらえないからだ。
失恋と言っても、勝手に涼が思いを寄せているだけで、相手はまったく知らないのだが……。涼が寝静まった頃を見計らって、もったいないが、そのいかにもおかしなご飯は秘密裏に処分をしなければならない。食べていないことがバレると更に涼は落ち込み、更に酷いメニューが並ぶのだ。

響  『話ぐらい聞いてあげればいいじゃない』

紗弥加『きっと後悔するよ。さすがに私も無理だもん』

3人が止めるのも聞かず家に帰った響だが、みんなの意見に逆らったコトを後悔する羽目になったコトは、言うまでもない……。


〜おしまい〜


≪モテモテ? 智香≫


智香 『紗弥加、どうしたの? 浮かない顔しちゃってー』

紗弥加『今日、撮影を覗きに行くんだけど、響ちゃんのお相手が気難し君らしくってさ』

智香 『「君」ってことは男ってことよね! 新人君かなぁ♪』

紗弥加『結構、人気の出始めた新人君らしいんだけど……』

智香 『私も行くー! いやぁん、楽しみぃ♪』

紗弥加『いいけど、そんなに期待するほどでも……、
    って、智香、聞いてる?』

智香は手を握り締め、例の如く目をキラキラと輝かせ宙を見つめてどこか遠くに行ってしまっていた……。
気難しい新人の為に響が『なるべく和ませて欲しいの』っと紗弥加に頼みこんでいたのだ。ジェイは響のトコに行くぐらいなら自分の所に……と騒ぎ続けていたのだけれど、涼にも頼まれ、紗弥加は断るに断れなかった……。

智香 『紗弥加っ! 早く、早く〜♪』

ウキウキした足取りで現場へと向かう智香。

智香 『でも、おっかしいなぁ〜』

紗弥加『何がおかしいの?』

智香 『だって、この智香様が人気の出始めた新人君を知らない
    なんてさぁ』

紗弥加(その自信はどこからくるの?智香……)

智香 『まっ、いっか♪ 楽しみだなぁ♪
    ね、その子イケメン?』

紗弥加『イケメンって噂だよ』

智香 『ますます楽しみぃ♪』

智香はますます目をキラキラ輝かせて撮影所の入り口をスキップしながら入っていった。

響  『紗弥加、今日はありがと。智香も来てくれたんだ。助かったわぁ』

智香 『いやいや、こちらこそ♪
    売り出し中の新人とお近づきになれるなんてこんな時しか
    ないもんね〜♪ 持つべきものは友だよね〜♪』

響  『相変わらず幅が広いのね〜、智香』

智香 『可愛い〜♪』

響  『智香、モテモテじゃない』

智香 『昔っから犬とか猫とかには好かれるんだよね〜♪』

仔犬たちと戯れる智香。

スタッフ『お疲れさまでしたー。本日の撮影終了でーす』

智香 『えっ!? 新人君は? も……もしかして……!』

響 『そうよ、今日の撮影はこの気まぐれな仔犬ちゃん達との
   撮影だったの♪ モテモテだったね、智香』

智香 『…………………。えぇぇぇぇぇぇ!!』

紗弥加『やっぱり……』

響  『ん? 何?』

智香 『やっぱりこんなオチなの〜! 詐欺だぁぁぁぁっ!
    馬鹿ぁぁぁぁぁぁ〜!』

新人君(犬)にモテモテだった智香は意気消沈して来た時とは違って家路へと着く足取りは重かった……。

〜おしまい〜



≪ジェイのラブラブ大作戦≫


涼  『じゃあ、行ってくるわね。
    あんた、私が居ないからって調子に乗っちゃダメよ!
    夕飯は冷蔵庫の中とこの鍋に用意してあるから』

ジェイ『わかったってば。朝から何回言うんだよ。
    俺を信じろって』

――バシッ!

