門山唖侖

初めまして!門山唖侖と申します! noteでは主にジャンルを問わず、様々なエッセイや小…

門山唖侖

初めまして!門山唖侖と申します! noteでは主にジャンルを問わず、様々なエッセイや小説を書いていますが、基本的に私なりの人生哲学を織り交ぜながら記事にしています。アイコンは自作のARTです!(joker)宜しくお願い致します。

マガジン

  • M 私と僕の愛する世界

    わたくし達夫婦の人生を面白可笑しく、時にはシリアスに時にはファンタジー小説のように仕上げてみました!人生哲学から夫婦円満の秘訣、人間とは?魂とは?まであらゆる学びの詰まった人生絵巻を、是非お楽しみ下さい!

  • ただの日記

    記事にするまでもない、けれど何だか今の気持ちを文字に起こしたい。そんな極々私的な日記です。

  • 短編小説

    思い付きで買いた短編小説達です。気軽に読めるので是非ビール片手につまんで下さい!

  • 自己系発

    自己啓発ならぬ自己系発。 つまり、自身の考える心の成長について 大切だと信じる考えを発信するとの意味を込めて 自己系発とさせて頂きました。 自己啓発でいいじゃんとか言わないでね。

  • jijiネタ

    ややこしいネーミングのようで つまりは時事ネタです。はい。 わたくしなりの見解を述べると共に 本質に深く斬り込んだ内容となっております。 忖度はしません。

最近の記事

M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十七話】

 深い、深い闇が私の頬を撫で覚醒を促した。今私は、床に這いつくばり、斜めに傾いた世界を見ている。身体の自由が効かないのだ。視界の先にはうずくまっている何者かの背がぼんやりと映る。華奢であらゆる希望に見放された背中。 『お…い…。』  声帯が焼かれたような掠れた声しか出せない。もう一度、目の前にいる者に助けを求める。 『お…い…。』  その何者かが微かに頭をもたげ、私の方へ振り向いた。顔はまだ暗闇に遮られたまま見えない。 『ここ…は…。君…は。』  何故このような場

    • M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十六話】

       四角い鉄の箱、皮膚の閉じられるような息苦しさに沈む気持ちとは裏腹に、箱は私のことを上階へと引き上げる。引き上げようとすればする程に、心は裏腹に沈み込む。  六年という歳月。あまりに長すぎる逃避。乳癌の再検査通知が来たあの日、私は突き付けられた現実を受け止めるのが恐くて、ネットで調べ上げた聞きかじりの情報を自己欺瞞とすり替えた。癌という病が、最愛の人を奪ってしまうかもしれないという恐怖…そんな綺麗なものではない。恵を失ってしまえば自分がまた孤独に戻ってしまう、昔のように独り

      • M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十五話】

         12月の雪が、灰色のアスファルトに溶け入る瞬間に、冷たさ以外の温もりをほんの僅かでも残せていたなら…僕はこんな風に絶望していただろうか? 『そんな…こんなのは夢だ…』  微睡む視界の先で、僕のことを小さく幸せな虫へと変えた香り。側に寄り添い、いつでも勇気付けてくれた可憐なアングレカムの花が、花弁を散らし、枯れ落ちようとしている。右胸の辺りを両手で強く握り締めるようにして、その花は日差しの届かぬ地下の暗がりで、僕のか細い腕の中へ力無く倒れ込んだ。 『グレース⁉︎しっかり

        • M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十四話】

          『これは死の紅潮といって、肉の色味を赤くするものさ。ほら、スーパーなんかで肉がやたらに赤赤としていて、陳列棚のランプと相まってとても新鮮に見えるだろ?あれは発色剤を使用しているからなんだよ。害はないって言われてるけどね。肉なんかのタンパク質を食べると、体内で生成されたアミンと結合して、発癌性のあるニトロソアミンに変化するのさ。』 『新鮮に見せる為のトリックなのね。』 『ちなみにこいつは血中のヘモグロビンと結合するとメトヘモグロビンへと変化するんだけど、少量なら問題ないけど

