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38arts|創遊・楽落らいぶ—音楽家と落語家のコラボレーション— Vol.65(東京文化会館)

コンサートと落語を気軽に楽しめる、東京文化会館の人気企画を初体験!

クラシック音楽の楽器と落語、異分野がコラボレーションする「創遊・楽落らいぶ」。今回は邦楽界の若手演奏家である津軽三味線の駒田早代さん、尺八・篳篥(ひちりき)の佐藤公基さん、そして人気テレビ番組「笑点」の司会者の春風亭昇太師匠と、フレッシュな顔ぶれが揃いました。

第1部:ミニコンサート

津軽タント節
伊勢音頭 歌唱:駒田さん
尺八ソロ(最上川舟唄)
津軽じょんから節
淡海節お正月ver. 歌唱:駒田さん
南部俵積み唄 歌唱:駒田さん
祝いめでた 歌唱:佐藤さん

1月公演ということで、駒田さんは赤い振袖、佐藤さんは紋付袴で登場、新年にふさわしい華やかでめでたい曲も多く演奏されました。佐藤さんのトークが上手で、落語の前から会場には笑いが。

駒田さんと佐藤さんは東京藝術大学の出身で、なんと佐藤さんのご実家は台東区根岸。めちゃくちゃ近所で事が済んでいる。
佐藤さんは謡曲一家で声変わりを機に尺八に転向したそうですが、駒田さんは三重県の津市出身で、志村けんさんに憧れて津軽三味線を習い始めたそう。
きっかけはさまざまなのですね。

民謡にアレコレに触れる

三味線や尺八の演奏だけでなく、民謡の楽曲では、お二人の歌唱も聴くことができました。演奏も唄も落語もあり、贅沢な公演だ〜!
私にとっては初めての生民謡だったのですが、演奏も唄も腹が座っていると言いますか、踏ん張りの効いている感じが日本の演芸だなと思いました。

「南部俵積み唄」「祝いめでた」は、観客も手拍子で参加しました。民謡ではもみ手といって、手を打った後に少し手を揉む・擦るようにして余韻をもたせた手拍子をするのだそうです。
「淡海節お正月ver.」では、曲の合間に別の曲が入るアンコ入りという歌唱法・演奏方法で、「淡海節」の間奏として「春の海」が演奏されました。お正月番組の挨拶の時やデパートでも流れる、「チャン、チャララララララン」でお馴染みのあの曲です。

また、曲名を聞いただけで拍手がおこった津軽三味線の定番曲「津軽じょんから節」では、「すごいな、頑張っているな、というときに拍手をいただければ長めに演奏するかも?」とのことで、会場は大いに沸きました。
そんなフレキシブルに尺を変えられるのか。邦楽ならではでしょうか?

お二人の滑らかで力強い演奏や張りのある唄声はもちろん、トークや民謡豆知識も楽しませていただきました。

第2部:落語と音楽のコラボレーション「一眼国」

両国・回向院あたりの見世物小屋の主人は、商売がなかなかうまくいかず、旅人から見世物の種になる珍しい話や面白い話を聞き出そうとします。
ある時、旅の僧から、長い林を抜けた先の大きな木の下で一つ目の女の子に出会ったという話を聞き、捕まえに行くのですが……。

お囃子とともに、白い着物に水色の羽織で登場した昇太師匠。「笑点」のリモート収録での苦労話や、佐藤さんと同じ根岸出身の三平一家の話で盛り上がりました。
「落語家は代々やるものではないのだけれど、根岸はそういう土地なの?」という昇太師匠に、「どうも、すいません」と佐藤さん。根岸住民みんなの持ちネタなの?

師匠の落語は初めて聴きましたが、僧侶の声がハンサムボイスで驚きました。
主人が道ゆく人を眺める場面、意気揚々と一つ目探しに繰り出す場面など、観客に情景を想像させるところで、駒田さんと佐藤さんがBGMのように演奏をします。

出立の場面では、チャンチャカ楽しげな音楽のなか、師匠が嬉しそうに手を振りながら歩き、道中でそばを食べる様子を早送りで演じました。
一つ目を探しながら林を進む場面の演奏をよく聴くと、なんと「ゲゲゲの鬼太郎」のオープニング! 師匠の顔が水木しげるテイストに見えてしまうよ。

今回は邦楽でしたが、普段はクラシック音楽の楽器と落語のコラボレーション。これまでの公演は、どのような雰囲気だったのだろうと想像しながら鑑賞しました。

小声でも十分にぎやかな笑いでした

噺が終わって、邦楽と落語のマッチングや若い演奏家との共演に感激したのか、おもむろにスマホを取り出して出演者3人の記念撮影をはじめる師匠。ノリが若い!

新春初笑いを、音楽と落語の相乗効果で堪能できました!
上野公園近くの鈴本演芸場で早朝寄席(現在休止中)は聴きに行ったことがありますが、今度は浅草で本式の寄席を楽しんでみたくなりました。

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