凄い音と共にジェイの頭を叩く涼。

ジェイ『イテッ!』

涼  『信用できないから何回も念をおしてるのよ!』

ジェイ『…………………。
    早く向かわないと飛行機に間に合わないぞ』

涼  『あら、本当だわ。
    あんたにかまってたらこんな時間じゃない。
    じゃ、行ってくるわね』

ジェイ『はいはーい』

今日、涼は仕事で地方に行く。帰るのは明日の夕方。

ジェイ『そんなこと言ったってなぁ。
    レノンと響は結婚して出ていったし、今は新婚旅行中だから、
    こっちに寄ることも出来ない。ってコトは……』

ジェイは気がついた。

ジェイ『ってことは、今日はサーヤと2人きりじゃないかっ』

そう、今日はこの家の中には珍しくジェイと紗弥加の2人しかいないのだ。

ジェイ『♪♪♪〜』

車の鍵を手に何処かへ出掛けていくジェイ。

〜 約2時間後 〜

ジェイ『今日はロマンチックに彩ってサーヤを驚かせてやろう』

ピンポ〜ン♪

ジェイ『来た来た♪』

ドアを開けると花屋がさっき頼んだ花を綺麗にアレンジメントして届けに来ていた。今日のメニューはラッキーにも洋食。ジェイはいそいそとテーブルにキャンドル、さっき届いた花、ワイングラスを並べセッティングをしている。

ジェイ『サーヤ、喜ぶだろうな〜♪』

淡い(?)期待を胸に準備を終えた頃、紗弥加が帰ってきた。

紗弥加『凄いねー。ジェイ一人でセッティングしたの?』

ジェイ『気に入った?』

そう言ってジェイは紗弥加の耳元に優しくキスをした。

紗弥加『もう……!』

照れながらも喜ぶ紗弥加を見つめて、幸せを噛み締めるジェイ。そして、ロマンティックな夕食を済ませ、

ジェイ『サーヤ、これ、観たがってたろ?
    一緒に観ようと思って借りてきたよ』

サーヤ『わぁ♪ 借りてきてくれたの? 観たい、観たぁい♪』

感動の涙が止まらないと公開中も評判だった恋愛映画。デッキにDVDを入れ、2人でソファーを背もたれにカーペットに座って観始めた。
チラッとジェイの前に座る紗弥加に目をやった。

ジェイ(目に涙をいっぱい溜めちゃって……)

ポロポロ泣きながら食い入るように映画を見る紗弥加を心底いとおしそうに見つめるジェイ。エンドロールが流れ始めても紗弥加は画面を見つめたまま涙を流し続けている。

ジェイ『サーヤ……』

優しく、低く囁くような声でジェイは紗弥加の名を呼ぶと、

サーヤ『ん?』

紗弥加は振り返り、2人の視線が絡まる。自然にお互いの唇は引き寄せられた……。

紗弥加(ど……どうしよう……。も……もしかして……)

レノン 響『ただいまー♪』

紗弥加はスルッとジェイの腕からすり抜け玄関へと走りさってしまった。賑やかにリビングに足を入れたレノンと響は床にうなだれるジェイを目にする……。

響  『ただいまー♪
    お土産買ってきてあげたわよ。ありがたく思え♪』

ジェイ『…………………』

響  『ちょっと、ジェイ。聞いてんの?』

うなだれるジェイは少しだけ目線をレノンに向け

ジェイ『なんで………』

レノン『新婚旅行から帰国してきたに決まってるだろ?』

ジェイ『ちが……。だから、何故ここにいる?』

響  『とうとう耳も悪くなったの? 帰国したんだってば』

ジェイはガバッと起き上がり、

ジェイ『お前ら、結婚して引っ越すんじゃ……』

響  『なぁに言っちゃってんのよ。引っ越しなんてしないわよ♪
    涼さんのご飯美味しいも〜ん♪』

ジェイ『はぁぁぁぁぁ!?
    レノンの稼ぎだけでも一等地に住めるだろうが!』

レノン『また事務所に通う羽目になるのもダルいしな』

ジェイ『…………………』

ジェイがこの瞬間、響には毎度のコトだが、無二の親友であるレノンにも殺意を抱いたのは言うまでもない……。

ジェイと紗弥加の甘い生活はまだまだ遠そうである……。


ジェイの苦悩は続く、永遠に……?

