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(今日の一枚)上海から来た女(1936)-中山岩太

この一枚の「上海から来た女-1936」ポートレート写真(ゼラチン・シルバープリント/28.0×21.0cm)は、中山岩太の美意識を極めた表現として、戦前の日本の写真の1つの到達点として、高く評価されている。映画の1シーンのようだ、そこから、様々なドラマが見える。
中山岩太(なかやまいわた、1895-1949)
日本人の戦前に活躍した写真家だ。戦前において、海外の同時代の前衛アートや、写真動向を的確に理解していたと思われる。

上海から来た女

Fig.Woman from Shanghai -1936 (c)中山岩太 /東京国立近代美術館(The National Museum of Modern Art, Tokyo)

1895年福岡県に生まれ。1918年、東京美術学校(現・東京藝術大学)に新設された臨時写真科を第一期生として卒業。その後、渡米し、1921年、ニューヨークでラカン・スタジオを設立した。1926年パリへ渡り藤田嗣治(フランスの画家)や海老原喜之助(日本の洋画家)、マン・レイ(ダダイスト-写真家/画家/映画/オブジェ)、エンリコ・プランポリーニ(イタリアの未来派画家/1894 - 1956)とも交流を持っていた。帰国後は兵庫県芦屋を拠点とし、1930年、ハナヤ勘兵衛(写真家/国画会写真部/写真材料販売)、紅谷吉之助(べにたに/新興写真家)たち共に、芦屋カメラクラブ(新興写真)を設立。いわゆる新興写真と言われるジャンルでの、グローバルに華麗なる活躍だった。

(註)その今に通じる業績は、ハロゲン化写真での暗室処理で多重露光やフォトグラム(カメラを使わず)、モンタージュ構成写真等に取り組んでいる。それ以外にも、コマーシャル・フォトや観光写真、スタジオ写真の分野でもインパクトある先鋭的な表象を多く残してる。とにかく、フォトショップ(1990- ADOBEのフォト加工ソフト)の無い時代だ。


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