        M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十七話】

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        記事

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十三話】

           無造作に投げ捨てられた聖書を手に取ると、それが先程まではなかったものだと気付いた。 そこにフーとルーの姿はなく、朽ち果てた恩寵の砂利と化す音だけが地面を震わせた。 『さっきまではこんな本なかったのに…フー達は一体何処へ行ったんだろう?』  本来欲望とは切り離された聖書がここにあるという事実は、それ自体が人間の欲望に働きかける何か神秘めいたものを孕んでいる証だ。 太陽祭をキリストの誕生日としたように、ローマ皇帝によるミラノ勅令のように。神はいつでも支配者に都合良く利用され

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十三話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十ニ話】

          『じゃあカードを表に向けてみて。』  恵の指示に従いカードを裏返す。  タロットカード0 愚者のカード。逆位置。 後先考えずに無計画で衝動的な行動が自身のみならず周りの人間にも迷惑をかけてしまう結果に…少なくともそうなることだけは回避出来たはず。ハズレだ。 使い古されたタロットカードを番号順にきっちり仕舞い込むと恵に渡し、私は安堵の表情を浮かべた。  私が話し合いの場で、ねずみ講同然の話を持ち掛けられた際に涙を流した時、いつものように恵に私の感情が移ってしまった。 それ

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十ニ話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十一話】

          『まず貴方達にして頂きたいのは、奇跡の水を宣伝、販売して頂きたいのです。いくら需要があるとは言え、未だ時代が追いついていません。事実、貴方達もあまりこの水についての効果を信じてはいないでしょう? 勿論未だに如何わしい宗教等と混同されてしまうこともあります。ですが人間が未知のものに対して猜疑心を抱くのはごく自然なこと。 今の私達に出来るのはこの商品の良さを伝え、手に取って実感して頂き、お客様との確かな信頼を築くことだけなのです。』 『で…何をすれば?』 『まずは貴方達二人は

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十一話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十話】

          『この水が何で出来ているのか?実はこれ貴方達も毎日必ずする、あるものから出来ているんです。』  そう言い講壇の上に置かれた瓶を取り上げ高々と掲げたのは、イベント主催者である60代女性。紗南さんのかつての先輩である室田秀実。 一見何の変哲もない水から異様な臭気が漂う。 部屋中の空気を蝕むような汚泥が、吸い寄せられた人々から思考を奪う。 『貴方。何だと思いますか?』  咄嗟に指をさされ、全く授業に集中出来ていなかった学生の如く、困惑しながらもありきたりな答えでその場をやり過

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第十話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第九話】

           カチカチ。カチカチ。カチカチ。カチカチ。 『これ以上は近付くな。』毒を含んだ針が狙いを定める。 満面の笑みで歩み寄るのは決して友好の証などではない。女王蜂がこちらに向かって来る時の表情等一体誰に判別出来るだろう? 恐怖?怒り?無?いや…もし笑っていたとしたら?それも格好の獲物に歓喜するが如く自らを昂らせ、狂戦士のように享楽的な笑みを湛えているとしたら? こちらに与するのであれば恩恵を与えてやる。 しかし、そうでないのであれば…  明らかに不釣り合いなマホガニーのテーブルを

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第九話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第八話】

           相手がどんな人間であるかを明かしてやろう等とは微塵も思わないし、善人の皮を被った狼なら嫌と言うほど見て来た。それなりに飼い慣らし方も心得てはいるつもりだ。 そういった類の集団は例えるならスズメバチのコミュニティに似ている。 ヒエラルキーの頂点にいるのは紛れもなく女王であり、その下に群がる信者達は女王の尊厳を守る為だけに存在しているといっても差し支えない。 女王によって与えられた御都合主義まがいの教義は、やがてコミュニティの中で信者達を文字通り働き蜂へと変える。 女王の側近と

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第八話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第七話】