〜おしまい〜



≪レノンはズルイ?≫


ジェイ『なぁんかさぁ、ふと気づいたんだけど……』

紗弥加
響  『何?』

ジェイ『レノンがいないから言うけど、
    あいつだけオチるとこなくない?
    作者の偏見か?』

(アリセ (………ドキッ) )

響  『あの女、私のレノンに密かに思いを寄せてるんじゃ……。
    許せないわっ!』

紗弥加『でも響ちゃん、もうすぐレノンと結婚するんだし、
    そうでもないんじゃないの?』

響  『あっ、そっか♪』

ジェイ『そうじゃなくってさ、ズルくない?
    あいつだけカッコつけたまんまなんて……』

響  『いいの!
    レノンはあんたと違って素敵すぎるんだから♪
    でも、ちょっとそんなレノンも見てみたいかも……』

涼  『言われてみればそうよねー。
    レノンだけジェイと響みたいなジャレ合いとか、
    紗弥加みたいに照れたり、ふざけたりってシーンないものね』

と、ジェイと涼、響はどうにかレノンに三枚目を演じさせられないかと案を練っておりました。

紗弥加『いいのかなぁ? そんなコトしちゃって……』

ジェイ『サーヤは見てみたくない? レノンの慌てるトコとかさ♪』

紗弥加『………………。
    ち……ちょっぴり見てみたいかも……』

涼  『楽しそうね〜♪』

響  『紗弥加も共犯よ。だから、レノンには内緒よ♪
    いやぁん、レノンに隠し事なんてしたことないのに〜。
    独身生活最後の秘密!? ドキドキしちゃう♪』

レノンのいないところで着々と(?)話し合いが続く……。
とりあえず、ベタなところで穴にでも落ちてもらうか? ということになり、どこに仕掛けを作るのか?
ということになりました。

ジェイ『どうするよ?』

涼  『そうねー……』

響  『どっかの道路の工事現場を借りるってのはどお?』

紗弥加『そんなに簡単に貸してもらえるの?』

ジェイ『うーん……』

涼  『あっ、そういえば、今度家の前の道で工事しますって
    お知らせが来てたわ』

ジェイ『それっ!使えるんじゃないか?』

響  『涼さん、いつからって?』

涼  『確か、バレンタインデーだわって思ったから
    2月14日からじゃない?』

紗弥加『明日だよね』

決戦(?)は明日に決定となりました。
涼はレノンのスケジュールを確認し、朝から仕事が入っているため帰宅は夜と判明いたしました。
次の日、レノンが出掛けると、レノンより遅がけからの仕事だった響は工事現場の人にお願いして仕事が終わった後、わからないようにしてもらう約束を取り付けました。
涼は今日の現場は(ラッキーなコトに)駐車場がないから公共機関で行くように……と指示をしました。ジェイはレノンと同じ現場なので一緒に帰り、無事にソコを通らせる役目です。
さぁ、決戦の時間がやって参りました。紗弥加、涼、響は玄関の影からそっとレノンが帰るのをまっております。
二人の人影が見えて参りました。
ジェイとレノンです。

紗弥加
響  『あと少し……』

ジェイはうまくピンポイントにレノンを誘導しつつ進みます。

ジェイ(やった♪)

――ズボッッ!

