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離婚後共同親権導入について現実に即した慎重な議論を求める意見書(長野県上伊那郡箕輪町議会)

 3月13日、長野県上伊那郡箕輪町議会で「離婚後共同親権導入について現実に即した慎重な議論を求める意見書」が賛成7、反対6、棄権1の賛成多数で可決されました。

意見書は、「離婚後も関係が良好な父母は、単独親権でも共同で子の養育を行っており、あえて共同親権の導入は必要ない」として、現実に即した慎重な議論を強く要望しています。

箕輪町議会3月定例会 閉会|ニュース|伊那谷ねっと (ina-dani.net)


離婚後共同親権導入について現実に即した慎重な議論を求める意見書

 政府は3月8日、離婚後共同親権の導入を含む民法等の改正案を閣議決定した。

 「離婚後も父母が養育に関わることが子の利益につながる」という理念が共同親権導入のメリットとされる傾向にあるが、これは現実とかけ離れている。なぜなら、共同親権が導入されると子に関する重要な決定(転居、進路、医療行為など)について父母間の協議が必要となるが、信頼関係が破綻して離婚に至る場合がほとんどであるため、円滑に協議ができず決定が遅れ、かえって子の利益が損なわれかねない。行政、医療、教育、福祉など、子に関わる機関や事業所へも影響が大きいことが懸念される。
 また、DVや虐待などが認められた場合には裁判所が単独親権を定めることとしているが、無視、長時間の説教などの精神的DVや性的DVは立証が難しく、DV事案が共同親権から除外される保証はない。さらに、過去の離婚についても共同親権に変更する申立ができるため、離婚によってやっと安全安心な生活を手に入れたDV被害者親子の、心理的負担は計り知れない。

 欧米各国では共同親権が一般的だという主張があるが、共同監護や共同養育を導入した国々も、DVや虐待が継続するという事例が多数報告され、制度の見直しを行っているところである。

 離婚後も関係が良好な父母は、単独親権でも共同で子の養育を行っており、あえて共同親権の導入は必要ない。最も優先すべきは、「子の最善の利益」である。拙速に共同親権を導入ことなく、現実に即した慎重な議論を強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和 6 年3 月13日

衆議院議長
参議院議長

長野県上伊那郡箕輪町議会  


なお、離婚後共同親権に関する声明などは、こちらにまとめています。


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