           二人の後に着いて僕達は暗がりを進む。 二人の身なりは街の人々とは違い、何処か浮浪児を思わせる。  フーはオリーブグリーンのボロシャツにデニムスカート、腕には錆びだらけのシルバーのバングルを巻いていている。すらりと伸びた足には所々擦り傷があり、今ではすっかり薄汚れてしまった泥だらけのスニーカーは、僅かに白い部分を残してはいたが、限り無く黒に近い白だ。またベリーショートの髪をアッシュグレーに染め上げ、化粧っ気のない顔の割には、目鼻立ちのくっきりした端正な顔立ちをしている。

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第七話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第六話】

           街ではいつか城下町で見たような風変わりな人達が、いや。それ以上に何とも奇妙な人達がそこいら中に沢山いた。  板チョコくらいの大きな何かを眼前にかざしたまま、マネキンのように微動だにしない人。 その人の正面には、ヘンテコな踊りをニコニコしながら踊る女の子が、踊っては止め、踊っては止めを、納得が行くまで繰り返している。  よく見ると板チョコの中で、その女の子そっくりの女の子が全く同じタイミング、全く同じ格好で寸分の狂いもなく同じように踊っては止め…を繰り返している。 ただ一つ明

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第六話】

          M 僕と私の愛した世界 ウィッチボトル【第五話】

           枯れ果てた大地を、明かりのする方へとただひたすらに突き進む。 目前にそびえるギラギラの巨人が、闇夜に紛れて近付く二人のことを威圧するように照らしつけていた。時折ひび割れた大地に足をとられながらも、巨人に近付くにつれ、あのギラギラのおかげで幾らか視界はマシになってきていた。 『ねぇ。魔女って本当に邪悪な人達なのかしら?』  道すがら唐突にグレースが僕に聞いた。 『だってね。貴方が賢人から聞いた話が本当なら、魔女は神様の醜い心から生まれた存在なんでしょ?神様とは別の、とぉ

          M 僕と私の愛した世界 ウィッチボトル【第五話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第四話】

           どちらか一方が口をつぐんでいても、会話というものが成立してしまう。それが男と女なのかもしれない。 女の子は傾聴と同意しか求めていない。的確な意見や価値観の提示等必要とはしていない。 それでも会話と言うのなら、今の僕とグレースは四角い空間で丸1時間も会話を続けている。 文字通りグレース一人がひたすらに喋り続ける会話を。恐らく僕なら起承転結を五分もかけずに話せる内容でも、グレースは起承転結もなく、長寿番組である【初めてのおつかい】に出て来る子供さながらに寄り道をしながら話す。

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第四話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第三話】

           私が生まれた時、そこにはひどく怯える少年の姿がありました。彼の服はボロ雑巾のように破れ、くしゃくしゃになった頭は、長年使い古されたモップのように散らばっていました。 肉食動物に捕食され、死を覚悟した子鹿のような目は一切の希望を捨て去って見えます。  頚椎に喰らい付かれたまま中空を見上げ、破れた喉元から鳴る笛の音を大地の歌とする。 そんな景色が、弱肉強食のサバンナではなく、子供達の学舎で現実に起こっていたのです。 ありとあらゆる憎悪を向けられた心は、目の前にいる捕食者が、決し

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第三話】

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第二話】

           私が生まれた時、そこにはカトレアのように可憐な少女がいた。肩より少し短くカットした髪を、フィカスベンジャミンバロックのように丁寧にカールさせ。黒目がちの奥二重は、子供ながらに見る者を虜にし、本人の意志とは裏腹に、男を狂わせてしまう程の魔力を備えていた。  そんな少女の虜になる少年達は多く、醜い豚のような容姿をした男の子もその一人だった。 彼は少女に構ってもらおうと、そこが他人の席であることなどお構いなしで隣に座り込んでは、何度も執拗に話題を投げかけたのさ。 『昨日のドラマ見

          M 私と僕の愛した世界 ウィッチボトル【第二話】