紗弥加
ジェイ『………………』

レノン『びっくりした。大丈夫かい? 智香』

レノンが穴の上を通るほんの1っ歩前、智香がバレンタインデーのチョコを片手に二人を呼びながら猛ダッシュしてきたのです。ジェイも止めようがなく……。

智香 『……………!?
    なんじゃこりゃぁぁぁぁ!』

紗弥加『智香ってば………』

響  『おっし〜い! ある意味、智香ってばオイシイ♪』

涼  『智香って凄いわ♪』

という会話が交わされながら3人は家の中に入っていきました。
智香はというと……。
ジェイとレノンに引き上げられ、体に付いたら砂を2人に払ってもらい、穴に落ちたことも忘れ、毎回の如く目がハートになりましたとさ。

そして後日、レノンはやっぱりズルイ……という意見が紗弥加、ジェイ、響、涼の4人の間で交わされましたとさ……。

〜おしまい〜


≪もしも~が借金をしてしまったら?≫

【紗弥加の場合】


紗弥加『どうしよう……。あの紙、ローンの申請用紙だったなんて……。
    頑張って働かないと……。でも、何すれば……』

紗弥加はたまたま買い物に行き、商品を見ている時に、あれやこれやと店員にうまく言われて知らぬ間にローンを組んでしまっていた。
ある意味、お嬢様で過ごしてきた紗弥加は働いたことがなかった。

紗弥加『かと言ってみんなに相談するなんてできないし……』

紗弥加はアルバイト情報などを見て頑張って探した。そして働く所を見つけ、必死で働き、返すお金を貯めることができた。

紗弥加『やっと残りのお金を全額返すことができる。
    これからはもっとちゃんとしなきゃ』

紗弥加は電話で振込先を聞くと言うことも知らないので、そのお金を持って急いで返しに行った。金融会社の前に着き、ドアの前で大きく深呼吸をして勇気を振り絞り、中に入った。
ドキドキしながら受付まで歩いていった。

紗弥加『あ……あの、お金を返しに来たんですけど……』

受付嬢『いらっしゃいませ。只今お調べいたしますので
    こちらの用紙に記入していただけますか?』

受付嬢に促され、用紙に必要事項を記入して再度呼ばれるのを心臓が飛び出しそうになりながら待っていた。
そして紗弥加が呼ばれた。

受付嬢『お調べいたしましところ、お客様の借り入れ額は
    全て返済されております』

紗弥加『は?』

受付嬢『というより、多く頂きすぎておりますので、
    こちらをお持ち帰りいただきたいのですが……』

渡された小切手の金額を見ると紗弥加が払わなければならない金額と同じだけの金額が書かれてある。不思議に思いながらも小切手を受け取って家に帰り、意を決して涼とジェイに相談をしてみた。

涼  『あら、それなら私が返しといたわ。
    これからは気を付けなきゃダメよ』

ジェイ『えっ!?
    涼さんも振り込んだのか? チッ、先を越されたか……』

そう言うと、ジェイは紗弥加の肩に手を回し、

ジェイ『これからは欲しい物がある時はちゃんと言うんだよ、
    俺が買ってあげるから』

と優しく頬にキスをした。

紗弥加『ごめんね、これ、返すね』

と金融会社から受け取った小切手と働いて貯めたお金を2人に渡した。

涼  『それはもういいわ。
    これから気をつけてくれればいいけとだから。
    紗弥加が頑張って貯めたお金なんだから』

ジェイ『俺もいらないよ、サーヤが自由に使えばいいよ』

何故バレたのかと言うと、アルバイト情報誌と共にローンの申込書の控えも部屋に置きっぱなしにしていたのである。
結局、お金が二倍になってしまい、どこまでもお嬢様な紗弥加だった。


〜おしまい〜


≪もしも~が借金をしてしまったら?≫

【涼の場合】


涼  『困ったわ……。
    いつの間にこんなにカード切っちゃったのかしら……』

つい先日、涼は仕事の付き合いで「ホストクラブ」へ行くことになった。
そこはイケメン・パラダイス。いろんなホスト達があれやこれやと優しい言葉を囁いてくれる。そんなコトはまずない……という涼にとっては天国の様な場所だった。調子に乗って夢見心地で高いボトルを入れていたのだ。

