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量子力学という不思議な学問に触れてみる 〜2〜

前回に引き続き、ミクロな世界の物理学「量子力学」について書いていきます(前回の記事はこちら)。

古典物理学とは相反する、まさに新しい物理学とも言える量子力学。そのポイントをまとめると、全部で4つありました。

・物質は粒子と波動の性質を併せ持つ
・観測するまで実在を考えない
・位置と速度が同時に決まらない
・エネルギーの壁をすり抜ける

今回は後半の2つについて解説していきます。個人的な勉強も兼ねているので、良い機会になります。

今回はこちらの本を参考にしました(再掲)。

量子力学における不確定性

例えば、あるものがどういう位置にいて、どのような速度で動いているかは、観測の有無に関わらずひとつに決まります。古典物理学に代表される「運動方程式」から完全に予測することが可能だからです。

しかし、量子力学の世界では位置と速度の両方がひとつに決まることはありません。このような事象は「不確定性」と呼ばれています。後にこの事実に基づいた「不確定性原理」がハイゼンベルグにより提唱されます。

不確定性原理をもう少し掘り下げると、電子や光子などの粒子はその位置と速度の両方を同時に正確に計測することができないのです。これは観測の方法に依存するものではなく、粒子そのものが持つ物理的性質と理解されています。

位置と速度のペアの他に、エネルギーと時間のペアや角度と角速度のペアなど、同時に計測できない複数の不確定性ペアが知られています。

実際に行われた粒子(電子)による二重スリットの実験があります。電子がどちらのスリットを通過したかを観測しない場合には、電子は波動として両方のスリットを同時に通過し、スリットの後方で干渉縞が作られることが分かりました。

粒子(電子)の位置と速度が同時に決まらないことを示す、貴重な実験結果のひとつです。

量子力学におけるトンネル効果

トンネル効果を説明すると、粒子がポテンシャル(位置エネルギー)を通り抜ける現象のことです。電子や光子などの粒子は、正確に位置を特定することはできませんが、代わりに粒子の位置を確率として表現します。

次のような場合を考えてみます。山状のポテンシャルが存在し、左側から山に向かい粒子を飛ばします。古典物理学では、粒子のエネルギーより高い山は乗り越えることができません(山の先に行くことはできない)。

ところが、量子力学では左側から発射した粒子がポテンシャルを通過して右側に存在する確率がゼロでない。つまり、粒子がポテンシャルを通り抜ける事象が発生する場合があるのです。

電子や光子などの粒子の存在確率を表す波のことを「波動関数」と言い、波動関数の絶対値の2乗が存在確率になります。つまり、波動関数の一部がエネルギーの壁を透過して、一部が反射するということです。

トンネル効果の実例

太陽は核融合反応を通して莫大なエネルギーを生み出します。その説明にはトンネル効果が欠かせません。

実際の太陽の核融合には4つの陽子(プラスの電荷を有する原子核の構成粒子)が絡みますが、一旦は2つの陽子で考えてみます。

陽子と陽子では同じプラスの電荷なので、本来は反発力が働きます。つまり、2つの陽子が核融合反応を起こすためには、反発力による大きなエネルギーの壁を越える必要があるのです。

反発力によるエネルギーの壁を乗り越えるには、数百億度の高い温度が必要であると言われています。太陽の中心温度は1500万度と考えられるので、古典物理学の考え方では核融合反応は起きないはず。

これに対して、量子力学のトンネル効果に基づくと、陽子同士が壁を通過してある確率で衝突します。太陽で核融合反応が発生すると言えるのです。

量子力学はミクロの世界の話ですが、太陽のようなスケールでも十分に説明可能な理論なのです。

おわりに

今回は量子力学の不確定性とトンネル効果について説明しました。

非常に小さいスケールの量子力学の理論が、太陽のような実現的なスケールの問題にも活かされることは、私も初めて知りました。

量子力学の実用例には、有名どころで「量子コンピュータ」「量子テレポーテーション」があります。この辺は今後で説明できればと思います。

以上、量子力学の不思議な理論をお届けしました。

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