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夕日

かつて、母の車椅子を押しながら見た夕日。もう残された時間はわずかだった。目の前には鮮やかな真紅の光があった。その光は僕と母を照らしていた。
僕は、同じく支え合う群像を見た。それぞれに夕日に向かって歩き続ける。それぞれの人生。 

「人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです」
遠藤周作は、沈黙の碑にこう記した。

1人で歩く。
2人で歩く。
3人で歩く。
1匹と歩く。
2匹と歩く。
3匹と歩く。 

聞こえてくるのはどんな音楽だろう。
感じる光はどんな色だろう。
過去もなく、未来もなく、今この瞬間に感じる美しさ愛おしさに、涙が込み上げてくる。
僕らはもともと、あの夕日と一つなのだ。ただ繋がるだけでいい。これからもずっと。

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