涼  『…………、でもあの子達、いい顔だったわよね〜♪』

なんて、少しピンク色に染まりながらどうしようかと試行錯誤を繰り返していた。
ふと思い立った涼はどこかへと出掛けていった。

涼  『確かここだったわ』

そう、涼がやって来たのは先日訪れたホスト・クラブ。

ホスト『いらっしゃいませ』

ホスト達が涼を席まで案内した。
さすが、先日、高いボトルを入れただけあって上客と見なされているようで、ホスト達はセッセと接客をしている。

涼  『この間のイッセイ呼んでくれない?』

イッセイがやって来た。その後、店が閉まるまで一緒に過ごし、アフターへ出掛けていった。
イッセイは上客と踏んだのだが、大きな間違いだった。
そこはやはり社長、イッセイをうまく口説き落とし、事務所に入れてしまったのだ。
上客として涼をドル箱にしようと思っていたイッセイは今や逆に事務所の為に新人モデルとして日々進み続けている……。

業界内は、「さすが、谷原涼、新人を見つけてくるのがうまい!」
と噂をしているが、真相を知る人物が約2名……。

ジェイ
レノン『ただでは転ばぬとは、恐ろしき、谷原涼……だな』

涼  『あんたたち、何をコソコソ言ってるの!
    早く仕事に行きなさい!』

温和で楽しい谷原涼だが、ちゃっかりしているところはさすが、社長……なのかもしれない……。


 〜おしまい〜


≪もしも~が借金をしてしまったら?≫

【ジェイの場合】


ジェイ『うーん……』

ジェイは悩んでいた。手にした借用書を眺めながら……。
それはとある友人が作った借金。その借金の保証人になったのだが、当の本人がどうしても払えなくなってしまった……。と連絡があったのだ。
ちゃらんぽらんに見えるが実は情に熱いジェイ。

ジェイ『あいつ……。これぐらいなら俺が貸してやったのに……。
    わざわざ金利払うなんて馬鹿な奴だなぁ』

借用書を眺めながらそこに書いてある金融会社の住所を確認した。

ジェイ『振込先聞くのも面倒だし、近いから持っていくか……』

借用書をジャケットの内ポケットにしまい、車に乗り込んだ。

ジェイ『まずは銀行だな』

銀行に向かって車を走らせ始めた。銀行に着き、金額が大きく、ATMではおろせない為、必要事項を用紙に書いていた。周りにいる客や、受付嬢達からピンク色した溜め息がもれる。

女  『いやぁん、ジェイじゃない♪
    こんなトコロで会えるなんて運命みたい♪』

目をキラキラと輝かせてジェイに入れ込んでいるとある所のご令嬢が近づいてきた。

ジェイ『あぁ、お前か。今から借金返しに行くからお金をおろすんだ』

ご令嬢『ジェイ! 借金なんてあったの?』

ジェイ『ん? あぁ、まぁな……』

ご令嬢『いくらなの?!』

そう言うと、ご令嬢はジェイが書いていた用紙を取り上げた。そしてその用紙を手に持ちツカツカと窓口まで行ってしまった。

ジェイ『チッ。また書かないといけなくなったじゃないか』

ブツブツ言いながらまた用紙に記入し始めた。書き終わるか、終わらないかというタイミングでそのご令嬢はジェイがおろす予定の金額のお金を持ってきた。

ご令嬢『ジェイ。これ使って♪』

ジェイ『………………』

ご令嬢『いいの、あなたの役にたちたいの!
    これからは私に相談してね』

そう言うとお金をジェイに手渡し、去っていってしまった。

ジェイ『なんだかよくわからんが、ラッキー……なのか?
    ………………、まっ、いっか』

そのお金を手に金融会社へと車を走らせた。金融会社に着き、ドアを開けると少し厳つい人達が出迎えてくれた。

ジェイ(あいつ、どんなとこで金借りてんだよ……)

ジェイ『これ、返しに来たんだけど』

男   『少しここで待っててください』

男はそう言うと隣の部屋に消えていった。少し経ってこれまた更に厳つい男が出てきた。その男は社長だと言い、挨拶をすると名刺を渡された。

ジェイ(おい、おい……。マジか!?)

