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"子連れ別居禁止法案" 1月30日、採決強行へ

最近ニュースになっている「共同親権」問題。実は、離婚していない家族にとっても重大な影響があります。事実上、"子連れ別居禁止法案"とも言える内容を含んでいるのです。
連日、懸念・反対の声があがっているにもかかわらず、法制審議会家族法制部会は、1月30日にも採決を強行しようとしています。 



「子連れ別居」できなくなる!?

家族法制見直しの要綱案(案)は、婚姻中にも適用されるため、事実上、"子連れ別居禁止法"となりえる内容を含んでいます。

育児はワンオペ。生活費も入れてくれない。毎日の暴言と人格否定。ことあるごとに「子どもを置いて出て行け!」と言われる…。

そんな状況であっても、裁判所に「子の利益のために急迫の事情があるとき」と認めてもらうまでは逃げることすらできない、となるおそれがあるのです。

(90秒動画)共同親権 5つの大問題


配偶者の「同意」を得られなければ、「共同親権行使違反」

子どもが暮らす場所(居所)は、父母の共同親権に属します。したがって、配偶者の「同意」を得られなければ、「共同親権行使違反」として訴えられる可能性があります。

1 親権行使に関する規律の整備
(略)
⑴ 親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
ア その一方のみが親権者であるとき。
イ 他の一方が親権を行うことができないとき。
ウ 子の利益のため急迫の事情があるとき

家族法制の見直しに関する要綱案(案)
家族法制部会 資料35-1


「急迫の事情」と言っても…

「急迫の事情」と言っても、暴力を振るわれている状況で証拠を残すことは困難です。一方で、時機を見て別居したら「急迫性」がないと判断されかねません。
別居できなければ、子どもをDV・虐待や、父母の不仲のもとに、晒し続けることになります。


「DVや虐待からの避難が強く抑制される」

1月24日の朝日新聞でも、「子どもを連れて別居した場合に『急迫ではない』とみなされる可能性があり、DVや虐待からの避難が強く抑制されるなどと懸念した」と、弁護士の発言が報じられています。

要綱案に向けた「たたき台」には、DVや虐待など「子の利益のために急迫の事情」があれば、単独での親権行使を認める案が盛り込まれた。
 岡村弁護士は「何が『急迫』にあたるかがはっきりしない。急迫の事情に該当するかどうかが争いになり、訴訟が頻発することが予想される」と指摘。子どもを連れて別居した場合に「急迫ではない」とみなされる可能性があり、DVや虐待からの避難が強く抑制されるなどと懸念した。

「共同親権」導入は拙速 実務家の弁護士423人が法務省へ申し入れ
(2024年1月24日 朝日新聞 大久保真紀)

弁護士ら「極めて深刻な事態をもたらす」と警鐘

弁護士の会は、法務省への申し入れ書の中で、以下のように警鐘を鳴らしています。
「要綱案が、同居中の共同親権にも適用されれば、急迫の事情がなければ子連れ別居が違法とされるように誤解され、支援の現場を萎縮させ、DVや虐待の被害者の避難が困難となり、ただでさえ他国に比べてDVや虐待に対する保護法制や社会的システムが劣る日本において、極めて深刻な事態をもたらします」


このような重大な問題があるにもかかわらず、法制審議会家族法制部会は、1月30日の部会での採決を強行しようとしているのです。

詳しくは、以下の参考動画や関連記事もご覧ください。

<参考>

「共同・単独?急迫、実務の観点から」 岡村晴美先生(弁護士)
https://youtu.be/U8m2ywBXB34?si=r39FvfVGYHtZ8bWj&t=1886

「共同・単独?急迫、実務の観点から」 岡村晴美先生(弁護士)


「共同・単独?急迫、実務の観点から」 岡村晴美先生(弁護士)
「共同・単独?急迫、実務の観点から」 岡村晴美先生(弁護士)

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