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雨と言葉(詩)

小雨の中を歩いていると
なんとなく言葉が浮かぶ
それは意図のない遊び
絵を描くこととはまるで違い
何をするわけでもなく 
自然に身を任せている

雨が降る
やがて止めば、雨上がるという
上がる、その力は見えないまま
目の前で桜が散る
重力のままに
しかし手が届かないほどに
空へ空へと向かう力は
やはり見えないまま

通りの向こうで
母親と幼な子が
水たまりを踏んでいた
その子にしか  
見えないものがあるのだろう
また歩くと
赤い札をつけた男性が
雨に向かって吠えていた
傘もささずに夢中で
私は心をゆさぶられて
思い切り手を振った
彼はこちらを凝視すると
パッと笑顔になって
〇〇さん!と知らない名前を呼んだ
そしてまた吠えながら
彼方を歩いて行った

私の見えない心は
一雫の温かな雨を
生み出していた

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