社長 『あなたはモデルの……』

ジェイ『ジェイですが。これを返しに来たんですけど……』

社長 『きゃぁぁぁぁぁ!ファンなんですぅ。
    借金なんてどうでもいいからここにサインして』

ジェイ『………………』

周りの男達から「社長の病気がまた出た……」と溜め息混じりに小声で話すのが聞こえた。言われるがままにサインをすると社長は興奮冷めあらぬ……といった感じでジェイに抱きつくわ、キスするわで大変な騒ぎになってしまった。
やっと解放されたのは4時間も経ってからだった。

ジェイ『涼さんの方が可愛くみえる……』

ゲンナリしながら車に乗り込んだ。

ジェイ『はぁ、疲れた……。ん?でも…………。
    ラッキー♪ 金が入った♪』

変な男に捕まりはしたものの、借金はチャラ、しかも、そのお金は貰いもの。

ジェイ『いやぁ、モテる男は辛いなぁ♪』

と上機嫌で家路をいそいだ。まではよかったが……。
社長に4時間もの間、触られ続けた時にわざとかそうではないのか真相はわからないが、うっすらと少しだけ首筋にキスマークが付いていた。

響  『あんた、何キスマークなんて付けてんのよ。
    紗弥加もやるじゃない♪』

紗弥加『………………私じゃない』

ジェイ『サーヤ、これはサーヤが想像してるのとは違っ……』

ラッキーだったハズがイッキに不幸のどん底へと急落下してしまった。
その後理由を証明するまでの1週間の間、紗弥加に口を聞いてもらえず、二度と保証人にはなるまいと決意をかため、響に殺意を抱いたのは言うまでもない……。


〜おしまい〜


≪もしも~が借金をしてしまったら?≫

【響の場合】

響  『やられた〜! 上手いこと言ってくれちゃって!』

響は怒っていた。実はしっかりものの響なのだが、レノンへの恋する気持ちを上手く突かれ、悪徳業者に無駄なものを買わされ借金を背負ってしまった。

響  『私の乙女心を利用するなんて許せない』

怒りで頭から湯気が立ち込めそうな勢いだった。

響  『絶対に文句言ってやる』

借用書に書かれてある住所まで車を飛ばして向かった。入り口に仁王立ちになり

響  『ここね!』

買った商品を片手にドアを勢いよく開けた。

響  『すみませーん、すみませーん!』

男  『はい……。うわっ、モ……モデルの響!』

響  『ちょっと、責任者だしてよ』

男  『は……はい。こ……こちらです』

響は男が指差す部屋へとツカツカと歩いて行った。

――バンッッ!

響は社長と札の置かれた机の向かいに座る男の胸ぐらを掴んだ。

社長 『な……、あなた、モデルの響ですよね?』

響  『そうよ、なんか文句でもあるわけ?
    て言うかこれがこんなにするわけ?! おかしくない?』

響はイッキにまくし立てた。

社長 『う……美しい……』

響  『は? 当たり前のコト言ってんじゃないわよ!』

社長 『な……なんて美しいんだ……。お……お代は結構です。
    その代わり……』

社長はある条件を出してきた。そして数分後、響は金融会社から出てきた。

響  『♪♪♪〜 ラッキー♪ 恋する乙女の美しさって無敵ね〜♪』

社長はまくし立てる響に見惚れてしまい、一緒に写真を撮ることを交換条件として提案したのだ。

響  『商品もそのまま持って帰っていいって言われたしぃ♪
    ある意味本当に恋に効くの?』

と響は来た時とはうって変わって上機嫌で家路に着いた。
恋する乙女(響?)は無敵……なのか?


