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心配症のタコ

【2022 美の起原展】というギャラリーコンペに入選しました。

後期日程の12/9(金)から私の入選作品『オキシトケン』が展示されています。
このコンペでは、2019年に準大賞をいただいています。
3年ぶりに出した今回は大賞にチャレンジするも叶わず…でしたが、【クサカベ賞】をいただきました!

この絵には計9体のペットのモデルたちが登場しますが、7体は過去に作品オーダーの履歴があった方の中からお声がけし、小型犬2体はツイッターでモデル募集をしました。
急なお願いでしたが快くご対応いただき、ありがとうございました。

ミニチュアダックスフントの「信長」
ポメラニアンの「ひまり」

絵に描かれているのはタコの形をした怪物『オキシトケン』です。

名前は、海の怪物「クラーケン」と、人や動物との触れ合いで分泌される幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」を掛け合わせたものです。
オキシトシンは我が子や仲間との愛情を強める働きがある一方、他者への攻撃性が上がり、時に気持ちを不安定にさせます。

怪物オキシトケンは水陸問わずどこにでも神出鬼没に現れます。

ネザーランドドワーフの「ねね」

身体の形や色はその時の気分によって様々に変化しますが、自分で制御することが出来ません。
吐き出す墨はあらゆるものを呑み込む宇宙になります。

ロップイヤーの「ふく」

捕えたものは脚と吸盤でがっちりキープしてしまい、なかなか離せません。

モルモットの「さくら」
パンダマウスの「テル」

体内は吹き出す程の愛情で満たされています。

猫の「ジョニー」
メインクーンの「なな」

作品の構想は以前からあったのですが、描き出したきっかけはライオンロップのあらもくんでした。

ライオンロップの「あらも」

あらもくんは2017年にオーダーをいただいて描いた、30作目のうさぎです。飼い主さんとはSNSでも繋がっていて、あらもくんの様子も時々追って見ていました。

オーダーをいただいた時は元気に生きていたのですが、現在は亡くなっています。

オーダーを始めて7年が経ちました。
これは小動物にとっては一生に匹敵するような時間でもあります。
モデルの中でも亡くなる子が出てきて、別れを意識させられることも増えてきました。

何か失いたくないものが出来た時に同時に抱えてしまう脆さ。
オキシトケンは幸福感と喪失感を司る、二面性のある怪物です。
満たされることの裏面、失うことへの恐れ。
なかなか同じ形を保っていられない軟な心の化身です。

RPGなどのゲームでは時々「倒せないボス」が出てくることがあります。
負けないと話が進まなかったり、一定のダメージを与えればしばらく動きを止めることが出来たり、色々なタイプがいます。

このオキシトケンも「倒せないボス」です。
でも、追い返すことは出来ます。

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