 〜おしまい〜


≪もしも~が借金をしてしまったら?≫

【レノンの場合】

レノンは実はイギリスのとある上流階級の御曹司。兄が一人いる。その兄は父の後を継ぐため今は小さな系列会社の社長として勉強中である。その兄から連絡があった。実は、役員の一人が資金を持ち逃げしてしまったらしいのだ。
だが、さすがに父には言えず、かと言って自分の資金から出してはいずれ父に知れてしまう。暫くの間、お金を用立ててくれないかとの申し出だった。レノンが日本でモデルをしたいと言い出した時、両親は猛反対だったのだが、兄が2人を説得してくれた為、最後には笑顔で送り出してくれた。ここでこうして過ごせるのも兄のお陰なのである。

レノン『気にしなくてもいいよ。ここに居れるのも兄さんのお陰だ。
    いつか恩返ししたかったから。返すのはいつでもいいよ』

そう言ってレノンは電話を切った。

レノン『さて、どうするか……。貯金を出してもあと少し足らない……』

足らない分をどうしようかと考えを巡らせていた。

レノン『少しジェイに相談してみるか……』

ジェイ『ん? あぁ、兄貴が? ………、いいぞ、別に。
    イギリスに行った時、お前の家族には世話になったしな』

レノン『悪いな』

ジェイ『気にするな。ただし、響には黙っとけよ?』

レノン『あぁ、わかってる』

そして、兄に早急に送金し、兄の会社は事なきを得た。レノンは働いたギャラから毎回ジェイにお金を返していた。そんなレノンがジェイにお金を渡す光景を密かに見つめ続けていた2つの目があることに気づかずに……。

レノン『これで最後だ』

借りた額の残り全額を渡そうとジェイに手渡そうとした瞬間、スッと人影がレノンの横を通り過ぎ、ジェイの頬が音をたてた。

???『あんた、レノンからお金を取ってんじゃないわよ!
    親友同士だと思ってたのに!』

そこには瞳にいっぱい涙を溜めて、ジェイをキッと睨み付ける響が立っていた。

ジェイ『な……何しやがる、響!』

レノン『響……。これは違うんだよ。ひ……ひび……待て……あ……』

レノンが言い終わらないうちに響がジェイのもう片方の頬を思いっきりひっぱたいていた。

レノン『響!!』

レノンに叫ばれ、我に返った響はレノンから事情を聞かされ、恥ずかしさのあまり、真っ赤になりながら

響  『ごめん、ジェイ』

ジェイ『本当だよ、俺、叩かれ損じゃないか!』

レノン『悪い。まさか響が覗いてたとは……』

ジェイ『このストーカー、バカ響!
    ストーカーすんなら理由も調べときやがれ!』

響  『なんですってー! 馬鹿は余計よ! 馬鹿ジェイ!』

ジェイ『何をー! お前、早とちりして俺をひっぱたいといて
    その言い種はないだろ!』

響  『うるさい、ジェイ!
    レノン、私に相談してくれれば私だって……』

レノン『それはできないよ。女の響には言えないよ。
    それに、額が額だし……』

ジェイには口が裂けても言えないが、響はその額を聞いて少しだけジェイを尊敬した。そして響はレノンの腕の中で泣きながら謝っていた。

ジェイ『俺は殴られ損かー!!』

両頬を真っ赤にしながら悲痛な叫びが部屋の中に響き渡っていた。やっぱりレノンはズルイと心に刻み込んだのは言うまでもない……。


〜おしまい〜


あとがき

初めて私の作品に起こしになられた方、初めまして。
何かでお読みいただいた方、またお会いしましたね。
お読みいただきありがとうございました。
はじめにも書きましたが、この作品は「トパーズ」という作品のパロディになってます。
ネタバレも含まれていますので、出来る限り先に本編をお読みいただき、こちらで少しでも「ああ、ありえる、そんな奴だよね」とクスッと笑っていただければ幸いです。

このパロディシリーズは思いついたら書くという感じで進めていけたらな……と思っております。
お読みいただき、こんなパターンの時はどうなんだろう?
というリクエストがございましたら、お気軽にコメント等くださると励みになります。

この先、どこかでまた違う作品でお会いできることを心よりお待ちしてます。


ではでは、また(^▽^)/


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